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意識とはなにか

(略)脳科学の「成果」が報道される機会も増えてきている。

このような活動をしている時には、脳のこの部位が活動している。

この神経伝達物質が、このような心の働きを支えている。

この脳の病気は、このような遺伝子の異常によってもたらされる。

そうしたたぐいの研究報告である。

 

たしかに、脳を切り開くことなく脳の活動を計測する、

いわゆる非侵襲計測と呼ばれるさまざまな計測法の発達にも支えられ、

脳科学の知見は飛躍的に増大している。

その発展ぶりは、まさに、脳科学ルネッサンスと呼んでもいい状況である。

 

このような近年の脳科学に対する関心の高まり、

そして脳科学のさまざまな「成果」を耳にしている人々は、

脳科学が、実は深刻な方法論上の限界に直面していると聞いたら、

驚くかもしれない。

 

しかし、脳を理解するという人類の試みは、

実際絶望的と言ってもよいほどの壁にぶつかっているのであり、

その壁が存在すること、それを乗りこえることがきわめて困難であるという事実を、

世界中の心ある研究者は理解しているのである。

 

その壁とは、すなわち、なぜ、脳の中の神経活動によって、

私たちの意識が生み出されるのかが、皆目わからにということにある。

(略)

 

*そもそも物質である脳の活動に伴って、どのように意識が生まれるのか?

*なぜ、宇宙にあるすべての物質の中で、神経細胞の活動だけに伴って意識が生まれるのか?

 どのような条件が満たされた時に、意識は生まれるのか?

*そのような意識を持つ<私>という主体は、一体どのように成り立っているのか?

 

******************************************

 

★「意識とはなにか ~<私>を生成する脳 」

  茂木健一郎著 ちくま新書 720円+税 2003.10.10.第一刷 2009.4.5.第十三刷

  P.9~12より抜粋

 

噛んで含めるように、とてもわかりやすい喩えを使用して書き込まれている。

少しずつ、少しずつ問題を拡張していきながら、解説していくスタイル。

 

その説明のいくつかを聞いているうちに、

多国語を学ぶ姿勢とダブって見えてくるところも多い。

 

また、脳とコンピュータを比較しながら検討していく部分は、

IT、特に人工知能に興味のある人をも惹きつけるだろう。

 

さらに、言葉の持つ優しい面と難しい面にこだわる部分などは、

哲学的でもあり、かつ、作家にとっても

職業上、多くのことを考えさせるところがあるのではないだろうか。

 

脳に対して、科学的な究明スタイルの限界を知っている著者による、

実に多角的でオモロイ内容だと思う。

 

参考となる書籍を、最終で紹介するスタイルとなっており、

その詳細について本文で語ってはいない。

「裸」のままで書いてみたと、茂木は書いていた。

 

医学的に気になったのは、

酒場でケンカになりビール瓶で後頭部を殴られ「脳しんとう」を起こしたときや、

相場があまりにもひどく逆に振れてしまって、それはもう「気絶」するしかなかったとき、

徹夜麻雀で耐えきれなくなって、負け金を払えないし思わず「寝てしまった」ときなどに、

意識がなくなるのは何でか?とか、

 

オイラはなにしろムー民一族なので、

「第六感」とか「虫の知らせ」、

はたまたリーマンショックの前日とか、懲戒免職になる事件の起きるその朝に

「ヒジョ~に嫌な予感」がしたというのは、あれは一体どんな意識なのか?とか、

ついついオカルト的な内容にも期待してしまうが、

そういう記述は一切なかった。

 

であるので、茂木のこの著作内容をネタにして、

オイラのオカルティックな妄想は、益々肥大していくのであった。

 

 

 

 

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