広瀬川の幽霊(2)7月30日(水)14時12分

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広瀬川の幽霊(2)7月30日(水)14時12分

 それから20年以上経ち、この幼い頃の話を下宿で、修子に話した。修子は静かに聞いていたが、急に目を輝かせて言いました。

「ねえ、わたし達も、幽霊を見てみない。」


 私はあまり乗り気ではありませんでしたが、あまりにも修子が熱心に言うもので、遂に見に行く事にしました。20年以上前のことです。今はどうなっているのかわかりません。時間が有ったので予め下調べをして、この辺かと場所を確認しておきました。そこは、丁度くの字形に曲がっており、人造の川でありますが、岸には松の木が、10程植えられておりました。そして老木の枝の間を流れる風の音は、何となく、不気味に感じられました。昼だというのに川にそって作られた道路には、人気が無いのです。そして古びた家並が、ぎっしりと埋まっておりました。幽霊の正体は分かっているのに、いやな予感でした。そして一旦は、下宿に戻りました。

 その時刻辺りに、少し早いかもしれませんが、2人で行って見ることにしました。日中見た松が植えられてある土手の脇に止まりました。車を止めてしばらくすると、あれ、どうも景色がおかしいと思えました。家並みが何だか古めかしい。それに川の向こう側に確か、街灯があったはずだ。しかし見えない。


 「きゃー。」

急に修子が叫びました。「どうしたんだよ。」と言いながら、修子の恐る恐る、指差す方を見ると、川に沿った道沿いに、何だか白い点のような物が見えました。その白い点みたいな物はしだいに膨らみ、ゴムまりが大きくなったかと思うと、更に大きくなりながら、今度は縦に伸び、それが何かの形になりました。女です。女の形です。川では無いのです。道路の上の白い女です。それが、何だか極めてゆっくりのようですが、こちらに近ずいて来ます。少しずつ少しずつです。凍りついた恐怖そのものです。正体が何だか確かめる前に、私はその場を逃げ出しました。



 



 



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