

「えー、放送席放送席。このたび《株マルデダメ王》のタイトルに輝いたユリッチ選手のインタビューです。いかがですか、満員のバスのお客さんの前でのお立ち台のご気分は」
「そりゃあ、よくはありませんよ。前でしたら悠々と座席を陣取りガラケー開いて、株価を調べたりみんかぶ日記やコメントを読んで泣き笑いしていられたのに、今はそれが出来なくなりましたもの、腹立たしい!」
「まぁまぁそうカッカなさらずに、せっかくの美貌(あくまで個人の感想です

「そんなこと今更聞きますかね。マスコミってこれだから嫌いよ、わかってるくせに。株マルデダメ王の私の株が、調子いいはずないでしょうが!」
「いやいや、なかなかのご活躍じゃないですか。泰然自若といえば聞こえはいいが、実際はボンヤリ構えたきりなんの対策も立てず含み損たんまり抱えてから慌てて泣きを入れて、みんかぶの方々に同情と救いを求めようと日記やコメントであがきまくる策士ぶりは、株マルデダメ王のタイトルにふさわしいと思いますよ!おめでとうございましたぁ!」
…などと、渋滞でなかなか前に進まないバスの中で立ち続けている私は、妄想炸裂。
やっと目的の停留所に着いてバスを降り、いつものように空を見上げてみれば、今夜は珍しく雪から解放されてご機嫌な月と星が私にニッコリ微笑みがえし…
寒いけれどもどうやら今夜は雪かきしないで済みそうですし、何より月が周囲を明るく照らしてくれて、「早くガラケー見てみなさいよ!」と急かしているので…
昼に覗き見したときは、ケネディクスがいい感じに騰がっていたからと期待して見れば……
断固たるマイナスの表示に私の頭は一気に凍りつき、即席の雪道のお立ち台で暫し呆然と固まっていると、まるで待ってましたと言わんばかりに、意地悪な雪がチラリホラリと降り始めたのでした……