ユリウスさんのブログ
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松茸が俳句をつけて売られおり -連想、妄想-
今日は29(肉)の日である。スーパーの肉が安い。美味い肉を売っていると評判の「肉の○○○屋」へ肉を買いに行った。たまたま野菜売り場に松茸(マツタケ)がこんな句と一緒に売られているのを見つけました。
松茸が俳句を付けて売られおり photo by iPhone
びっくりしました。値段ではなく、松茸が名句を付けて売ってあったからです。
松茸や知らぬ木の葉のへばりつく 芭蕉
取り敢えず松茸飯を炊くとせん
松茸の今日が底値を勧められ
店のセンスのよさに好感がもてました。でも、周りの客は俳句にびっくりしたのか、値段にひるんだのか分かりませんが、買っている人は誰もいませんでした。29の日は肉が安いので肉目当ての客ばかりだったのでしょう。(笑)
翔年は丹波松茸と丹波栗の産地で育った山猿です。松茸には子供の時からいろいろと想い出があります。我が家では苦労して松茸山で採って来た松茸の殆ど全部を農協に出荷し、虫が喰ってたり、形が歪(イビツ)になっていたり、腐りかけていたりして、商品にならないものだけを家族が食べていました。たまに都会の親戚とか都会のお客を招いた時は別で、その時は松茸の取り放題、食べ放題のおもてなしをするのが常でした。写真は昭和42年か43年の秋、会社の同僚と松茸狩りを楽しみ、山上で焼き松茸にしたり、すき焼きにして食べたりした時のものです。(写真はこのところ身辺の資料整理をしていたので、たまたま見つけました。きょうはたまたま日和でした) 光陰矢の如し、写真の中の3人はもう鬼籍に入っています。
松茸山のすき焼きパーティ(昭和42,3年頃)
茸狩の競ふ心になりをりぬ 上野 泰
茸狩りのわらべこだまに憑かれけり 西島麦南
老の英眼われの鈍眼や茸狩 山口峰玉
俳人はすべてを見通していますね。松茸は見つけるのが難しいので、他人より一本でも多く獲りたい気持ちになる。子供はやまびこが不思議で何回でも何回でも「ヤッホー」や「おーい」を繰り返す。いい目をした若者より、茸狩りのベテランの老眼の方がはるかに松茸を多く見つけます。これ本当です。
物事には当然表と裏がある。松茸にも松脂にもある。
松茸: まつたけ状のもの。(平安時代の俗語だった)
『あやにくにさすりふせける程に、毛の中より松茸の大きやかなる物の、ふらふらといできて……』。-宇治拾遺物語-
『いやらしやなぜ松茸を見ぬ娘』 -冠独歩行-
松脂(マツヤニ): ??(ご想像あれ)
『やりくりに松やにを出す尉と姥』 -誹風柳多留-
※尉(ジョウ)と姥(ウバ)=老夫婦のこと
参考資料
1 平井照敏編「新歳時記(秋)」
2 柴田千秋編「性語辞典」
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