元祖SHINSHINさんのブログ
それは新宿での出来事だったと、カッパ先生は言った
昨晩遅く、スペイン酒場を覗くと
いつもの二合徳利を片手に、カッパ先生がいたのだった。
「先生、編集長に苛められたって本当ですか」
「まぁ・・・」
先生はいつもより、酔っている。
その目を見るとわかった。
新宿やら渋谷での出来事だと、カッパ先生は言った。
その編集長は若造だった。
「今どきの売れてる小説という言い方は、編集者のくせに許せませんよ」
オイラがひとくさりすると、
「それでも私はある意味、感謝しているのですよ。刺激がなくなったら人間お仕舞いですからね」
などと、カッパ先生は冷静に言うのだった。酔っているというのに。
感心しながら先生の顔をよく見ると、少しショーン・コネリーが入っている。
カッパ先生は、なかなかチャーミングなのだ。
「私はこれでも、まだ自信を失っていませんから、大丈夫です」
まだ先生の作品を一度も読んでいないのだが、
その語り口に、オイラは底知れぬ深みを感じた。
「ええ、そーですとも。
”ハスラー2”に出てくるポール・ニューマンみたいに、必ず復活しなくっちゃ」
そういうと、先生の目はすこし大きくなって、
キュッキュッキュと笑った。
昨晩は深酒となって、ブログを書くことが出来なかった。
北方謙三も、一緒にいるような気がした。