セバスチャン・フォークスの007評

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セバスチャン・フォークスの007評

(略)少年のころ読んだきりの、自作とは毛色の違うスパイ冒険小説を手がけるにあたって、

フォークスはフレミングの前作を読みかえし、念入りにリサーチしたという。どのようなこころがまえで作品を創ったのか、五月のBBCインタビューに答えて、フォークスはこんなふうに言っている。

 

いわば普段は交響曲を書いている作家が、三分間のポップ音楽を作れないかと言われたようなものです。それもただのポップスではなく、ビートルズやビージーズに匹敵するような最高の曲。決してポップスを下にみているのではありません。それはそれで完成された形式を持つ芸術ですから。取り組むのは非常にやりがいがありました。

 

実作にとりかかってからはフレミングの執筆スタイルと同様に、六週間で一気に書きあげた。

注意したのは安いパロディーにならないこと。文体や構成は真似するが、やりすぎない、だいたい七十五パーセントがフレミング、という割合でやろうと思った、と彼は語っている。

できばえはどうであろうか。長年のボンド・ファンから一般の小説読者までを満足させるのは至難のわざだが、おおむね評価は高いようだ。

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★「デヴィル・メイ・ケア」

  セバスチャン・フォークス著 佐々木紀子訳 竹書房 667円+税 2012.12.17.初版

  P.390.訳者あとがきより抜粋

 

悪い出来とは思わないが、「六週間で一気に書きあげた」影響は出てしまっていると思う。

中盤後半から終盤手前、あきらかに手を抜いて書いている、と思えるくらい。

 

同箇所で、わかりにくい数人での会話部分があったりして、村上春樹だったらあり得ない。

全体的に俯瞰しても、大沢在昌の「新宿鮫シリーズ」と比較する場合、

どれにも勝っているとは思わない。というか、足下にも及んでいない。

 

練りに練った作品を上回ることなんて、あり得ないと知った。

村上春樹と大沢在昌が007シリーズを手がければ、前代未聞な出来になると思われる。

ましてや二人の合作となったら、それはそれはオモロ過ぎる作品になるでしょう。

 

良かったのは004役として登場するキャラクターと、対決する敵役の出来くらいか。

 

訳者あとがきから知ったオモロイ知見として、

このセバスチャン・フォークスが、

他の有名作家の文体を真似したパロディ小説「Pistache」を書いているということだ。

 

「ねじ巻き鳥クロニクル」笠原メイの語り部分や、

川上弘美の文体にオイラが惹かれるように、

作家も読者も好みの文体に魅了されるという事実は、

作品の環境設定のひとつとして考慮されるべき重要なことに思われた。

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