強か女流作家二人と重松清

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強か女流作家二人と重松清

2年連続で芥川賞書評にて酷評を続けた女流作家二人。

その評論がかなりオモロかったので、

いつかその二人の作品を読んでみたいと思っていた。

 

ひょっとしたら、そういう具合に自身の存在に注目を浴びさせることによって、

オイラのように作品に誘い込もうという戦略なのかもしれないと、

二人の強かさを感じてもいたが、それに敢えて乗るのも一興ではないか。

以下三冊はまわし読みの最中で、まだそれぞれ序盤しか読んでいないが。

 

★「タイニーストーリーズ」

  山田詠美著 文春文庫 543円+税 2013.4.10.第一刷

 

山田詠美は、いろいろな賞を総なめにしている人気女流作家。

作風はきっとエロいのではないかと踏んでいたが、案の定エロい。

けれど想定外だったのは、加えてどうにもユーモラスな点。

ところどころ、なかなか笑わせてくれるところがお気に入りになった。

まったくもって、憎めない作家だ。

 

この作品には、いろんな女が登場する短編集だ。

男性作家が描き出す女とは違うなにかが、そこにはある。

研究させていただきます。

そういう点でもオモロイと思う。

 

因みに、オイラの多いとはいえない小説経験では、

色川武大が「離婚」で描いた女が、男性作家の中では群を抜いている。

なんたって、そのモデルが彼の女房だというのも笑える。

 

★「センセイの鞄」

  川上弘美著 新潮文庫 552円+税 H19.10.1.第一刷 H22.6.10.第四刷

 

川上弘美は、なかなかの美人だ。

こんなママがいる店だったら、毎日にように通っちゃうんじゃないかな?

先の山田詠美と同じく妙齢で(ゴメンね)、同じようにたくさんの受賞歴のある実力者だ。

 

この作品は、大道氏の描いた芥川賞作品の「しょっぱいドライブ」のようなテイストが味わえる。

居酒屋で偶然に再会したセンセイと、社会に出た女性元生徒の、飲み関係をほんわかと描いていて、

酔っ払いのオイラは、そうした描写が目の前で起きているようで、

この二人に同席して飲んでいるかのような錯覚を覚える。

谷崎賞受賞作品だというだけのことはある魅力が、序盤だけでもよくわかる。

 

大の巨人ファンであるセンセイと、大の巨人嫌いである元生徒との描写には、

あまりにもよく描けていて、ちょいと食らってしまったな。

 

川上弘美は、是非、スナックを始めるべきだw

 

★「その日の前に」

  重松清著 文春文庫 581円+税 2008.9.10.第一刷 2010.7.20.第十二刷

 

同級生のやっている居酒屋に行った際、酒を飲みながら重松清の小説を読んでいる若い男がいた。

「十字架」だった。その彼と小説談義をしていたあと、振り向くと同級生の伊藤がいつの間にかいて。

「その日の前に」はお薦めだと、中学時代とはうって変わってすっかりヤクザ顔&体型になっている

伊藤が、あまりにも力説したので読んでみようと思った。

 

「こどもの描写が見事だ」という伊藤の言うとおりで、その会話に魅力があるとすぐにわかった。

オイラもこの辺は、実は密かに自信があるのだが、盗めるところは盗んでいく。

 

まったく関係のない短編集を装っているが、終盤でみごとに集約されるところが憎いんだという

伊藤の言葉を信じて、終盤を愉しみにしている。

 

 

 

 

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