麻取と密造業者

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麻取と密造業者

どー考えても飲み過ぎなのだろう、

相変わらずケネディーのように茶色い顔色をしたY教授が、

唐突に猫なで声で、こう切り出した。

 

「なぁshin君、麻薬取締官になってみないか?」

 

オイラは凄く驚いた。

このY教授は平素から冗談好きだったので、

その問いかけも冗談ではないのかと思って、

「またまたご冗談を。ヤクザに殺されてドブ川に浮かびたくはないんで」

などと、冗談のような返答をしたんだ。

 

★「無限人形 新宿鮫Ⅳ」

  大沢在昌著 光文社新書 724円+税 2000.5.20.第1刷 2011.7.5.第21刷

 

この小説の中に、アイスキャンデーという錠剤型覚醒剤売買を巡った、

厚労省管轄の麻薬取締官と警察との確執が、

麻薬取締官の採用方法と共に描かれていた。

 

国内での薬物製造が難しいというわけで、

海外からの密輸が主流になっている中で、

この小説では国内での製造と、凝りに凝った販売という特殊な設定になっていた。

 

では、ホントウに国内での密造はないのだろうか?

 

実はオイラ、冗談めかして密造のスカウトをされたことがあるんだな。

もう10年ほど前になるだろうか。

 

「月100万円で、どーだ」

 

米国のカジノバーで用心棒経験のある、極真空手の名人はオイラに言った。

日本の複数ヤクザに太ももを刺されながらも、喧嘩に勝つほどの腕前だった。

みたくなんかない、傷口もみせてくれたっけ。

 

「そのくらい貰ったって、すぐに捕まって大損に決まってるから、やんない」

あっさり断って、事なきを得たけれど。

 

「あのさー、オイラ薬務行政にも無縁じゃないんだから、冗談はやめてね。

 薬務課に行くと拳銃撃てるぞって、誘われているの。あー撃ちたい」

 

そのときは地方公務員だったからそう言うと、

みんな黙っておとなしくなって、

スナック業者で噂になっていたヤクの話はガクンと下火になったものだ。

 

ちゃんと酔っ払っても仕事してたんだね、オイラ。

なんだか、鮫島してるね~(笑)

 

PS:この小説を読み終えて、村上春樹の新刊に半分ほど入った。

   あらすじはねー、などと書いてしまうと怒られるので、当分は言わないっと。。

 

 

 

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