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厚生年金保険料で穴埋め 10年間で基金制度廃止

 厚生労働省は2日、財政が悪化している厚生年金基金制度の廃止に向け、積み立て不足に陥った基金の債務を軽減し、解散を促す改革試案を発表した。軽減した分は、会社員約3450万人が加入する国の厚生年金本体の保険料で穴埋めする方針。税金は投入しない。改革開始の5年以内に財政危機の基金に解散手続きを取らせ、10年間で制度を段階的に廃止する。

 社会保障審議会年金部会の専門委員会に示した。年内にも正式案をまとめ、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。厚年基金と無関係な会社員の保険料までが使われることに批判が出そうだ。穴埋め額は未定だが数百億円に上る可能性もあり、決着までには曲折が予想される。

 厚年基金は企業年金の一つで437万人が加入。厚生年金の一部を「代行部分」として国に代わって運用する。全基金の約半数の287基金で、代行部分に見合う積み立てが計約1兆1千億円不足している。

 試案は不足分の返済について、基金を設立した母体企業の「自己責任が基本」と明記しつつ、過度の負担で経営破綻しないように新たな仕組みを示した。具体的には、基金に有利な新しい会計基準を設定。「積み立て不足」と判定される対象基金を現在より絞り込む。

 その上で、法施行から5年間の特例措置として債務軽減策を導入。一定の条件を満たす基金には、不足分の国への返済額に上限を設け、債務を減額する。減額分は厚生年金保険料で穴埋め。厚生年金加入者全体で広く薄く負担することになる。

 一方で、減額せず返済期間を延長する選択肢も示し、保険料による補填ほてんを避ける余地を残した。

 また債務返済中に企業が倒産すると、債務の残額を他の企業が連帯責任で分担しているが、解散時に各企業に割り当てた債務だけを返す仕組みに改め、連鎖倒産を防ぐ。

 新型の確定拠出年金も創設、制度廃止後の受け皿にする。健全な基金には、こうした別の企業年金への移行か自主解散かを10年以内に選ばせる。

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