ユリウスさんのブログ
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新しい民主党のエネルギー政策 -脱原発は可能か?-
世間の一般常識、良識にたいして、健全なる猜疑心を持ち続けよ。 -いい人知らず-
(Retain a healthy skepticism toward the established wisdom. -anonymous-
このあいだ政府の「討論型世論調査」で、電気エネルギーを原子力発電所にどの程度依存するべきか聞いたところ、46.7%の国民が原発依存率0%を支持しているという結果がでた。その後、民主党や政府は遅まきながら、こんな動きを見せはじめた。(笑)
朝日新聞より
民主党のエネルギー・環境調査会(会長・前原誠司政調会長)は4日、「原発ゼロ」実現を2050年代前半とし、さらに前倒しするため、15年に具体策を示すとした素案をまとめた。事実上、結論を3年間先送りする。一方、野田政権は同日、「原発ゼロの課題」をまとめた。政権は党の提言を踏まえ、来週にも新しいエネルギー政策を決める。
どうやら30年時点の原発割合の三つの選択肢には触れないつもりらしい。さらに「原発ゼロの課題」を野田首相から検討を命ぜられていた枝野経済産業相は4日に開かれた内閣のエネルギー・環境会議(議長・古川元久国家戦略相)でこんな検討結果を提示した。(これは民主党調査会でも示された)
朝日新聞より
原発ゼロになると「電力供給量の3割が失われ、需給が逼迫(ひっぱく)する」と分析。代わりに使う火力発電による燃料費の増加が年3.1兆円に達し、中東情勢の緊迫が「さらなる料金値上げ要因となる」として、電気料金が上がって国民負担が増えると指摘した。原子力を支える技術や人材が失われる点や、外交・安全保障への影響にも触れ、原発ゼロで青森県にある再処理施設が不要になれば、使用済み燃料を施設外に運び出す必要があることも示唆した。
代替エネルギーに位置づける再生可能エネルギーについては、発電施設をつくる土地の確保や送電線の整備コストを課題に挙げた。30年時点に原発ゼロにするには省エネに100兆円の投資が必要とし、10年時点で月9900円だった世帯の電気代が最大月2万712円になると試算した。
翔年は電気代より、その時国民所得はどうなっているのか? 国民総生産はどの程度か? 失業率はなん%か? 是非聞いてみたい。
原発依存度の選択肢0%、10%、20~25%を国民に聞く前に、その選択をした結果、わが国はどのような社会になるのか、0%を選べばこのようになると示せば、国民に相当の覚悟を求めることもできたはずであったのに、政府は敢えてそうしなかった。このような手順を踏まない民主党政治の手法は良くない。時間ばかりかかって、結局何も決断できなくなる。
民主党の政策失敗は山ほどある。(選挙までにマニフェスト実現率を精査したいですね)
● 政治主導 → ボロボロ、あまりにもお粗末。行財政改革は手付かず。
● 八ツ場ダムの建設中止 → 大騒ぎした末に再開することに。
● 普天間基地の移設、「国外、少なくとも県外」 → 原案通りの後戻り。
● 高速道路無料化 → 試験導入でETCの導入を促進しただけ。失敗。高速道路の借金返済を遅らせ、国民負担を増やしただけ。
● 原発事故対応の官邸の議事録皆無 → 政府は誰がどのようにして重大な意思決定をしたのか、国民から全てのことを隠蔽した。管元総理は東電の福島第一原発からの全面撤退を阻止したのは自分だと、手柄話だけ語って(騙って)いる。許せない。
● 無駄な公共事業や行政の無駄」をカットすれば政策の原資は出る。財政の健全化は達成できる。→ 事業仕分けで大山鳴動、ねずみ一匹。たいした原資は出てこなかった。消費税の大幅アップしか考えつかなかった。他の方法はほとんど未着手。
これらを見ると、民主党は政治的方法論を持たないで、政策を唱えているだけの政権党だと言わざるをえません。
脱原発についても
○ 使用済み核燃料問題に関する検討結果は?
○ 高速増殖炉の実用化を前提としない対応策は?
○ 国際社会に対して温室効果ガス削減計画はどのように説明する? (化石燃料消費量はいくら?)
民主党の多角的に検討したエネルギー政策の具体的方法論を是非聞きたいものだ。あればだが。
閑話休題。
ここでちょっと自慢話を… ど素人でもこの程度の先読みは出来るという例です。(笑)
翔年は2007年7月20日に「新潟中越沖地震と柏崎刈羽原発の安全性について-問題は耐震設計」http://ikiiki.livedoor.biz/archives/2007-07.html で、こんな疑問を呈しています。(5年前の古い記事ですがご笑覧ください)
今回の地震で翔年がぎょっとしたのは次のことです。
17日の読売新聞は「想定値大きく越す揺れ」として、水平方向に最大680ガル(加速度の単位)という原発で史上最高値を観測したと報じていた。その後、東電のHPでも発表されていますが、何の問題も感じていない書き振りです。(大問題にされたくないから?)その一部の数字を書き出して見ましょう。
観測された加速度値と設計値の比較(刈羽原発1号機のケース)
南北方向 東西方向 上下方向(単位はガル)
観測値(A) 311 680 408
設計値(B) 274 273 235
倍率(A/B) 1・13 2・49 1.74
(参考)原発は水平方向120ガル、上下方向100ガルでシステムは自動停止するようになっている)
専門家でもないど素人ですが、この数値は極めて問題であると思いました。一般に建物や機械などの工作物は、安全率を考えて作られていますから、設計値を超えた揺れがあったからといって、すぐに壊れるものではないと思います。さりながら、設計値の2・5倍の揺れがあったのですから、安全率が2・5以上でないと原発は耐えられないということなのです。この原発の安全率がいくらなのか、発表されていませんので分かりませんが、果たしていくらなのでしょう。ちょっと心配な数値ではあります。専門家の検証を待ちたいと思います。
そもそも、原発は断層のあるところに立地しない。従って直下型地震を想定していないのです。それがあにはからんや、ありえない直下型地震が発生し、揺れも大変大きかった。それで公表されている数字から、ちょっと心配になる観点を書きました。今回の地震で最大の問題は原発の耐震設計の基本的考え方に疑義が生まれたことです。
今頃になって、脱原発を騒ぎ立てている人達は5年前は静かでしたね。分かっていて騒がなかったのなら相当たちが悪い。安全性が理解できなくて騒がなかったのなら、5年間で相当のお勉強をされたのに違いありません。
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