スマホ料金、使った分だけ
日本通信とアマゾンが仕掛ける価格破壊
NTTドコモの通信設備を借りて独自の無線データ通信サービスを提供しているMVNO(仮想移動体通信事業者)の日本通信が、5月末から米アマゾン・ドット・コムとの提携による新サービスに乗り出した。
提携の中身は、アマゾンの総合オンラインストア「Amazon.co.jp」で限定販売される携帯電話向けICカード「SIMカード」の購入者向けに、月額1980円のデータ通信サービスを提供するというもの。データ通信量の上限は1ヶ月当たり500MB(メガバイト)。上限に達した場合には、500MB分のデータ通信サービスを同額で追加購入することもできる。
Amazon.co.jpではこれまでも日本通信のサービスを販売していたが、今回は「アマゾンの要望に沿ってどこにもないオリジナルの商品を企画した」(日本通信)という。さまざまな生活シーンでインターネットを利用するAmazon.co.jpの顧客向けに、現在主力の第3世代携帯電話「FOMA(フォーマ)」だけでなく、ドコモが「Xi(クロッシィ)」のブランド名でサービスを手がける高速通信規格「LTE」に対応させたのが特徴だ。
アマゾンで販売するSIMカードはドコモの携帯電話ならば基本的にどの端末でも利用でき、買い替えに伴って使わなくなった端末や電気店などで売られている中古品を「2台目端末」として利用する際に購入されるケースが多いという。ただし、通常の音声通話機能は使えない。海外から輸入販売されているSIMロックフリーの「iPhone」に差し込み、高品質とされるドコモのネットワークで人気機種を利用するこだわり派もいるようだ。
国内の大手携帯電話会社が月額5000円前後の定額でスマホ向けのデータ通信サービスを提供する中、日本通信とアマゾンが手がける新サービスの最大の競争力が月額2000円を切る料金となるのは間違いない。
日本通信によると、スマートフォン利用者の3人に2人は1カ月当たりのデータ通信量が500MB以下なのだという。大手携帯電話会社の場合、通信量の上限をほとんど意識せずにデータ通信サービスを利用できるという安心感がある反面、利用者は「無駄に高額な通信量を支払っている」(同社)可能性があった。
日本通信は契約者の利用状況をリアルタイムで把握して課金する仕組みなどを使うことで、アマゾンとの提携サービスを実現した。「データ通信料は使った分だけ」という消費者が納得しやすい料金体系によって、日本の携帯電話業界に新風を吹き込む考えだ。
日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120619/233487/