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日本棋院シアトル囲碁センターの福田氏が辞任

 米国の西海岸を旅された囲碁好きなら、岩本薫先生の基金によって建てられた「シアトル囲碁センター」を訪問された方は少なくないと思います。そして立ち寄った方々はそこでフランク・福田氏にお世話になられたことと推察します。

シアトル囲碁センター


ここをクリック→ 福田氏の辞任を報じる記事(AGA発行)

 氏は1995年より日本棋院のシアトル代表の職にあられたが、今回、日本棋院がシアトル囲碁センターを売却することになったため、辞任されることになったと米国囲碁協会(AGA)発行の新聞が報じています。

翔年は、2005年8月24日「US GO Congress 余聞(2) B氏のファミリー」にシアトル囲碁センターの事を書いています。(興味のある方はどうぞ!


 シアトル囲碁センターの売却は囲碁界のみならず、世界におけるわが国のプレゼンスの凋落を示す象徴的な出来事のように翔年は感じています。

 囲碁界がこうなった原因はいろいろあると思われますが、主因といったらこれに尽きると思っています。囲碁棋士の団体の一つである日本棋院は「棋士間の競争を生ぬるいものにしていた」ではないでしょうか。例えば棋士の強さを表すランキングシステムは、今に至るまで構築しませんでした。本来、強さの尺度であるはずの段位が、いつの間にか年功序列的な色合いを強めていき、棋士間の熾烈な競争が排除されてしまっていました。プロの世界ではゴルフにしろ、テニスにしろ、サッカーにしろ、強さの尺度を表すランキングはキチンとあります。囲碁では中国も韓国もその類の厳しいシステムは作っていますが、何故か日本の碁界では「日本棋院」も「関西棋院」もこのシステムを持っていません。強い言葉で言うなら「勝負師の堕落」というべきでしょう。ぬるま湯体質は、囲碁の技量において中国や韓国の後塵を拝すようになり、それにつれて世界への囲碁普及の熱意に於いても、かつての輝きはもう見られません。ぬるま湯体質は組織の力を徐々に殺いでいき、ついには棋院の経営にも失敗して、赤字の補填にてんやわんやの状態に陥ってしまったのでした。

 翔年はわが国の教育界や経済産業の世界に於いても、多かれ少なかれ日本棋院が陥ったようなぬるま湯体質とか、リーダーの高齢化(老害)とか、グローバルな視点の欠如などが散見されるので、強い危機意識を持っています。囲碁界は既に手遅れだと思います。 日本全体が日本棋院みたいなことになったら大変です。

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