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ノバルティスのアフィニトール、乳がん適応申請へ





DJ-ノバルティスのアフィニトール、乳がん適応申請へ

2011-07-05 21:26







チューリヒ(ダウ・ジョーンズ)スイスの製薬大手ノバルティス(NYSE:NVS)は5日、抗がん剤「アフィニトール」(一般名:エベロリムス)の乳がん適応に関し良好な臨床試験(治験)結果が得られたとし、年末までに世界各地で承認申請を行うと発表した。これにより、アフィニトールが「ブロックバスター」(年間売り上げ10億ドル以上の製品)に成長し、同社の一部製品の特許切れで見込まれる売上高への影響を相殺する見通しが強まった。

発表によると、第3相臨床試験で進行性乳がん患者にアフィニトールとエストロゲン阻害剤のエキセメスタン(一般名)を併用投与したところ、プラセボ(偽薬)とエキセメスタンを投与した群に比べ、無増悪期間が「有意に」延長された。被験者は700人以上で、主要評価項目を達成したという。結果詳細は年内に発表するとした。

ノバルティス・オンコロジー事業部プレジデントのエルベ・オプノー氏は「進行性乳がんの治療は進歩したものの、大半の女性は最初から(ホルモン)療法抵抗性か、徐々に抵抗を示すかのどちらかだ。今回の治験結果では、(アフィニトールとエキセメスタンの)併用で、こうした患者が化学療法を必要とするまでの期間を延長できる可能性が示された」と述べている。

アフィニトールはがん細胞増殖を引き起こすタンパクを阻害する働きがあり、すでにほかのがんの適応が米欧で承認されている。2010年通期売上高は前年比3倍以上の2億4,300万ドルで、乳がんの適応が承認されればブロックバスターになる公算が大きいとアナリストらは予想している。

ノバルティスは細胞増殖をつかさどるHER2タンパクの過剰発現がみられる、いわゆるHER2陽性乳がん患者へのアフィニトール使用についても研究を進めている。

アナリストらが、副作用の可能性など試験結果の詳細を待つ必要があるものの、アフィニトールが米欧で規制当局の承認を得る可能性はこれで高まったとしている。またノバルティスが巨額の売上高を誇る高血圧症治療薬「ディオバン」や抗がん剤「グリーベック」などの特許切れによる売り上げ減を補える見通しも改善したという。

ノバルティスではアフィニトールのほか、すでに発売された多発性硬化症(MS)治療薬「ジレニア」や複数の肺疾患向け治験薬が向こう数年間の売上高の伸びを支える公算が大きい。
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