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さまようマネー、銀行預金に緊急避難 リスクを回避
「預貸ギャップ」4月も最大に 復興資金需要伸びず






 

 東日本大震災をきっかけにマネーが銀行預金に逃げ込んでいる。日銀が12日に発表した4月の貸出・資金吸収動向(速報)によると、メガバンクや地方銀行などの預金残高は過去最高を更新した。一方、復旧・復興に向けた企業などの資金需要はまだ本格化せず、銀行預金から貸し出しを差し引いた「預貸ギャップ」は過去最大規模に広がった。銀行預金が貸し出しに回らない構図が、長期金利/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E4E1E0E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXの低下を促している。



 4月の銀行預金の平均残高(都銀等、地銀、第二地銀の合計)は前年同月比2.7%増の557兆5945億円と、日銀が公表を始めた1991年7月以降の最高を記録。日銀は「震災後に企業が手元資金を厚めにする動きが続いた」(調査統計局)とみている。



 震災後は個人投資家の資産運用意欲も冷え込んだ。リスクを取りにくくなった個人は、投資信託を解約した資金や個人向け国債/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5EAE5E1E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXの償還資金などを銀行預金に置いたままにしたことも、預金が積み上がった一因とみられる。



 銀行預金に集まった資金はどこに向かうのか――。被災した企業が工場を建て直したり、生産を再開したりするようになれば、必要な設備投資や運転資金が増える。それに応じて銀行の貸し出しも増え、マネーが「経済の血液」としてうまく巡り出す。



 ところが復旧・復興に向けた動きはまだ鈍い。4月の銀行の平均貸出残高は395兆6456億円と、前年同月比1.0%減少した。震災後の資金需要が一部出始めたことで減少幅は縮まったが、マイナス圏にとどまったままだ。



 結果として4月の「預貸ギャップ」は前月より約7兆301億円多い161兆9489億円まで膨らんだ。震災前も企業の資金需要低迷を背景に拡大傾向にあったが、4月は伸びが一気に加速。2カ月連続で過去最高を更新した。



 だぶついたマネーが向かう先は、おのずと限られる。可能性が高いのは国債などの安全資産だ。足もとでは商品相場が急落するなど世界的に投資家のリスク回避志向が強まり、銀行の資金運用はなおさら「安全志向」に傾きやすくなっている。



 さまようマネーが国債に流入し、市場では「10年物国債利回りの1.1%割れが視野に入ってきた」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との指摘が出ている。ただ資金が国債に過度に集中すれば金利形成がゆがむため、その反動には注意が必要だろう。



〔日経QUICKニュース 西田玲子〕

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