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[健康食品業界特集]大豆ビジネスを世界に展開=大塚製薬
12月15日に東京証券取引所1部上場を果たし、グローバル成長に本腰を入れる大塚ホールディングス(HD) 。今年、第一生命 以来の大型上場は、公募価格2100円に対して初値は2170円となった。大豆を用いた製品を世界展開するキーワードがSoylution。「Soylution(ソイリューション)」とはSoy(=大豆)とsolution(=解決)の造語で、大塚グループが世界展開に掲げているスローガンである。古くて新しい食材である“大豆”を用いた製品群と戦略について、大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部製品部部長でありSOYSHプロダクトマーケティングマネージャーを兼務する高谷浩司氏に話しを聞いた。
――東証1部に上場したことについて
大塚グループは、大きな柱として医薬品事業とともに、科学的根拠のある製品をnutrition(=栄養)とpharmaceuticals(=医薬品)を掛け合わせた造語である「Nutraceuticals(ニュートラシューティカルズ)」と名付けて、世界の人々の健康に役立つ製品を開発し、販売する事業を展開している。この事業においてさらなる世界展開を目指すことも上場した理由のひとつになっている。特に大豆は大塚グループの大きなテーマになっていて、「SOYJOY(ソイジョイ)」をはじめ、「Soylution(ソイリューション)」のコンセプトを具現化した製品でグローバル展開を狙っている。
――中国およびグローバル展開について
製薬会社としては早い時期から海外進出を積極的に行ってきた。1973年にタイ大塚製薬設立とアメリカ・パロアルトにアメリカ事務所を設立し、その後も台湾、エジプト、韓国ほか、多くの国で事業所や研究所の設立および当該国の製薬会社などと資本関係を締結してきた。中国には1981年に「中国大塚製薬」、1993年に「広東大塚製薬有限公司」、2002年には「四川大塚製薬」、「天津大塚飲料」を設立し、その後も拠点を拡大して現在大塚グループの中国拠点は24社を数える規模に成長している。まずは医薬品で参入し、「ポカリスエット」などのニュートラシューティカルズ製品でプレゼンスを確立。また、同グループがグローバル展開を視野に入れた「Soylution(ソイリューション)」の製品第1弾に位置づけている「SOYJOY(ソイジョイ)」の中国での販売は2006年からで、同年度中に日本・中国・米国と立て続けに現地生産による販売を開始した。
――「Soylution(ソイリューション)」の取り組みは?
Soy(大豆)とsolution(解決)を組み合わせた造語で、大豆を用いた製品を開発して販売することにより、大豆のチカラを世界に広める思いを込めた取り組み。
大豆は生の粉にするのが難しいとされていた食材で、生の状態で粉にすると灰汁(あく)や渋みが出てしまう。炒って粉にすると黄な粉(きな粉)になってしまう。そこで、大塚グループは大豆を生の状態で粉にする独創的な技術にめぐり合い、原料に御殻(おから)の成分も含む飲料として具現化したはじめての商品が2002年から販売している「スゴイダイズ」になる。大豆固形分が8%ぐらいで豆乳とされているのに対し、「スゴイダイズ」は約14%。そこで“まるごと大豆飲料”をうたい文句にした。
2003年の国際連合食糧農業機関(FAO)の調査によると、1年間にアメリカ人が摂取する大豆食品は1人当り約40グラムに対し、日本人は1日だけで約56グラム摂取している。日本では豆腐や味噌などで食文化として定着しているが、欧米で大豆が健康に良い食材として注目が集まるようになったのは食材を研究する専門家たちが大豆を“ミラクルフード”(奇跡の食品)と呼ぶとともに健康志向が高まるようになってからだ。
大塚製薬は世界中の人々に大豆の高い栄養価を知ってもらうとともに摂取してもらう機会、すなわちマーケットの広がりに可能性を感じた。そのためにも大豆を摂取しやすいようにして展開していこうという考え方が根底にある。その第1弾になったのがバータイプの「SOYJOY(ソイジョイ)」。SOYJOY(ソイジョイ)はSoy(=大豆)とJoy(=楽しむ)を組み合わせた名前である。
――大豆生産地における大豆の用途と人とのかかわり?
米国は世界一の大豆生産国で年間に約7500万トン生産している。アルゼンチンは大豆の主要生産国でもあるにもかかわらず人は全く摂取しないことで知られる。なぜならば、大豆は食用油にした残りを家畜の飼料にするのが一般的であるからだ。それだけに人が口にすることに抵抗感を抱くのではないだろうか。限られた都心部のベジタリアンは豆腐や枝豆を食べるが地方に行くほど大豆は摂取されなくなる。いかに馴染みやすく食べやすくするか検討を重ねた結果、バータイプにして食べやすくしたのがSOYJOY(ソイジョイ)になる。
大塚製薬は日本の食文化である大豆を世界の人々に食してもらうように働きかけ、畑の肉と呼ばれる良質のたんぱく質を含む大豆を広めるべく取り組んでいる。さらに大豆には特有のオリゴ糖、レシチン、サポニン、イソフラボンなどが含まれている非常にバランスがとれた食材である。
――環境問題や食糧問題にかかわることがあると聞くが?
開発途中で分かったことがある。大豆が解決する問題は健康だけではなく一つは食糧問題に大豆が社会貢献できると考えている。総務省発表のデータによると世界の人口は今後も増え続け2025年には80億人、2050年には90億人と算出されている。食糧問題が現在以上に深刻化するものと考えられる。
牛肉1キログラムを得るために必要な穀物は10キログラム。米国コーネル大学のデビッド・ピメンテル博士の研究によると、アメリカで1年間に使われる家畜の飼料は約8億人分の食糧に値すると発表している。また、水の使用量では、牛肉1キログラムに約10万リットルを要するのに対し、大豆は肉の50分の1の量、すなわち約2000リットルでおさまる。エネルギーに目を向けると、1キロカロリーの牛肉の生産に必要な化石燃料は40キロカロリー相当だが大豆は2.2キロカロリーで済むため、エネルギーは約20分の1の量で済む。大豆には食糧問題と同時に環境問題の解決にも貢献できる可能性を秘めている。大豆のチカラで人の健康とさまざまな問題を解決する、それはまさに大塚グループが目指す「Soylution(ソイリューション)」である。
――海外での展開状況は?
日本も含めて世界7ケ国・地域で販売している。中国で「SOYJOY(ソイジョイ)」を販売しているのは維維食品飲料、米国はファーマバイトが販売している。その他、韓国、台湾、インドネシア、シンガポール。
欧州は2009年にフランスのニュートリション エ サンテ社という栄養食品会社を完全子会社化した。同社を欧州へのニュートラシューティカルズ事業展開の礎としながら、欧州圏はこれから本格化させる予定。
もともと大塚製薬は「ポカリスエット」をはじめ、日本発の製品を海外に展開していたが、「SOYJOY(ソイジョイ)」の場合は当初から日本・中国・米国で生産する、グローバル戦略商品と位置づけていた。
「Soylution(ソイリューション)」の第1弾はSOYJOY(ソイジョイ)と位置づけている。発売当初は4種類だったが、現在は11種類の味に増えている。SOYJOY(ソイジョイ)は大豆を楽しむというコンセプトがあるため、種類が増えることによる選択の楽しみも追求する。
――新感覚の大豆炭酸飲料「SOYSH(ソイッシュ)」とは?
Soylution(ソイリューション)の位置づけとして第1弾が「SOYJOY(ソイジョイ)」、第2弾が「SOYSH(ソイッシュ)」になる。
毎日大豆を摂取してもらうことを考えたとき、食べる物よりも飲む物がよいだろうと考えた。しかし、豆乳のあと味に不快感を抱く人が海外には少なくないということが調査から分かった。豆乳を苦手とする人にも受け入れられる飲料の開発が不可欠で、高い濃度を感じさせずに飲みやすくするために、炭酸飲料にする案が持ち上がった。
しかし、乳製品を炭酸飲料にするには大きな問題があった。それは、乳製品が酸性に偏ると凝集してしまうのだ。乳製品と炭酸がまじわると乳製品の濃度が高まるほど凝集しやすくなってしまう。そこで独自の開発を重ねて大豆固形分を調整豆乳と同じぐらいの成分量である約7%を保持しつつ、あと味がすっきりとして飲みやすい炭酸飲料とすることに成功した。それだけデリケートな飲料なので、褐色の瓶を用いると共に、包装にもこだわっている。
製品として発売するまでに開発期間は約1年半を要した。現在は消費者の声を聞き、購買層を調査することを目的に販売チャネルは通信販売に限定している。新しい飲料である「SOYSH(ソイッシュ)」は「Soylution(ソイリューション)」の第2弾という観点からも成功させなくてはならないと考えている。2010年7月に販売を開始して以来、「SOYSH(ソイッシュ)」の販売数は予想を上回る伸びである。「SOYSH(ソイッシュ)」の購入者のリピート率は約60%できわめて高く、発売から4ケ月目ですでに累計本数100万本を突破した。先月には日別の最大販売数を記録するなど、理想的な逓増傾向ととらえている。
――昨今の健康志向に潮流はあるか?
一時期、健康をテーマにしたテレビ番組が多かったが、現在では激減した。それまで消費者は、新しい成分や食材が紹介されると敏感に反応したが、現在はそういった傾向は見られない。むしろ、既知の成分や日常の食事で摂取できる食材選びがポイントになっているのではないだろうか。
大豆に含まれる成分はタンパク質、食物繊維、ミネラル、ビタミンのほか大豆特有のイソフラボン、レシチン、サポニン、オリゴ糖などだが、大塚製薬では特定の成分を取り出して特定の効能をPRするのではなく、大豆をまるごと摂取してもらうことが有用であると考えて商品を開発している。
大豆は約5000年前に中国で見つけられた非常に古い食材でありながら、今なお毎年1000件近い研究論文が発表されている。すなわち大豆こそ“古くて新しい食材”である。今後も大豆製品を開発し、世界的に通用する大豆商品を開発していく「大豆ビジネス」が大塚グループの方針に掲げられている。グローバルビジネスのスローガン、それが「Soylution(ソイリューション)」。(編集担当:小林南々穂)
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20110111-13481165-scnf-bus_all
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大塚ホールディングス(4578)
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