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日銀の追加利上げ観測が強まり銀行株が上昇

先週金曜日の米国株式相場は上昇した(DJIA +166.19 @44,888.25, NASDAQ +157.69 @19,218.17, S&P500 +33.64 @6,032.68)。ドル円為替レートは150円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,066に対して、下落銘柄数は512となった。騰落レシオは114.88%。東証プライムの売買代金は3兆9896億円。

TOPIX +34 @2,715
日経平均 +305円 @38,513円

先週金曜日の米国では、感謝祭の翌日のため午後1時までの短縮取引だった。トランプ次期大統領の経済政策(減税と規制緩和)に対する期待と米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げをするという期待と、バイデン政権が検討中の対中国半導体輸出規制は当初予想されたよりも厳しくはないとブルームバーグが報じたことが株式相場を支えた。長期金利は前営業日の4.26%を下回る4.20%前後で推移した。ダウ工業株30種平均とS&P500は揃って史上最高値を更新した。

BBCとのインタビューで柳井正会長兼社長が新疆ウイグル自治区(人権侵害の疑いがある)の綿は使用していないと発言した。本日12月2日の東京市場では、中国側の反発で不買運動がまた起こると懸念され、ファーストリテイリングの中国事業(連結売上高の2割強を占める)の先行き不安を警戒した売りが出た。また、足元の円高基調による(海外売上高が50%以上ある)による減益見通しもあり株価は4.5%下落した。そのため日経平均は下げる場面があった。しかし、午後になると年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用利回りを引き上げる(現在よりも0.2%アップ)と報道された。すると、株式の組み入れ比率引き上げに伴い株式の需要が増加するとの見立てから買いが優勢となった。

日銀が12月18~19日に開催する金融政策決定会合で追加利上げを実施するとの観測が強まり、10年債利回りは一時1.08%まで上昇し、銀行株や保険株は上げた。特に、メガバンク3行(2~4%高)よりも北洋銀行(7%高)、筑波銀行(6%高)、富山第一銀行(7%高)など地銀株の上昇が目立った。地銀の貸出金利は短プラ(短期プライムレート)に連動する貸出の割合がメガバンクよりも大きい。7月の利上げを反映した貸出金利の上昇は9月に始まったが、12月の金融政策決定会合でも追加利上げが決まればさらに利ザヤが拡大して利息収入が増加すると期待される。それを見込んだ本日の地銀株買いだった。

米国景気は好調だが、中国景気は2021年8月に不動産価格がピークを付け、住宅価格が政府のバブル抑制政策により値下がりし始めているため、中国経済はデフレ色を強めている。住宅価格は家計の資産の大半を占めるため、逆資産効果が働いており、消費は低迷している。そのため中国の電気自動車(EV)メーカーは激しい値下げ競争で売り上げを増やそうとしている。中国とは対照的に、日本のCPIは生鮮食品を除くベースで10月まで2年7カ月連続で2%以上の上昇率を続けている。これは1992年12月以来、実に32年ぶりの記録である。日銀にとっては利上げしやすい環境が整いつつある。ということは日本の景気も追加利上げを目前にして好調継続を期待しずらくなっている。

日経平均の日足チャートを見ると、下ひげを引いた陽線で終えた。下向きの10日移動平均線とほぼ水平の60日移動平均線の上に再浮上したが、ほぼ水平の25日移動平均の下に沈み込んだままである。しかし、強い悪材料が飛び出して来なければ、目先は上方向の力が強そうだ。

33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、保険(1位)、銀行(2位)、非鉄金属(3位)、証券(4位)、輸送用機器(5位)となった。


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