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嵐を前にして漁に出港するのは賢明ではない

昨日の米国株式相場は高安まちまち(DJIA +344.43 @42,931.60, NASDAQ +50.45 @18,540.01, S&P500 -10.69 @5,853.98)。ドル円為替レートは150円台後半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が135に対して、下落銘柄数は1,493となった。騰落レシオは101.71%。東証プライムの売買代金は3兆8079億円。

TOPIX -28 @2,651
日経平均 -543円 @38,412円

米国では、米景気が堅調なため利下げペースが落ちるとの見通しに加えて、米大統領選挙でトランプ前大統領が当選した場合には財政がさらに悪化するとの見立てから米10年債利回りが先週末の4.075%から4.195%へ上昇した。その結果、株式相場は既に6週連続で上昇し続けていたこともあり、幅広い銘柄で利食い売りが優勢となり、ダウ工業株30種平均は下落した。他方、エヌビディアをはじめとするハイテク株は買われた。

本日10月22日の東京市場では、日米ともに大きな選挙を控えているため政治の先行き不透明感から海外投資家が先物で売り仕掛けをしたため、日経平均の下げ幅は一時700円を超えた。足元では日米ともに長期金利が上昇基調にある。また半導体を巡っては米国が対中輸出規制を強化する法案の審議が最終段階にあり、近々公表されることへの警戒感もあり、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連銘柄が下落した。各種世論調査によれば衆院選で与党は苦戦しており過半数を割り込む可能性が高まっている。1ドル=151円台まで円安ドル高が進んだが、輸出関連が買われる動きは限定的だった。金利上昇に弱い不動産銘柄は売られた一方、株主還元政策が材料となっている海運大手は逆行高となった。

国内債券市場では長短の金利差が縮小してイールドカーブのフラット化が進んでいたが、ここにきて止まったことが話題になっている。衆院選挙後の財政出動強化を見越して、金利上昇を予想して超長期債を買う動きが止まった(金利が上昇すると債券価格は下落する➡含み損を抱えることになる)からだ。9月だけで信用金庫が超長期国債を5728億円買い越していた。信用金庫はただ単に長期国債を買うのではなく、金利スワップ(この場合、固定金利支払い、変動金利受け取り)を活用して「アセット・スワップ」にしていたとの推測がマーケットで出ているが、あながち外れてはいないだろう。私自身もかつてアセット・スワップを事業法人に売っていたからよく分かる。このアセットスワップの出来上がりは、信用金庫から見ると「超長期国債の利息受け取り、同期間の固定金利支払い、変動金利受け取り」となる。「超長期国債利回り>スワップの変動金利支払い」が続く限り、スワップ取引を約定した瞬間にこの部分で満期まで受け取り超(プラスα)を確保できる。受け取りの方は変動金利(L)になるが、今後金利が上昇する可能性が高いので、先へ行くほど受け取る利息が増加して行く。結局、信用金庫の運用利回りは(L+α)という変動金利に変換される。単純に市場の変動金利で運用するよりも「α」だけ高い利回りを確保したことになる。

日経平均の日足チャートを見ると、長大陰線を引いて下落し、一時は上向きの25日移動平均線の下に沈み込んだが、終わり値では25日移動平均線にちょうど接するところで止まった。今日で10日連続陰線となった。25日移動平均線がまだ上向きなので一縷の望みは残っているが、上昇基調を回復するにはかなり時間が掛かりそうである。とにかく日本の衆院選と米国の大統領選挙を通過するまでは不安定な相場が続くと見る。ここまでは相場の読みであり、ここで終たら単なる評論家である。我々実践家にとっては相場の読みよりも、「だから、どうするか」の方が遥かに重要である。建玉法が確立できている人は昨日の動きで全つなぎで買いポジションに(自動的に)蓋をしているか、一旦全買い玉を手仕舞い売りをしたと思う。今日現在何もポジションを持っていない人は、今は敢えて何もせず静観しておくのが良いだろう。空一面が俄かに曇って来て強い嵐が襲ってきそうなときに敢えて漁に出港するのは賢明ではない。

33業種中31業種が下げた。下落率トップ5は、機械(1位)、建設(2位)、不動産(3位)、証券(4)、銀行(5位)となった。

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