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米労働市場の過熱感は完全に解消したようだが・・・

昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA +38.04 @40,974.97, NASDAQ -52.0 @17,084.30, S&P500 -8.86 @5,520.07)。ドル円為替レートは143円台前半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が784に対して、下落銘柄数は803となった。騰落レシオは110.48%。東証プライムの売買代金は4兆2056億円。

TOPIX -13 @2,621
日経平均 -391円 @36,657円

米国では、今週金曜日の8月米雇用統計の発表を控えて、様子見ムードが強まり、小動きとなった。それでも9月4日の「恐怖指数」と言われる株価の変動性指数VIXは節目の20を超えているので不安定である。

7月の米雇用動態調査(JOLTS)では7月JOLTS求人件数が予想を下回り(非農業部門求人件数767.3万件<予想810万件)、インフレが急上昇する前の2021年1月以来の低水準となった。失業者一人当たりの求人件数は1.07件(<1.2件:新型コロナウィルス感染が始まる直前)まで低下した。これにより労働市場の過熱感は新型コロナ禍が始まる前を下回るほどになり、過熱感は完全に解消した。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が0.25%ではなく0.5%になる可能性が高くなり、先の金利低下を見越して米国債が買われたため、10年債利回りは前日の3.844%から3.757%へ低下した。また、2年債利回りも前日の3.888%から3.760%へ低下して、長短金利の逆転(短期金利>長期金利=景気後退の兆候)が解消した。

ただ、まだ大幅利下げが決定的とは言えない。「サーム・ルール」(直近3カ月の平均失業率が過去1年間の平均失業率を0.5ポイント上回れば景気後退が始まっているという経験則:景気の悪化により失業者が増えることを前提としている)をマーケットは警戒している。7月は0.53ポイントとなりマーケットに動揺が走った。ただし、この経験則の有効性は若干変化している。それは労働市場の変化に原因がある。最近は移民の急増により労働力人口が急拡大していることが主因でテクニカル的に失業率を高めていると推察できるからである。いずれにせよ、8月の雇用統計が残っている。

本日9月5日の東京市場では、米長期金利の低下を反映して円高・ドル安が進み自動車・機械などの輸出関連銘柄を中心に売られた。日経平均の下げ幅は一時700円を超えたが、下値では押し目買いが入って下げ幅を縮小した。7月JOLTSに続き8月米雇用統計の発表を控えて神経質な動きとなった。9月5日に日銀の高田創審議員が賃上げの持続性が確認できれば徐々に利上げするという趣旨の発言をし、株式相場の重しとなった。9月5日、厚生省は7月の毎月勤労統計(速報)を発表した。物価変動の影響を除いた実質賃金の前年同月比伸び率は2カ月連続でプラスとなった。

下値ではGPIFが買っているとマーケットでは噂になっている。GPIFのアセットアロケーションは、国内株(25%)、外国株(25%)、国内債(25%)、外国債(25%)に分散投資されているが、株価の下落などにより国内株の比率が下がるとリバランスのために買い増しをするからだ。8月初旬とは違い、今は追証による投げ売りリスクは小さくなっている。GPIFによる下値での買いと投げ売りリスクの低下の組み合わせは、安値になると投資家の買い安心感を増すのではないだろうか。

日経平均の日足チャートを見ると、続落したが上下に長いひげをひいた短陽線で終えた。25日移動平均線を完全に割り込んでいる。今日の下ひげが上向きの260日移動平均線に接するところまで下げてきている。中期的な視野で見ると、1980年以降の日本株の経験則では260日移動平均線が上向きである限り、ある程度下げるとまた反発しやすいので押し目買いが有効となる。百聞は一見に如かず。興味ある人は自分で確認することを勧めます。

33業種中18業種が下げた。下落率トップ5は、保険(1位)、医薬品(2位)、海運(3位)、輸送用機器(4位)、小売り(5位)となった。

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