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Testimony of George Soros #1
11/13に行われた、米下院監督・政府改革委員会公聴会でのソロス氏の証言原稿
http://oversight.house.gov/documents/20081113120114.pdf
面白そうなので、和訳していきます。訳が正しいかどうかは保証しかねます。。。日本語がわかりにくいところは、英文を読んでみて下さい。括弧内は私の補足です。
#2
http://minkabu.jp/blog/show/100681
#3
http://minkabu.jp/blog/show/100731
#4
http://minkabu.jp/blog/show/100980
#5
http://minkabu.jp/blog/show/101167
*********************************
議長と委員会のメンバーに感謝します。
現在の金融危機の目立った特徴は、原油価格の上昇や特定の国家や金融機関の破綻のような外的要因に起因するものではないことである。危機は金融システムそれ自体によって生成された。この事実、つまり欠陥がシステムに初めから内包されているということは、一般的な理論に矛盾する。その一般的な理論とは、金融市場は均衡状態に向かっていく傾向があり、その均衡からの逸脱はランダムに発生するか、マーケットが対応するのが困難な突発的な外的事象によって引き起こされるというものである。現在の危機の重大さと大きさは、一般的な理論と、市場に同調する規制のやり方というものに、根本的に間違っている何かが存在するという説得力のある証拠を提供する。何が起こったか、そしてこのような壊滅的な危機を避けるためには何がなされるべきかを理解するためには、市場がどのように動いているかについて新たな考え方をすることが求められる。
過去18ヶ月において展開された今回の危機についてよく考えてみよう。もっとも近接的な要因は、住宅バブル、より正確に言えばサブプライムモーゲージ市場の行き過ぎに見い出される。住宅価格の二桁の上昇が長く続けば続くほど、融資態度が緩くなった。最後には、人々は膨張した住宅価格の100%を頭金なしで借りることができた。関係者たちは、収入なし、仕事なし、質問なしで借りられるサブプライムローンのことをNINJAローンと呼んだ。("no income, no job, no questions asked"と書かれているのでそのまま訳しました。一般的にはNINJAローンは、"no income, no job, no asset"の略と説明されます。)
住宅価格が2006年にピークを打ち、サブプライムローンの貸し手が2007年の4月頃に破産申請を始めてから、行き過ぎは明白になった。その問題は、2007年の8月に危機的なスケールに達した。連邦準備制度(Fed)と他の金融当局は、サブプライムローン危機は1000億ドルくらいの損失をもたらす程度の単独の現象であると信じた。しかし、危機は驚くべき速度でほかの市場へと広がっていった。高いレバレッジをかけていたいくつかのヘッジファンドが破綻し、管理の緩かったいくつかの金融機関が破産を申請した。
多くの金融機関の信用力への信認が揺らぎ、銀行間取引は途絶した。立て続けに、CDOからARSまで種々の難解なクレジット市場が崩壊した。比較的穏やかで部分的な回復の後、危機は再び発生した。2008年1月にはソシエテジェネラルの不正トレーダーによって。4月にはベアスターンズの破綻と結びついて。6月には、ロサンゼルスで最大の貯蓄銀行であるインディマックが破産管財人の管理下に置かれ、米国で過去4番目の規模の銀行破綻になったことによって。最も深い墜落は、9月のリーマンブラザーズの無秩序な破綻によって引き起こされ、リーマンによって発行されたコマーシャルペーパー(CP)の保有者は、お金を失った。
それから信じられないようなことが起こった。金融システムは、実際に崩壊した。リーマンが発行したCPに投資していたマネー・マーケット・ファンド(MMF)が元本割れを起こし、そのようなファンドは安全で流動性があるという暗黙的な約束が破られた。この出来事によりMMFからの資金の流出が起こり、MMFはCPを購入するのを止めた。彼らは最大の買い手だったため、CP市場は機能停止に陥った。CPの発行企業は、クレジットラインの縮小を強いられ、銀行間取引は停止状態になった。クレジットスプレッド、即ち無リスク金利に上積みするリスクプレミアムは前例のないレベルまで拡大し、しまいには株式市場がパニックに打ちのめされた。これらは全て一週間のうちに起った。
心停止になった金融システムにおいて、それはモラルハザードの懸念よりも優先された。すなわち、困難に陥った金融機関の救済は将来、無謀な振る舞いを助長する危険性がある。そして、当局は巨額のお金を注入した。Fedのバランスシートは、数週間のうちに8000億ドルから1兆8000億ドルに膨らんだ。欧米の金融当局は他のいかなる大手金融機関の破綻も許容しないことを約束した。
これらの前例のない方法は、効果を発揮し始めた。銀行間取引は復旧し、LIBORは改善した。金融危機は、和らぐ兆候を見せ始めた。しかし、グローバルの金融システムの中心に位置する銀行が破綻しないことを保証することは、当局が気付いていない新たな危機を引き起こした。東欧、アジア、ラテンアメリカなどは、同様の保証を提供出来なかった。そして、周辺から中央への(投資先から投資元への)資本引き上げが起こった。すべての通貨はドルと円に対して下落し、そのうちいくつかは急激な下落となった。コモディティ価格は転がり落ち、新興国市場の金利(政策金利ではなくて市場金利)は上昇した。それは信用リスクの保証料にも起こった。ヘッジファンドやほかのレバレッジをかけた投資家は甚大な損失を被り、マージンコールと強制売却を強いられ、それは中央の(投資元の)市場へも広がっていった。
#2へ続く
http://minkabu.jp/blog/show/100681
http://oversight.house.gov/documents/20081113120114.pdf
面白そうなので、和訳していきます。訳が正しいかどうかは保証しかねます。。。日本語がわかりにくいところは、英文を読んでみて下さい。括弧内は私の補足です。
#2
http://minkabu.jp/blog/show/100681
#3
http://minkabu.jp/blog/show/100731
#4
http://minkabu.jp/blog/show/100980
#5
http://minkabu.jp/blog/show/101167
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議長と委員会のメンバーに感謝します。
現在の金融危機の目立った特徴は、原油価格の上昇や特定の国家や金融機関の破綻のような外的要因に起因するものではないことである。危機は金融システムそれ自体によって生成された。この事実、つまり欠陥がシステムに初めから内包されているということは、一般的な理論に矛盾する。その一般的な理論とは、金融市場は均衡状態に向かっていく傾向があり、その均衡からの逸脱はランダムに発生するか、マーケットが対応するのが困難な突発的な外的事象によって引き起こされるというものである。現在の危機の重大さと大きさは、一般的な理論と、市場に同調する規制のやり方というものに、根本的に間違っている何かが存在するという説得力のある証拠を提供する。何が起こったか、そしてこのような壊滅的な危機を避けるためには何がなされるべきかを理解するためには、市場がどのように動いているかについて新たな考え方をすることが求められる。
過去18ヶ月において展開された今回の危機についてよく考えてみよう。もっとも近接的な要因は、住宅バブル、より正確に言えばサブプライムモーゲージ市場の行き過ぎに見い出される。住宅価格の二桁の上昇が長く続けば続くほど、融資態度が緩くなった。最後には、人々は膨張した住宅価格の100%を頭金なしで借りることができた。関係者たちは、収入なし、仕事なし、質問なしで借りられるサブプライムローンのことをNINJAローンと呼んだ。("no income, no job, no questions asked"と書かれているのでそのまま訳しました。一般的にはNINJAローンは、"no income, no job, no asset"の略と説明されます。)
住宅価格が2006年にピークを打ち、サブプライムローンの貸し手が2007年の4月頃に破産申請を始めてから、行き過ぎは明白になった。その問題は、2007年の8月に危機的なスケールに達した。連邦準備制度(Fed)と他の金融当局は、サブプライムローン危機は1000億ドルくらいの損失をもたらす程度の単独の現象であると信じた。しかし、危機は驚くべき速度でほかの市場へと広がっていった。高いレバレッジをかけていたいくつかのヘッジファンドが破綻し、管理の緩かったいくつかの金融機関が破産を申請した。
多くの金融機関の信用力への信認が揺らぎ、銀行間取引は途絶した。立て続けに、CDOからARSまで種々の難解なクレジット市場が崩壊した。比較的穏やかで部分的な回復の後、危機は再び発生した。2008年1月にはソシエテジェネラルの不正トレーダーによって。4月にはベアスターンズの破綻と結びついて。6月には、ロサンゼルスで最大の貯蓄銀行であるインディマックが破産管財人の管理下に置かれ、米国で過去4番目の規模の銀行破綻になったことによって。最も深い墜落は、9月のリーマンブラザーズの無秩序な破綻によって引き起こされ、リーマンによって発行されたコマーシャルペーパー(CP)の保有者は、お金を失った。
それから信じられないようなことが起こった。金融システムは、実際に崩壊した。リーマンが発行したCPに投資していたマネー・マーケット・ファンド(MMF)が元本割れを起こし、そのようなファンドは安全で流動性があるという暗黙的な約束が破られた。この出来事によりMMFからの資金の流出が起こり、MMFはCPを購入するのを止めた。彼らは最大の買い手だったため、CP市場は機能停止に陥った。CPの発行企業は、クレジットラインの縮小を強いられ、銀行間取引は停止状態になった。クレジットスプレッド、即ち無リスク金利に上積みするリスクプレミアムは前例のないレベルまで拡大し、しまいには株式市場がパニックに打ちのめされた。これらは全て一週間のうちに起った。
心停止になった金融システムにおいて、それはモラルハザードの懸念よりも優先された。すなわち、困難に陥った金融機関の救済は将来、無謀な振る舞いを助長する危険性がある。そして、当局は巨額のお金を注入した。Fedのバランスシートは、数週間のうちに8000億ドルから1兆8000億ドルに膨らんだ。欧米の金融当局は他のいかなる大手金融機関の破綻も許容しないことを約束した。
これらの前例のない方法は、効果を発揮し始めた。銀行間取引は復旧し、LIBORは改善した。金融危機は、和らぐ兆候を見せ始めた。しかし、グローバルの金融システムの中心に位置する銀行が破綻しないことを保証することは、当局が気付いていない新たな危機を引き起こした。東欧、アジア、ラテンアメリカなどは、同様の保証を提供出来なかった。そして、周辺から中央への(投資先から投資元への)資本引き上げが起こった。すべての通貨はドルと円に対して下落し、そのうちいくつかは急激な下落となった。コモディティ価格は転がり落ち、新興国市場の金利(政策金利ではなくて市場金利)は上昇した。それは信用リスクの保証料にも起こった。ヘッジファンドやほかのレバレッジをかけた投資家は甚大な損失を被り、マージンコールと強制売却を強いられ、それは中央の(投資元の)市場へも広がっていった。
#2へ続く
http://minkabu.jp/blog/show/100681
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