そら豆の株予報さんのブログ
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2014年世界経済を見る勘所 リスクシナリオ総点検
2014年の世界経済の行方を占ううえで、市場関係者はどこに注目しておくべきなのか。株高や円安はまだ続くのか――。今年の経済・投資環境やリスクシナリオを総点検した。
①まず目が離せないのはチャイナ・リスクだ。
09年、筆者はアドバイザリーをしている中国の大手銀行主催の夕食会で、金融関係者と円卓を囲んでいた。上座に中国人民銀行の女性局長。その横に筆者。そして商業銀行の幹部クラスが共産党の肩書順に決められた席に座っていた。
金融危機という自由主義経済の失敗により、中国側は国家資本主義的な経済モデルに自信を深めていた時期である。
「日本でも国が経済を主導する時代ではないですか?」。そんな質問が筆者に飛んだ。
米国では銀行、そして米ゼネラル・モーターズ(GM)までが実質国有化。対する中国では集中的な景気刺激策が経済を浮揚させた。自信に満ちた局長の顔が印象的であった。
■米国経済は復活、中国は脱・成長至上へカジ
そして5年。GMの経営は好転した。米財務省は保有する同社株を全て売却。そして新しい最高経営責任者(CEO)に女性のメアリー・バーラ氏指名を自信に満ちた表情で発表した。米国経済は復活の道を歩み、中国経済は脱・成長至上へカジを切りつつある。
「中国経済はなりふり構わぬ景気刺激策のおかげで一時的に輝いて見えただけ。むしろ量的拡大型の成長のツケが回ってきた」との反省も現地では聞かれるようになった。
14年、中国のリスクは「成長と改革の二兎(にと)を追う」ことにあろう。「清く、正しく、低成長」を目指す習近平体制。「李克強首相は『改革と開放を断固追求し、市場参加者の創造性を刺激する』と訴える。そのためには国の独占を崩壊させねばならない」との声も北京の知識層から聞こえてくる。
しかし、中国国民は「改革の痛みと低成長の痛み」に耐えられるのだろうか。経済自由化を進めれば市場原理が導入される。規制されてきたエネルギーや土地の価格、そして金利も上昇する。
■四大格差への不満が連鎖的に拡散中
一方、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」などSNSを通じ、民間では四大格差問題に対する不満が連鎖的に拡散中だ。四大格差とは中国東部と西部の「東西格差」、都市と農村の「城郷格差」、国営企業と私営企業の「業種格差」、そして「貧富格差」を指す。
さらに、国有企業職員は全国職員数の8%にすぎないが、全国職員の給料総額の55%を占めるという「業種格差」。
農民は割り当てられた農地を売却したり賃貸したりする権利がない。地方政府が土地販売を独占することで、地方政府の重要な収入源となっているのだ。13年の三中全会で、農民が土地の使用権を融資の担保として認める土地改革案なども議論されたが、抵抗勢力の地方政府は既得権死守の構えだ。
社会不安の温床ともなっているのが、北京など大都市にまん延する「三奴」の傾向だ。カード、マイホーム、マイカーの奴隷となり、物欲が満たされないと不満を格差問題に置き換え、政府に対する抗議行動を引き起こす。
そこで14年の真の中国リスクが頭をもたげる。主要企業の隅々にまで張りめぐらせた共産党支配の限界である。開放改革経済をどこまで統治できるのか。さらに、軍と党の間の隙間風が「防空圏設定」という軍の独走とも思える地政学的リスクを生む。
加えて、13年末に突如実行された安倍晋三首相の靖国参拝は、日本という共通の脅威に対して軍と党が団結する機会を与えてしまった。これで14年中の日中関係修復は不可能になった。チャイナ・リスクは複合化の様相を呈している。
②2つ目は米国の金利リスクだ。
13年5月23日の株暴落の前週、筆者はノーベル賞経済学者でエール大学のシラー教授を研究室に訪ね対談した。
彼は自らが開発したCAPEレシオ(景気変動調整後の株価収益率)という指標を示しつつ、NY株が過熱気味であることに、すでにその時点で警鐘を鳴らしていたのだ。
■NY株の高値更新に増える警告
そして11月。彼はNY株のCAPEが25に達したとして「バブル警戒予報」を出した。一般的に28になるとオーバープライスという。著名投資家カール・アイカーン氏など、NY株の高値更新に警告を発する人は増えている。
14年は量的緩和縮小、そして次の段階である引き締めが意識される年ゆえ、NY株急落があるとすれば、そのキッカケはドル長期金利の急騰あるいはボラティリティーの乱高下であろう。
量的緩和政策は、国債買い取りを通じて米国の長期債利回りを直接的に抑制する。しかし緩和縮小から引き締めへの過程では、金融政策がフォワード・ガイダンスに移行する。これは口先介入のようなものだ。利上げが考慮される市場環境、特に失業率のハードルを6.5%と明示することで、引き締めの執行猶予期間を市場に伝え、市場の過度なインフレ期待を抑制する政策手法だ。
この6.5%を6.0%と低めに設定すれば、量的緩和が終了しても、利上げ実施までの時期は「実質的に15年以降」と理解される。市場はイエレン次期米連邦準備理事会(FRB)議長のメッセージを「引き続き緩和バイアス強し」と受けとめ、一定の安心感に浸る。
しかし、ここでマーケットの楽観が強すぎると、まさにバブルになる可能性がある。そこでタカ派が増える新しい米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つメンバーの意見もくみ上げ、コンセンサス重視のイエレン氏は「インフレ・ファイター」としてのクギ刺し発言も周到に準備しているだろう。
短期金利は歴史的な低水準に「長期間」維持することで、景気を下支えする。同時にフォワード・ガイダンスで長期金利を安定的な水準に維持する。
■長短スプレッド、レンジの上限に接近
13年後半の10年債利回りは上昇したものの2.5~3%のレンジに抑えられた。一方、短期金利のベンチマークである2年債利回りは0.25~0.3%の低い水準で推移した。この2年債と10年債の利回りスプレッドは歴史的に300ベーシス(3%)を上回ったことはないので、すでに、かなりレンジの上限に接近している。
もし、この長短スプレッドが300ベーシスを突破して急騰するケースは、市場がフォワード・ガイダンスという口約束に強い不信感を抱くときだ。
すでに13年9月、市場はバーナンキFRB議長の言葉を信じて、こっぴどく裏切られている。「緩和縮小延期」というちゃぶ台返しであった。この当日、筆者はNY証券取引所で友人の著名投資家ジム・ロジャーズ氏とフロアで対談していたのだが、ヘッジファンドが慌てて「倍返し」でポジションをひっくり返すなど、まさに修羅場と化していた。
14年は量的緩和という「直接的」に長期金利を抑え込む政策から、人間の心(期待感)に訴える「間接的」な政策に移行することがリスクである。失敗すれば、直ちに住宅金利上昇を通じて実体経済に悪影響を与える。そしてNY株も急落のリスクがある。
③最後は欧州が「日本型デフレ」に陥るリスクだろう。
13年後半の外為市場は最強通貨がユーロ、最弱通貨が円という展開となった。ユーロ圏がマイナス成長から脱し、スペインなどの経常収支が黒字化した。加えて欧州中央銀行(ECB)の「緩和度」がFRB・日銀に比べて弱いことで、相対評価によるユーロの対ドル・対円レートが急浮上したわけだ。
しかし、共通通貨導入により為替調整ができないユーロ圏諸国には、「国際競争力を高めるための通貨安競争参加」という選択肢がない。結局、賃下げという骨身を削る策に頼らざるを得ない。その結果は確かに企業業績は好転し株価も上がるのだが、国民は「緊縮疲れ」に陥り、需要が激しく減退。失業は増え、物価に低下圧力がかかる。ユーロ圏の物価上昇率は0.5~1%のディスインフレ状態が続きそうな様相なのだ。そうなると名目国内総生産(GDP)も増えず、税収も落ちて、財政出動もできず、さらなる緊縮政策を招くという負の連鎖に陥る。
■貸した側の独首相、国民との板挟みに
筆者は12年のギリシャ救済合意の当日、アテネにいた。その日の現地新聞の見出しは「ねばり勝ち」。流動性はECBが構造改革推進の条件つきで供給できるが、産業基盤が弱いのでソルベンシー(債務返済能力)改善は望めない現実を痛感した。借金は身の丈を超えると借りた者勝ち。貸した側のメルケル首相がドイツ国民との間の板挟みで呻吟(しんぎん)している。
14年はドイツ頼みの結果、「引っ込みメルケル」になるリスクをはらむ。セーフティーネット構築によりユーロ崩壊リスクは後退したが、ユーロ高の実態は脆弱である。
<日経電子版より>
豊島さん、相変わらず読ませますが
「ゴールドバイアス」と、オールタナティブサイドの反主流意識を
割り引いて読んでいます。
今年はNYも東京も「高所恐怖」と向き合わなければなりませんが、
2万円山を登る過程には
崖崩れがあったり、突風や豪雨もあると思います。
八合目あたりで「もう帰ろうよ」と言う内なる声もあるでしょう。
私は概ね好天で視界も悪くないと見てるので
昨年の三浦雄一郎さんの快挙に倣い、
頂上での美酒を夢見ています。
どうなりますやら。
そら豆さん、今年もよろしくお願いします。
中国はいずれ内部崩壊すると思います。