＜麻生財務相発言で株高・円安＞

  午後３時までのドル／円は９９円台で取引された。早朝に公表されたイエレン次期ＦＲＢ議長候補の証言原稿を受け９９．１０円まで下落したが、日経平均株価が堅調に推移すると、クロス円、ドル／円ともに上昇圧力がかかった。

 正午前に麻生財務相の発言が伝わり、日経平均先物が１万５０００円に迫ると、円売りの動きが加速。ドル／円は一時９９．７３円まで上昇した。


  麻生財務相は参議院財政金融委員会で「一方的な円安、急激な円高といった動きにはきちんとしたシグナルを送り、一方的な動きを止める。

 短期的利益を目的とした投機筋に対抗できるものを持っていないと迷惑をこうむるのは国民だ」と述べ、為替介入という政策手段を有しておくことは大事だとの認識を示した。
 
  麻生財務相は一般論を語ったにすぎないが、市場では海外勢がこの発言を利用して、相場の踏み上げを狙ったとの見方が出ていた。

＜イエレン氏公聴会はタカ派発言に警戒＞
  
  市場の関心はイエレン次期ＦＲＢ議長候補の公聴会に移っているが、参加者からは証言原稿がハト派的と受け止められただけに、質疑応答では逆にタカ派的な発言に警戒する声が出ている。
  
  ある大手邦銀関係者は「原稿はテーパリング（緩和縮小）を否定しているわけではなく、数字を伴っていれば踏み切る可能性は十分ある」と指摘。

 「フォワードガイダンスについては、ＦＲＢの中でコンセンサスがとれているわけではないので、きょうは出てこないだろう。

 そうなると、ハトに見えているものがタカに見えてくることも十分あり得る」と警戒感を示した。

 
  量的緩和に反対の議員に配慮し、極端にハト派的に偏らないようにバランスを取ると、逆にタカ派的と受け止められる可能性もある。


  証言原稿では、引き続き潜在的水準を下回る状況となっている経済と労働市場を下支えするため、ＦＲＢにはまだなすべきことがあるとの見解が示されている。

＜ＧＤＰは中身にほころびとの指摘＞
  
 
  内閣府が発表した２０１３年７─９月期国内総生産（ＧＤＰ）は、実質値で前期比０．５％、年率プラス１．９％と４四半期連続のプラス成長となった。
 
  みずほ銀行国際為替部マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は、外需寄与度が３四半期ぶりにマイナスになったことを挙げ、「円安が成長にあまり寄与していないのは明らかだ」と指摘。

  内需も消費税率引き上げの駆け込み需要でかさ上げされている部分があるとして「それらを割り引いてみると額面通り１．９％で良かったという話にはならない。

 仕上がり数字はいいが、中身にほころびが見られ始めている」と厳しい見方を示した。


                    ドル／円　　         ユーロ／ドル　         ユーロ／円
  
午後３時現在  ９９．６３／６５　１．３４６９／７３　１３４．２０／２４
  
正午現在　　  ９９．６０／６２　１．３４７２／７６　１３４．１９／２３
  
午前９時現在  ９９．２３／２５　１．３４８２／８６　１３３．７９／８３
  
ＮＹ午後５時  ９９．２１／２３　１．３４８６／８８　１３３．８３／８７