国内IT市場は堅調な成長を続けており、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含むIT市場は、今後も2~3%前後の安定成長が続くと予想されている。今後の成長ドライバーと期待されるのが、製造業などではDXに対するIT投資案件、金融業では「FinTech」を活用したサービス、通信関連では5G(第5世代移動通信システム)関連である。情報セキュリティなどに対するニーズの増大及びビッグデータ、IoTなどの新しい技術やサービスの登場も、市場拡大を後押しする可能性が高い。
同社は、クラウドサービスに関連する基盤構築などを得意としている。国内企業のクラウドサービスの利用状況では、2015年以降、毎年3ポイント程度利用率が上がっており、2022年には44.9%となった。直近のデータは未定ではあるが、この傾向が続いていると仮定すると2024年には50%以上に達していると想定され(弊社試算)、クラウドシステムが主流となる時代が近づいていると考えられる。クラウド化を進める要因としては、資産、保守体制を社内に持つ必要がない、どこでもサービスを利用できる、初期導入コストが安価、安定運用、情報漏えいなどに対するセキュリティが高くなる、などが挙げられる。
生成AI時代に入り、求められるIT人材も変化している。経済産業省が公開した「デジタル時代の人材政策に関する検討会 報告書2024」によると、生成AIを有効活用するためには、ビジネスユーザーとデータエンジニアリング人材(データマネージャー、データエンジニアなどのデータを共通言語とした橋渡し役)、IT専門家(データサイエンティスト、データアーキテクト、基盤エンジニア、ITパートナー企業)の3者が密に連携することの重要性が指摘されている。同社は、生成AI時代以前から顧客企業内でビジネスユーザーに寄り添うワークスタイルを得意としており、業務理解の深さが今後も活かされることが期待できる。
システムインテグレーターはSIer(エスアイヤー)とも呼ばれ、システムの開発・運用・保守を行う会社である。メーカー系、ユーザー系、独立系に分類され、同社は独立系に属する。メーカー系SIerはコンピュータなどのハードウェアを製造していたメーカーがSIも行うようになった企業であり、NEC<6701>、日立製作所、東芝<6502>、日本アイ・ビー・エム(株)などが代表例となる。中堅SIerにとっては、競合にも顧客にもなる。ユーザー系SIerは銀行、保険、通信、商社など大手企業の情報システム部が独立し、親会社や系列会社だけでなく、他社からの仕事も請け負うようになった企業であり、みずほリサーチ&テクノロジーズやNTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>などが代表例となる。中堅SIerにとっては、メーカー系SIer同様に競合にも顧客にもなる。なお、同社の属する独立系SIerは、BIPROGY<8056>やSCSK<9719>などが競合となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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