NSW<9739>では、成長戦略と財務健全性を両立した財務戦略の実現による持続的成長を目指している。健全な自己資本水準を維持するとともに、将来の企業成長に必要な投資を継続し、研究開発、M&A・アライアンス、人材育成などにも投資を行う意向である。一方、株主還元については、財務状況及び業績に応じた安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としている。
2022年3月期の1株当たり配当金については、前期比10円増の年間配当50円(中間配当20円、期末配当30円)、配当性向は21.5%であった。また、2023年3月期の1株当たり配当金については、前期と同額の年間配当50円(中間配当25円、期末配当25円)を予定しており、配当性向は21.6%となる見通しである。なお、2022年3月期の東証1部情報・通信業平均の配当性向は84.0%と2021年3月期の18.8%から大きく上昇しているが、これは当期純利益が前期比76.6%減少した一方、配当金が同5.2%増加したためである。これに対し同社の業績及び配当性向は安定しており、評価に値する。
同社では、売上高500億円規模へのさらなる業容拡大を目指しており、その過程でM&Aや他社とのアライアンスに資金を投じる可能性もあることから、大幅な増配よりも将来に向けた事業拡大を優先し、競争力の維持・向上を図る考えである。一方で、厳しい経営環境のなかでも安定的な配当を継続していることは、株主還元にも配慮する経営判断と評価できる。2023年3月期も保守的な業績予想に基づいた配当予想であることから、最終的な業績次第では増配の可能性もあると弊社では見ている。
なお、同社は2022年4月には東証の新市場区分に伴いプライム市場に移行したが、引き続き、ガバナンス強化と情報発信の充実を図るとともに、持続的な企業成長とさらなる企業価値の向上に取り組む意向である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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