3. 財務状況と経営指標
財務状況を見ると、2020年3月期末における資産合計は、前期末比2,305百万円増の30,516百万円となった。これは主に、受取手形、売掛金、有形固定資産などの減少があったものの、現金及び預金の増加したことによる。負債合計は、同128百万円増の9,144百万円となった。これは主に、退職給付にかかる負債の増加に伴い固定負債が増加したためである。純資産合計は主に当期純利益の計上に伴い同2,176百万円増の21,372百万円となった。
以上の結果、流動比率(流動資産/流動負債)は前期末比35.2ポイント上昇の321.3%となり、短期的な支払い能力は極めて高い。また、固定比率(固定資産/自己資本)は同5.2ポイント低下の40.7%であり、固定資産(設備投資等)の調達は、返済期限のない株主資本で十分に賄われており、同社グループでは借入金のない、無借金経営を続けている。さらに、自己資本比率は70.0%に上昇し、東証1部の情報・通信業の平均(2019年3月期平均40.2%)を大きく上回り、同社の財務の健全性は極めて高いと評価できる。
2020年3月期末における現金及び現金同等物の残高は、有形固定資産の取得や配当金の支払などの支出を営業活動の結果得られた資金により賄い、前期末比3,085百万円増の11,488百万円となった。
各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動の結果得られた資金は、3,887百万円(前期比1,229百万円の収入の増加)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益に対し、賞与引当金の減少、工事損失引当金の増加、売上債権の減少に加え、法人税等の支払額があったことによるものである。一方、投資活動の結果使用した資金は、306百万円(前期比117百万円の支出の減少)となった。これは主に、有形固定資産の取得や敷金及び保証金の差入による支出によるものである。さらに、財務活動の結果使用した資金は、492百万円(前期比73百万円の支出の増加)となった。これは主に、配当金の支払額によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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