日本システムウエア<9739>は、1966年創業の独立系ITソリューションプロバイダで、技術者が従業員の9割近くを占めるエンジニア集団である。ITソリューション、サービスソリューション、プロダクトソリューションの3つのソリューション事業を展開し、そのシナジーを生かしたIoT(Internet of Things:家電製品やセンサーなど様々なモノをネットワークに接続し、情報収集だけでなく遠隔監視や制御を行い、商品開発やマーケティングに生かすこと)とAIを軸に、顧客が求めるDX(Digital Transformation:デジタル変革、すなわち企業が新たなデジタル技術を活用してビジネスモデルを創出したり、ビジネスプロセスを変えていく事業変革の取り組み)の実現を支援できるバックボーンを持つことが同社の大きな強みである。これらを生かして今後の成長戦略につなげる方針だ。
1. 2020年3月期の業績概要
2020年3月期の業績は、売上高382億円(前期比6.0%増)、営業利益38.6億円(同15.1%増)と大幅な増収増益となり、過去最高を連続更新した。売上高、利益は、年々着実に増加を続けている。2020年3月期の売上高は期初計画を0.7%、営業利益も同10.3%上回る好決算であった。なお、売上総利益が前期比10.6%増となったのに対し、販管費が同5.9%増にとどまり、営業利益率は前期の9.3%から10.1%に上昇した。
ITソリューションセグメントでは、小売業向けシステム機器販売、官公庁・団体向けインフラ案件などが伸長し、売上高は前期比6.8%増となったが、不採算案件が複数発生したことで、営業利益は同1.8%減となった。サービスソリューションセグメントでは、クラウド・インフラサービス、デジタルソリューションとも増収で、売上高は同7.0%増となり、より付加価値の高いサービス提供型ビジネスの伸長により収益性が改善し、営業利益は計画を大きく上回る同114.3%増となった。また、プロダクトソリューションセグメントでは、組込み開発における設備・通信機器分野やデバイス開発の拡大により、売上高は同4.6%増、デバイス開発における一部案件の収益性向上などにより営業利益も同10.5%増となった。以上の結果、自己資本比率は70.0%に上昇し、東証1部の情報・通信業の平均(2019年3月期平均40.2%)を大きく上回り、財務の健全性は極めて高いと言える。配当は、前期と同じ年間30円を維持、配当性向は16.8%となった。
2. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期業績予想について同社では、新型コロナウイルス感染症拡大が事業活動及び経営成績に与える影響が不透明であり、現時点で適正かつ合理的な算定が困難であることから、未定としている。なお、業績予想の適正かつ合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する予定である。
3. 中期経営計画
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)では、「DX FIRST」をスローガンに顧客のDX実現に貢献することで、同社自体の「価値創造企業への変革」を実行していく方針である。最終年度には売上高430億円、営業利益40億円を目標とし、うちDX関連売上高は100億円への拡大を見込んでいる。こうした意欲的な目標達成のためには、DX対応に向けた3セグメントの連携がカギになる。初年度の2020年3月期には、DX関連事業への取り組みの成果が現れ、同事業の売上高は約28億円となり、順調なスタートを切っている。
■Key Points
・3つのソリューション事業を展開し、そのシナジーを生かしたIoTとAIを軸に顧客のDX実現を支援できるバックボーンが強み
・2020年3月期の売上高は前期比6.0%増、営業利益も同15.1%増と期初計画を大きく上回る好決算で、着実な成長を持続
・中期経営計画では「DX FIRST」をスローガンに、最終年度の2022年3月期に売上高430億円、営業利益40億円を目指す。取り組みの成果が現れ、初年度のDX関連事業売上高は順調に拡大
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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