1. 2023年8月期第2四半期の業績概要
日本BS放送<9414>の2023年8月期第2四半期連結業績は売上高が6,041百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益1,109百万円(同17.7%減)、経常利益1,109百万円(同17.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益755百万円(同16.7%減)となった。計画値(売上高6,145億円、営業利益978百万円、経常利益978百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益672百万円)に対して売上高は1.7%未達、営業利益は13.4%超、経常利益は13.4%超、親会社株主に帰属する四半期純利益は12.3%超となり、各利益は計画を超過する進捗となった。通期連結業績予想に対する第2四半期時点の業績進捗率は、売上高が48.3%、営業利益が61.3%、経常利益が61.3%、親会社株主に帰属する四半期純利益は60.2%である。
売上高は、放送事業収入が前年同期比209百万円減少したが、その他収入が同153百万円増加した。タイム収入は、開局15周年特別番組や年末年始の人気レギュラー番組スペシャル拡大版などの制作によりセールス強化を図り、前年同期比0.4%増となった。スポット収入は、コロナ禍において巣ごもり需要を伸ばしていた通販スポットが一服して同14.6%減となった。その他は、コンテンツの販売・配信ビジネス等が好調で、同36.3%増となった。営業利益は、開局15周年特別番組をはじめレギュラー番組のスペシャル拡大版、地方局とのコラボ番組、配信オリジナルコンテンツの制作やドラマコンテンツなどの購入などによるコンテンツの充実・強化のための費用並びにスタジオ設備の更新などにかかるコストが増加し、各利益とも前年同期比で減益となった。
2. 売上区分別の状況
タイム収入は売上高の約7割を占める。売上高は、前年同期比0.4%増と前年同期並みを確保した。当初の計画は下回ったものの、開局15周年特別番組、レギュラー番組、レギュラー番組スペシャル拡大版などのセールス強化が奏功した。
スポット収入は売上高の2割強を占める。売上高は、前年同期比14.6%減の1,314百万円で着地した。巣ごもり需要を背景として2021年8月期の第4四半期から好調を維持していた通販番組の出稿が一服し、期初計画値1,530百万円を14.1%下回った。
その他は売上高の7%ほどを占める。売上高は、前年同期比36.3%増の412百万円と伸長した。同社が出資するアニメ製作委員会の「転生したらスライムだった件」などのアニメ作品の興行、コンテンツの販売や配信ビジネスなどが好調であったことから増加し、期初計画値346百万円を18.7%上回った。
3. 2023年8月期これまでの取り組み
(1) 放送分野の取り組み
2023年8月期第2四半期は、2022年12月1日に開局15周年を迎え、開局15周年特別番組やレギュラー番組のスペシャル拡大版を12月より特別編成し、セールスを強化した。特別番組として、開局以来初のオリジナルドラマ「恋は50を過ぎてから」をはじめとして豪華出演者を迎え、楽器を愛する人たちに音楽の魅力を伝える「御茶ノ水GUITAR SPIRITS!」、落語・浮世絵にフォーカスした「新作落語で知る浮世絵の世界~明治維新 メディア時代の幕開け~」を放送した。大晦日には「お父さん向けラインナップ」として、人気レギュラー番組のスペシャル拡大版「報道ライブ インサイドOUT 鈴木哲夫の永田町ショータイム 年末特番『あなたの知らない政治の裏側2022』」や「諸見里しのぶ 実践ゴルフテク!大晦日2時間スペシャル 珠玉のドライバーレッスン集!」、グルメエンターテインメント番組「おやじ京都呑み」を続けて放送した。年始には、「中山秀征の楽しく1万歩!小京都日和2時間SP!蔵の街・栃木で絶景小道を行く」「八代亜紀いい歌いい話 新春2時間SP!密着!八代亜紀inパリ スペシャルコンサート」を放送した。若い世代に向けては、世界最大のアニソンライブイベントである「アニメロサマーライブ2022-Sparkle-powered by Anison Days」を6時間一挙独占放送した。2023年3月にも、開局15周年特別番組として「アートミステリー 国立西洋美術館誕生秘話〜モネを救え!〜」「宇宙の話をしよう!」を放送し、開局15周年スペシャルイベントとして「Anison Days Festival 2023」を3年半ぶりに開催した。
レギュラー番組では、日本初放送の中国ドラマ「麻洋街(マーヤンジュ)へようこそ」、BS初放送の韓国ドラマ「江南<カンナム>スキャンダル」、国内ドラマ「娼婦と淑女」、無料BS初放送でツイッターでもトレンド入りするなど話題となった中国時代劇「山河令」等を放送し、ドラマジャンルの拡充に努めた。ドラマについては、課金配信においても着実に実績へとつながっている。
地方局とのコラボレーション施策として、3年ぶりに開催された「高山祭」を中心に飛騨高山の魅力を届ける(株)岐阜放送との共同制作番組「飛騨高山今昔物語」、職人たちを通して京都府北部地域の冬の魅力を伝える(株)京都放送との共同制作番組「冬の京都2023~伝統息づく和の源流・丹後~」を放送。さらに、京都放送との共同制作特別番組として8度目となる「京都夜桜生中継2023」を2023年3月に放送し、例年よりも高い視聴率を獲得したと言う。例年好評となっている番組は、視聴者の期待も大きくブランディング強化を図っているようだ。「京都」の番組は総じて人気があり、京都放送、東京メトロポリタンテレビジョン(株)との3社共同制作番組「京都画報」も1年以上経過してファンも定着してきた。
アニメについては、「ANIME+」枠で、製作委員会参画作品を含むアニメ関連番組を毎クール約40タイトル放送している。同枠の「BS11ガンダムアワー」では「機動戦士ガンダム 水星の魔女」等、「キッズアニメ∞(むげんだい)」枠では英語との二か国語放送の「ラウド・ハウス シーズン1」等を放送した。このほか、エンターテインメント情報番組「アニゲー☆イレブン!」、アニメソング番組「Anison Days」も引き続き充実した内容で好評だと言う。2022年10月と2023年1月には、番組連動のトークライブイベント「植田鳥越口は〇〇のもと~五臓六腑~」を主催し、大盛況となった。
同社は視聴データを基に魅力的な質の高い番組づくりに注力している。中長期成長のための重点施策である「コンテンツ力の強化」は着実に実践されていると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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