日本BS放送<9414>は無料のBSデジタルハイビジョン放送「BS11(ビーエス・イレブン)」を運営する独立系BS放送局である。キー局系列に属さない独立系であることに加えて、無料放送という2つの特徴を持ったBS放送局であると言える。独立系ならではの強みである全国のテレビ局及び制作会社との共同制作番組の提供が可能である。
1. 2021年8月期の業績概要
2021年8月期連結業績の売上高は12,004百万円(前期比5.4%増)、営業利益は2,669百万円(同21.9%増)、経常利益は2,741百万円(同24.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,866百万円(同25.2%増)となった。2021年7月に上方修正した計画値に対して売上高は3.5%増、営業利益は20.7%増、経常利益は19.1%増、親会社株主に帰属する当期純利益は21.7%増となり、計画を大幅に超過する堅調な内容だ。タイム収入がレギュラー番組、特別番組のセールス強化により、前期比微増で着地した。また、スポット収入については巣ごもり需要による通販市況の堅調を受け、前期比15.7%の大幅な増加となった。その他の収入でも、製作委員会への出資に伴う配当金や番組コンテンツ販売の拡大に伴い前期比48.7%の増加となった。
2. 2022年8月期の業績見通し
2022年8月期の連結業績予想については、売上高12,200百万円(前期比1.6%増)、営業利益1,810百万円(同32.2%減)、経常利益1,810百万円(同34.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,250百万円(同33.0%減)を見込んでいる。テレビ広告収入においては営業力の強化と良質な番組制作、効果的な広告宣伝により広告媒体としての価値を向上することで、タイム収入、スポット収入の増加と周辺事業収入の強化を図っていく方針だ。コンテンツ強化などによる費用は増加する見通しだが、費用効率をさらに高めていく方針も示しており、弊社では攻めの投資に基づく前向きな減益予想であると評価する。同時に上振れて着地した2021年8月期と同様にやや保守的な事業計画であるとも見ている。
3. 中長期成長に向けた取り組み、対処すべき課題
同社は中期経営計画を策定し、それをメルクマール(指標、道標)に、中長期にわたる持続的成長を実現するべく取り組んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う状況の変化を考慮し、「マーケティング力」「企画力」「戦略構築力」「実行力」に、急激に変化する経営環境に対して挑戦し続けるための「変化対応力」「改革推進力」を加えた「6つの“力”」の強化・実践を掲げている。また同社では、2022年8月期の新たな重点施策として、下記の施策を公表している。
1) 「コンテンツ強化」…マルチユースを前提としたコンテンツの企画制作
2) 「配信ビジネス、新規事業開発と収益化」…アーカイブを含む自社コンテンツの活用
3) 「アニメ事業の強化と発展」…アニメ番組の強化、周辺事業への発展
4) 「コラボレーション施策の推進」…番組共同制作をはじめとした協力関係の強化
5) 「情報番組の新規、深耕開拓」…戦略に基づく新規開拓、新規企画の共同開発
二次利用やイベントなどの多角展開や自主制作番組のネット配信強化、同社の強みであるアニメなどを生かした施策を推進していく方針である。
■Key Points
・タイム収入はレギュラー番組、特別番組のセールス強化により、前期比微増で着地
・スポット収入は巣ごもり需要による通販市況の堅調を受け、2ケタの伸び
・製作委員会への出資に伴う配当金や番組コンテンツ販売が拡大
・オリジナル色の強化、良質コンテンツの拡充が奏功し、企業広告収入は堅調推移
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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