CaSy、売上高と売上総利益は想定どおりに伸長 少子化対策の一環として行政の支援が拡充、市場拡大の後押しに
2023年11月期 決算概要
加茂雄一氏:株式会社CaSy、代表取締役CEO兼CFOの加茂です。
決算概要です。我々は11月決算のため、直近の決算が2023年11月期となります。2023年11月期の業績は、売上高が15億4,700万円、売上総利益が5億6,100万円、販管費が5億3,800万円、営業利益が2,200万円、経常利益と当期純利益がともに2,100万円となっています。
公表している業績予想と比較すると、売上高は100.7パーセントの進捗率で、目標達成しています。営業利益以下は0円と公表しましたが、先ほどお伝えしたとおり、黒字となっています。
売上高の推移
売上高の推移です。今期の業績予想は、売上高が17億200万円から18億5,600万円というレンジで示します。レンジで示している理由などは、後ほどご説明します。5年間のCAGRは12パーセントから14パーセントとなっており、安定的に成長を続けています。
形態別の売上割合は、8割の売上が定期契約から構成されており、安定的な成長に寄与していると考えています。
利益の推移
利益の推移です。売上総利益は、売上の増加に伴い増加しています。2023年11月期は5億6,100万円で、2024年11月期は6億4,600万円から7億500万円にしています。2023年と2024年に売上総利益が増えているのは、価格改定の影響だと考えています。
先ほどもお伝えしたとおり、2023年11月期は2,200万円の営業利益黒字となっていますが、2024年は0円と公表しています。2023年と同様に、我々はまだ成長フェーズにあるため、獲得した売上総利益は投資に回していきたいと考えています。特にエンジニアの採用や待遇改善など、人材に投資していきたいと考えています。
主要KPIである定期UU数の推移
主要KPIである定期UU数の推移です。2023年11月末で、約7,000名の定期のお客さまにご利用いただいています。定期のお客さまの数は順調に増加しており、CAGRは17.2パーセントとなっています。
お客様登録数の推移
お客さま登録数の推移です。2023年11月末で、17万人にご登録いただいています。こちらも順調に増加しており、CAGRは約14.2パーセントです。家族構成比は、6割がファミリーで、4割が単身という構成となっています。
キャスト登録数の推移
キャスト登録数の推移です。2023年11月末では、1万5,000名の方にご登録いただいています。近年はキャストの広告に注力していたこともあり、CAGRは32.1パーセントとなっています。
お客様の定期解約率とキャストのチャーンレート
お客さまの定期解約率とキャストのチャーンレートです。お客さまの月次定期解約率は2.8パーセントとなっており、低水準を維持していると考えています。
キャストのチャーンレートは稼働ベースで算出し、「前月は働いていたが、当月働かなくなった率」と定義しています。こちらも2.1パーセントと、2019年と比較すると改善しており、低水準を維持していると考えています。
売上総利益LTV/1人当たり月次売上総利益の推移
売上総利益LTVおよび1人当たり月次売上総利益の推移です。売上総利益LTVは、2023年にかけて増加しています。こちらは、価格改定の影響があると考えています。
1人当たり月次売上総利益も2023年は微増しており、こちらも価格改定の影響があると考えています。
会社概要
会社概要について簡単にご説明します。ビジョンは「笑顔の暮らしを、あたりまえにする。」で、ミッションは「大切なことを、大切にできる時間を創る。」です。
提供サービス
現時点では、家事代行サービスが売上構成比の97パーセントを占めています。家事代行サービスでは、ハウスクリーニングや整理収納といった、お客さまの時間を創れるようなサービスラインアップを広げています。
サービス形態としては、サブスクリプションの定期利用のサービスとスポット利用があります。売上構成比としては、8割のお客さまが定期利用で2割がスポット利用となっています。
また、先ほどお伝えしたとおり解約率も低い水準でとどまっていることから、安定的な成長ができていると考えられます。
CaSyとは
家事代行サービス会社は、日本には4,000社近くあると言われています。その中における我々の特徴は、オンラインで完結できることです。最もDX化されているサービスと言えます。お掃除やお料理といったサービスの実施以外の、依頼やマッチング、決済、キャストとのやり取りはすべてオンラインで完結できるのが特徴です。
家事代行市場の高い成長性
家事代行市場の状況です。家事代行市場は、「女性の社会進出」や「ワークライフバランス」「共働き世帯の増加」を背景に、高い成長が見込まれると考えています。日本の利用率は3.5パーセントと、諸外国と比較してまだ低い水準ですが、今後の伸びしろだと考えています。
野村総研などの調べによると、2018年には1,400億円の市場規模だったものが、今後は2,000億円から8,000億円まで伸びていくと言われています。
家事代行市場の高い成長性
その背景には、共働き世帯の増加があると考えています。直近のデータでも、家事のアウトソースの利用意向が伸びている状況が見て取れます。
家事代行市場に関係する法整備と行政による支援の拡充の活用
また、異次元の少子化対策を進める中で、行政も家事支援サービスに大きな期待をしていることがわかります。
直近では、2023年12月に「ライフステージを支えるサービス導入等実証実験」が公表されました。こちらは、家事支援サービスを福利厚生で利用する場合、経費の3分の2を国が補助する取り組みです。
巨大な暮らしのサービス市場
私たちはミッションとして「お客さまの時間を創る」ということを掲げています。家事支援サービスを中心に、お客さまの時間を創るサービスへ領域を広げていきたいと考えています。
CaSyの競争優位性
CaSyの競争優位性は2点あります。1つ目は、ITを活用し最もDX化されているという点です。2つ目は、単純にITを活用しているだけではなく、品質管理についても体制を構築している点です。
1.家事代行サービスのDX化
ITについては、3つのポイントがあります。1つ目は独自のマッチングアルゴリズム、2つ目はデータ活用、そして3つ目は、さまざまな会社とのシステム連携です。
1. ①独自のマッチングアルゴリズム
独自のマッチングアルゴリズムについてご説明します。他社では、マッチングする時に営業の方がお客さま宅に訪問し、ヒアリングしてマッチングするというプロセスを経ています。
一方で我々は、お客さまがインターネット上に登録したデータから、独自のマッチングアルゴリズムで最適なスタッフをマッチングし、提案するというかたちを取っています。
その結果、営業の人件費を浮かせることができるため、価格を低く抑えられたり、働き手の募集に還元することができたりしています。
また、見積もりや訪問のプロセスを省いていることから、従来はコールセンターに電話をかけてから2週間くらい経ってようやく利用できるという時間軸だったところ、我々は最短で3時間後の訪問を実現しています。
1. ②データの活用
データの活用についてご説明します。お客さまもキャストも我々のアプリ内でチャットでのコミュニケーションができる上、お客さまの登録データやお客さまの評価データ、キャストが訪問した時の日報などをすべてデジタルデータとして入手できるようになっています。
それらを分析し、より相性の良いマッチングのアルゴリズムや、サービスの改善に活かしています。
1. ③システム連携
システム連携についてご説明します。スライド左側に記載のとおり、スマートロックの会社と連携しています。これまでは物理的な鍵をお預けいただかないと、ご不在の時にサービスをご利用いただけませんでした。しかし、我々が物理的な鍵をお預かりすることは、お客さまとしても不安な部分が残りますし、コストもかかります。
我々はスマートロックの会社と連携することで、物理的な鍵をお預けいただかなくても、サービス開始の前後だけキャストのスマートフォンでお客さま宅に入れるということも実現しています。
また、中央に記載したとおり、本人確認においてもシステムと連携しています。お家の中に入れていただくサービスのため、お客さまとしてもどのようなスタッフが来るのか不安に思ったり、一方でキャストも、1人でお客さま宅という閉鎖された空間に訪問するため、お客さまがどのような方なのか不安に思う方もいらっしゃると思います。
我々はTRUSTDOCKというシステムの会社と連携し、お客さまとキャストの双方に本人確認を提出していただいています。その本人確認の情報を元に、反社・犯罪歴のデータベースと照合し、重要な犯罪歴がないかなどを確認した上で、審査を通過した方のみが我々のプラットフォームをご利用いただける仕組みを作ることで、安心を醸成しています。
2.品質管理体制
もう1つの強みである、品質管理体制についてご説明します。我々はITでマッチングする場所を提供しているだけではなく、きちんと面接や研修も行っています。特徴は、スライド右側の図の中の「モチベーション」が一番根底にあるということです。
我々は、「キャストのモチベーションに着目することで、高い品質を実現する」というフレームワークでサービスを行っています。
その結果、スライド左側のグラフに示したとおり、サービスごとにお客さまから毎回いただく評価において、5点満点中、平均4.9点という高い点数を継続しています。
モチベーションを上げるための取り組みとして、お客さまからの評価で5点満点がたまっていくことで1時間当たりの報酬が上がったり、評価に応じたランクアップと連動してエプロンの色が変わったりする制度を設けています。
またCaSyのキャストの中で、先輩キャストが新人キャストにアドバイスできるようなオンラインコミュニティも構築しています。
3.競合との比較(家事代行)
家事代行業界を大きく分けると、我々以外の会社は、「訪問型」と「CtoCマッチング型」という区分に分けられます。訪問型は、お客さま宅に訪問し、インタビューしてからマッチングする会社、CtoCマッチング型は、マッチングする場所を提供している会社になります。
これまでお伝えしてきた競争優位性の裏返しになりますが、我々の特徴は、ITを活用している結果、訪問型に比較して安い価格で提供できるという点です。
一方で、CtoCマッチング型と比較しますと、私たちは場所だけを提供しているために安くできているのではなく、ITの活用によりコストを削減しています。加えて、費用を抑えた分は品質やカスタマーサクセスチームに投資しており、品質に対する事業者責任を負っているという点が、我々の特徴です。
CaSyの今後の成長イメージ
成長戦略についてです。我々は、ミッションとしても掲げているように、お客さまの時間を創る暮らしのプラットフォームを目指したいと考えています。
スライドのイメージ図には、ポイントが3つあります。1つ目は家事代行サービスを根幹に据えているということです。
家事代行サービスは幅広い世帯にご利用いただける上、1週間に1回、かつ3年、4年、5年と長期間にわたって恒常的にお客さまの家に伺いますので、お客さまから信頼いただけるサービスだと考えています。
2つ目は、その信頼をベースに他のサービスに広げていきたいということです。例えば、5年伺う中で「子どもが生まれたからベビーシッターサービスもCaSyで頼もう」「親の介護が必要になったから訪問介護をCaSyで頼もう」というかたちで、家事代行以外のサービスラインアップを広げていきたいと考えています。
3つ目は、このプラットフォームの中で、お客さまに対しては時間と信頼、働き手に対してはやりがいと安心を提供していきたいと考えています。
時間を創る暮らしのプラットフォームへの方針
「お客さまの時間を創る暮らしのプラットフォーム」を目指していくために、我々は戦略を2軸で考えています。1つはお客さまとキャストを増やしていく縦軸、もう1つはサービスラインアップを増やしていく横軸です。
縦軸については、1つ目は家事代行会社向けのSaaSのプロダクト「MoNiCa」、もう1点目は行政との連携を考えています。どちらも後ほどご説明します。
横軸のサービスラインアップ増加については、ハウスクリーニング・整理収納サービスは現時点でもリリースしていますが、その他暮らしのサービスにも範囲を広げていきたいと思います。
家事代行クラウドMoNiCa(モニカ)
「MoNiCa」についてです。先ほどお伝えしたとおり、家事代行会社は日本に4,000社あると言われていますが、多くは中小企業のため、自分たちではなかなかIT投資ができないと言われています。
一方で、我々は外部からの資金調達も含めてITに投資をしてきましたので、ITが一番の強みだと考えています。したがって、他社に我々の強みであるITを活用していただき、「MoNiCa」で業界全体のDX化を図りたいと思っています。
こちらは2024年2月15日に正式リリースして、順次事業の推進を図っているところです。
行政との連携についてです。現在は少子化対策の一環として、行政も家事代行支援事業に期待をかけています。その支援を積極的に活用し、家事代行サービスを使えるお客さま、働き手を増やしていきたいと考えています。
具体的には、スライドに挙げたような事柄が進んでいます。特に下から2つ目をご覧ください。「ライフステージを支えるサービス導入等実証実験」の公募が2023年12月に公表されており、今年5月から正式に実証実験が始まるというスケジュールが我々にも共有されています。
CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクトの採択企業としてCaSyが選出
CaSy単体でも、自治体との連携を含めて進めています。2023年度は、福井県の少子化対策・地域活性化のプロジェクトである「CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクト」に応募して採択され、取り組みを進めている状況です。
その他暮らしのサービス領域:アップセルの伸びしろ
サービスラインアップの増加です。先ほどお伝えしたように、整理収納サービス・ハウスクリーニングの2つは正式リリースしていますが、その他のサービスも広げていきたいと考えています。
中長期戦略イメージ
以上のようなかたちで、まずはCaSyの家事代行サービスを、行政との連携を含めて拡大していきます。その上に、他の家事代行会社への「MoNiCa」提供を通して業界全体を盛り上げるという成長を乗せたいと考えています。
さらに、お客さまの暮らしの中に時間を創れるような、家事代行以外のサービスを広げていくことが、我々の中長期戦略のイメージです。
2024年11月期業績予想
2024年11月期の業績予想についてです。売上高は17億200万円から18億5,600万円と、成長率10パーセントから20パーセントのレンジで考えています。営業利益以降は0円と考えています。
売上高をレンジで表現している理由と、営業利益以下を0円としている理由についてご説明します。
売上高をレンジで示している要因は、マイナスに振れる要因とプラスに振れる要因の両方があるためです。マイナスに振れる要因は、昨年10月に価格改定を行った影響により、新規顧客の獲得を今までどおりにできるかどうかということです。ただし、現時点で見えている状況として、既存のお客さまの解約については大きな影響はないと考えています。
一方で、プラスに振れる要因は、先ほどお伝えしたとおり、行政と連携した取り組みが5月から開始されることです。業績への貢献が読みづらいところもありますので、プラスに振れる要因としていったんレンジに含めています。
また、営業利益以下を0円と見ている理由については、昨年度と同様、我々はまだ成長フェーズですので、獲得した売上総利益はエンジニアの採用、待遇改善を中心とした人材への投資に回していきたいと思っているためです。
上場時における調達資金の主な使途
上場時における調達資金の主な使途は変更せず、広告宣伝費とシステム開発投資、システム開発に係る費用に利用したいと考えています。
以上でご説明を終了します。
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