(3) 海外赴任支援事業
海外赴任支援事業では、日本に本社を構える企業向けに海外赴任時から帰任に至るまで、就労ビザの申請、健康診断、予防接種、海外引越など海外赴任に関わる煩雑な業務をワンストップで提供している。契約は企業と交わしたうえで、赴任が発生するたびにサービス内容に応じて手数料を収受している。また、出張時の航空券手配、海外赴任規定の作成、赴任前研修など関連サービスも提供している。加えて、北米を中心とした各拠点において、日本企業の駐在員向けに、住宅やサービスアパートメントの斡旋、住宅管理のほか、24時間電話通訳や海外では加入しづらい保険、カーリースなどをパッケージにした「モビリティ・マネジメント・サービス」など現地生活に必要なトータルサポートサービスを展開している。さらに、日本企業が進出を強化している地域に新たな拠点を開設するなど、サービスの提供エリアも拡大している。
2016年9月にグループ入りしたボストンに本社を置くAIRINC(Associates for International Research, Inc.)は、海外駐在員の給与計算時に使用する生計費指数などデータの調査・販売を行うほか、海外赴任関連のコンサルティングサービスを提供している。70年超の歴史のなかで積み上げた190ヶ国2,500都市以上の都市データは、グローバル企業だけでなくAMS※の基本データとしても利用されるなど、多くのクライアントに継続的に活用されている。また、海外赴任関連に特化したコンサルティングは、非常に専門性の高いサービスであるため顧客ニーズが非常に大きい。このため、AIRINCの存在自体も同社の強みとなっている。
※ AMS(Assignment Management System):赴任管理サービスを提供するためのテクノロジープラットフォームで、赴任にまつわる作業の割り当てプロセスを自動化するシステム。
海外赴任の支援サービスの現状として、企業側のアウトソーシング化がなかなか進んでいないという課題がある。しかし、同社は単発のビザ手配や赴任前研修、航空券手配など、企業にとって導入しやすいサービスをドアノックツールとして活用し、赴任関連業務が負担となっていそうな企業との取引拡大を図るなど関係構築に取り組んでいる。また、単発のサービスのみを導入する企業に対しては、業務を効率化する他のサービスを併せて提案するなどアップセルを進めている。ところで近年、技術や知見を有する外国籍の人材を日本国内へ受け入れる企業が増えている。こうした外国籍人材のため、住宅手配から銀行口座の開設や役所の手続きの同行、携帯電話の契約まであらゆるサポートを行う「インバウンドサポート」をワンストップかつ英語で提供しており、好評を博しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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