2. 目標とする経営指標と成長戦略
国内における保険業界の市場規模は年間約47.7兆円で、このうちリテール分野は約20兆円と試算されている。アドバンスクリエイト<8798>の取扱高は約400億円でシェアは1%にも満たない。換言すれば、シェア拡大による成長ポテンシャルは極めて大きいとも言える。こうした市場環境のなかで同社は、アバターや生成AIなど先進テクノロジーを活用した「OMO×FinTech」の推進による生産性向上、並びに「ポートフォリオ戦略」を推進することで収益拡大を目指していく方針だ。目標とする経営指標としては、売上高経常利益率20%以上、ROE20%以上、自己資本比率80%以上を掲げている。2023年9月期は収益悪化により目標から乖離してしまったが、2024年9月期以降は再成長軌道に復帰する見通しだ。
(1)「OMO×FinTech」戦略
「OMO×FinTech」戦略では、マス広告がメジャーな保険業界において、SNSや動画、AIデータ解析などを用いた最先端のマーケティングテクノロジーを駆使して、ITリテラシーの高いアッパーミドル層の顧客を中心にアプローチすることで業界平均を上回る生産性を実現していく。また、効率的なデジタルマーケティングを実施することでマーケティングコストを低減するだけでなく、蓄積したノウハウをメディア事業やメディアレップ事業に活用し、これら事業の拡大に結び付けていく戦略だ。ASP事業でも引き続きサービスの利便性向上や生産性向上につながる機能を開発し、提携代理店を中心に導入拡大に取り組み、ストック型ビジネスとして安定収益基盤として育成していく考えだ。利益率が相対的に高いメディア事業やASP事業の売上構成比が高まれば、全体の収益性も上昇することになる。
特に同社は、アバター接客を積極的に活用していく方針で、オンライン接客の初回はアバターで接客するようにした。コンサルタントと面談するよりもアバターの方が、心理的障壁が低くなり顧客が求める保険ニーズが引き出しやすくなるほか、2回目の面談アポイントメントや成約の可能性も高まることが要因だ。2回目については顧客側でアバターか生身のコンサルタントを選択できるようにしており、3~5回の面談を経て契約となるケースが多い。面談と面談の間は「folder」アプリなどを通じて継続的に顧客とコンタクトをとり、キャンセルの発生を抑止していく。従来は2~3回の面談で契約まで進むケースが多かったが、総合的な保険提案を行うため顧客と様々な保険ニーズについて話し合い、最適な保険プランを提案していくため面談回数も増える傾向にある。回数は増えるが、複数の保険商品の契約に結び付けることで申込ANPが増加し、生産性向上につなげている。実際、アバター接客による営業成果については、通常のオンライン接客サービスよりも申込率で6%、面談単価で34.5%上回る結果が出ている。また、生成AIを活用したサービスとして、保険相談の夜間や早朝対応をチャットベースで今まで行っていたが、今後はバージョンアップし対話形式で相談することが可能となる予定。チャットよりもさらに利便性が向上し、アポイント獲得件数や契約件数の増加につながる取り組みとして注目される。
(2) ポートフォリオ戦略
ポートフォリオ戦略としては「販売チャネルのポートフォリオ」と「収益のポートフォリオ」の2つの観点で推進する。「販売チャネルのポートフォリオ」は、直営店による対面販売、通信及びインターネット販売、協業による提携代理店への送客、オンラインビデオ通話システムを使った販売と、多様な販売チャネルのなかから最適なチャネルを使って保険商品の販売を効率的に伸ばしていく戦略だ。「収益のポートフォリオ」は、保険に関わるあらゆる収益機会(保険代理店、メディア/メディアレップ、再保険、ASP)にアプローチすることで安定性の高い収益基盤を構築して、業容拡大を図る戦略となる。同様のビジネスモデルを構築している企業は他にないことから同戦略は同社の強みにもなる。今後も常に業界の一歩先を進み「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を目指すことで、成長が続くものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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