~医薬・ヘルスケア、ファインケミカルへ事業変革が本格化~
【ポイント】
・今2024年11月期の1Qの業績は急回復をみせた。ファインケミカル事業、HBC・食品事業、医薬事業、化学品事業の4事業がいずれも好転している。これを受けて上期の業績計画は上方修正されたが、通期の計画はまだ据え置いている。為替、エネルギー価格など不確定要素はあるが、業績は大きく好転しよう。回復のピッチは早まっている。
・アステナホールディングスのトップが、岩城氏から瀬戸口氏(前副社長)に交代した。ガバナンスを強化して、事業の執行に全力投入しつつ、創業家からの脱皮を図る狙いがある。岩城氏は、スペラファーマを軸とするファインケミカル事業と医薬事業を率いて、収益の回復を図る意向である。M&A後のPMIで、成果が期待できよう。
・3ヵ年の中期計画は毎年ローリングしていく。今回は3年後の2026年11月期で、営業利益30億円、ROE 7.4%を目指す。スペラファーマをコアに、医薬品の開発製造受託(CDMO)では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開する。ここがリード役となろう。半導体・電子部品関連の表面処理薬品は、半導体関連が動き出しており好転しよう。
・中長期ビジョンAstena 2030“Diversify for Tomorrow.”では、①医薬品・ヘルスケアでのプラットフォーム戦略、②塗り薬や表面処理薬品でのニッチトップ戦略、③ファンドを活用したソーシャルインパクト戦略を推進する。これまでのM&Aを軸とした投資額は全体で約110億円、のれんの償却を入れても営業利益の拡大余地は大きい。
・抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI(有効成分)分野の強化、CMC研究開発受託事業の拡大、パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、製品の企画開発に強みを持つ化粧品分野の広がりなどをリード役に、事業投資が活発化している。一方で、採算の低い一般用医薬品の卸からは撤退した。これらを含めて、商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は7割を超えている。
・まずは過去のピーク利益水準に戻す計画であるが、これは十分達成できよう。ビジネスモデルの変革に、新規需要が乗ってくれば、回復のピッチが早まろう。PBR1.0倍が実現できる市場開拓の進展と業績の向上に注目したい。
目次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み スペラファーマ買収を機に持株会社化を推進
3.中期経営計画 10年ビジョンで収益力の向上を目指す
4.当面の業績 先行投資の谷間を経て回復ピッチ早まる
5.企業評価 ビジネスモデルの変革に期待
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2024年5月13日) |
497円 |
時価総額 | 204億円 (40.88百万株) |
PBR | 0.69倍 |
ROE | 3.5% |
PER | 19.6倍 |
配当利回り | 3.6% |
総資本 | 65912百万円 |
純資産 | 28731百万円 |
自己資本比率 | 43.3% |
BPS | 722.5円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2016.11 | 55121 | 977 | 1071 | 8 | 0.3 | 6.0 |
2017.11 | 57387 | 1571 | 1778 | 1241 | 37.9 | 7.5 |
2018.11 | 60083 | 1849 | 2000 | 1414 | 43.8 | 10.5 |
2019.11 | 61647 | 2121 | 2318 | 1533 | 47.0 | 13.0 |
2020.11 | 65341 | 2035 | 1968 | 1983 | 60.3 | 16.0 |
2021.11 | 72322 | 2233 | 2420 | 1736 | 46.9 | 18.0 |
2022.11 | 49636 | 819 | 887 | 579 | 14.6 | 18.0 |
2023.11 | 51984 | 1127 | 1363 | 1162 | 29.5 | 18.0 |
2024.11(予) | 56000 | 1650 | 1650 | 1000 | 25.3 | 18.0 |
2025.11(予) | 60000 | 2300 | 2300 | 1350 | 34.2 | 18.0 |
2026.11(予) | 64000 | 3000 | 3000 | 1900 | 48.1 | 18.0 |
(2024.2ベース)
(注)(予)はアナリスト予想。ROE、PER、配当利回りは2024.11期予想ベース。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/asutenaHD202405.pdf
(開示)日本ベル投資研究所は、事業変革に関する実態と手続きの詳細を分析するために、当社株式10000株を少数株主として中長期的に所有している。〔アナリストレポートの原則についてはこちら〕
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