―レアアース調達など話題性も豊富、バリュー系セクターながら成長期待株も―
2月8日投開票の衆議院選で、自民党は歴史的な大勝を収めた。高市政権のもと、積極財政の推進と金融緩和的な環境の継続による「高圧経済」の実現性が高まっている。更に投機マネーの流入を背景に商品市況が高値圏で推移し、インフレ圧力を高める可能性が指摘されている。インフレに強い資産とされる株式のなかでも、商社株は物価上昇による収益押し上げ効果がダイレクトに現れやすいセクターとされている。経済安保の観点で重視される レアアース調達に絡む企業も多く、一段の評価余地を備えている。
●日銀は物価見通しを引き上げ
総務省が発表した昨年12月の全国CPI(消費者物価指数)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比プラス2.4%となった。暫定税率の廃止に向けた補助金の拡充によりガソリンが下落したほか、食料価格の上昇幅も縮小。伸び率は11月の3.0%から大きく鈍化した。この先は政府による電気・ガス料金の補助による効果も相まって、コアCPI上昇率が2%を下回る可能性も指摘されている。
半面、日銀が1月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、政策委員による2026年度のコアCPI見通しの中央値が引き上げられている。労働の供給制約があるなかで企業が人件費の上昇分を製品価格に転嫁する動きは今後も続くとみられ、中期的なインフレ基調は継続するとの見方が広がっている。直近では金や銀など貴金属に加えてアルミや銅といったベースメタルの市況も上昇基調を示しており、企業物価の高まりが消費者物価に波及する可能性も存在する。そうした中での「高圧経済」化は、インフレ期待を一段と高める方向に作用しそうだ。
商社株が集まる卸売セクターは、商品価格に対する一定の手数料相当額が収益となる。商品価格の上昇は収益増加に結び付くことから、物価上昇メリットが発生する事業構造となっている。 総合商社では三菱商事 <8058> [東証P]や三井物産 <8031> [東証P]、住友商事 <8053> [東証P]といった財閥系の3社に、非財閥系の伊藤忠商事 <8001> [東証P]と丸紅 <8002> [東証P]を加えたのが5大商社とされる。総合商社大手には双日 <2768> [東証P]や豊田通商 <8015> [東証P]が加わり、レアアースの調達などで存在感を示している。
●専門商社ではM&A積極化の動きも
総合商社大手に関しては収益面で資源投資や事業投資などのウエートが相対的に大きく、過去の大型投資が花を開かずに損失計上を余儀なくされる事例も散見される。とはいえ5大商社株は著名投資家のウォーレン・バフェット氏が着目した有望株として内外の機関投資家の資金が流入した経緯があり、株価は青天井圏で推移している。
専門商社もインフレメリット株であることには変わりがない。卸売という事業の性格上から収益性(売上高利益率)はそれほど高くはなく、株式市場での評価が高まりにくい面がある。株価指標的には割安感があるということになるが、「資本コストや株価を意識した経営」という社会的要請もあり、業界でも企業統治改革が進みつつある状況だ。
専門商社のなかにはビジネスの高付加価値化に取り組む企業や、M&Aによる事業規模の拡大、デジタル技術の活用による収益性の向上を図る企業があり、それなりの収益性と成長性を持つ会社も存在する。サプライチェーンの川上と川下をつなぐ重要な役割を担いつつ、成長志向を鮮明とする企業には、市場の評価が更に高まることも期待される。これらを踏まえ、中期的なインフレの流れに乗る専門商社のうち有望株を7銘柄ピックアップしたい。
◎リョーサン菱洋ホールディングス <167A> [東証P]
24年にリョーサンと菱洋エレクトロの経営統合によって誕生した半導体・電子部品商社。業界内での半導体商社の集約化の流れにも乗る動きだが、統合後の5カ年経営計画では、29年3月期の売上高5000億円、営業利益300億円の目標を掲げている。足もとの業績は堅調であり、半導体の在庫調整の終了によって主力のデバイス事業が回復、システム機器などソリューション事業も拡大している。統合2期目の今期には営業・コスト面でのシナジー効果も発現しつつあり、利益率は改善傾向だ。エヌビディア
◎岩谷産業 <8088> [東証P]
プロパンガス国内首位。カセットコンロでも知られる家庭用・産業用ガスの専門商社。同社の最大の特色は、水素事業のポテンシャルだ。1950年代から水素ガスの製造を開始、液化水素、燃料電池、水素ステーションなどにも事業展開している。24年には水素事業での資本・業務提携の一環として、コスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]を持ち分法適用関連会社化した。31年3月期に水素事業の売上高2000億円という目標を掲げており、「水素社会」が実現すれば、同社の業容も大きく変化することとなろう。足もとの業績は、LPガス市況の悪化などを受けて減益となったが、市況要因を除くと安定的に推移している。28年3月期を最終年度とする中期経営計画では、営業利益650億円、ROE(自己資本利益率)10%以上を目指している。当面は水素サプライチェーン確立のための投資負担が先行するため、利益面では厳しい状況が想定されるが、LPガス事業のM&Aによる規模拡大とカセットコンロなど海外事業の拡大で補う計画。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とともに、レアアースの精錬事業を手掛ける仏カレマグ社に出資している。
◎アルフレッサ ホールディングス <2784> [東証P]
医療用医薬品卸売の国内トップ企業で、同業者の買収・合併によって業容を拡大。業界では合従連衡が進みつつあるが、依然として中小・地域事業者の数は多い。医療用医薬品は政府による薬価の改定によって収益が左右される面があり、集約化は避けられない流れだ。26年3月期からスタートした中期経営計画では3年後の売上高3兆3300億円、営業利益435億円、ROE7%を目標としている。主力事業の医薬品卸売に加え、医薬品等製造、調剤薬局、再生医療関連も拡充。政策保有株売却など資産効率化も進める方針だ。株主還元の方針では、DOE(株主資本配当率)2.5%以上と累進配当、機動的な自己株取得を掲げている。
◎ミスミグループ本社 <9962> [東証P]
金型部品のカタログ販売からECサイト、デジタルモデルへと変革を遂げ、中国、アジア、米州、欧州に事業展開、海外売上高比率は6割弱に達する。国内では自動車産業向けが主力だが、顧客層は幅広く分散され、試作品から汎用品、消耗品に至るまで機械部品の調達プラットフォームとしての地位を高めつつある。足もとの業績は、米国関税政策の影響が残るものの、上振れ基調で推移しており、1月末に26年3月期経常利益予想を増額修正。配当性向35%の基本方針に則り配当予想も増額された。昨年6月に買収した米国の機械部品オンライン調達会社も収益に貢献。デジタルモデルには言語の差がないため、今後も海外事業の成長が期待できよう。
◎阪和興業 <8078> [東証P]
独立系鉄鋼商社の大手で、メタル、食品、エネルギー、住宅資材にも事業展開する。鉄鋼製品の取り扱いでは、大手メーカー系のシェアも大きいが、同社は「そこか」(即納、小口、加工)戦略によって差別化を図っている。日本で確立したモデルを東南アジアでも展開すべく、海外事業も育成。足もとの業績は、メタル市況の変動によって減益基調だが、主力の鉄鋼事業では強みを発揮している。メタル事業では、アジア、アフリカ、欧州に進出、プライマリー権益とともにリサイクルも手掛けている。昨年10月にはアンゴラでの永久磁石用レアアース分離・精製事業が経済産業省の補助金に採択されたと発表。レアアース関連としても注目を集めた。財務面では、政策保有株式の売却を進める一方、自己株取得を含む累進的株主還元を目指している。3月31日を基準日として1対5の株式分割を実施する予定で、流動性の向上が見込まれる。
◎長瀬産業 <8012> [東証P]
天然染料問屋を発祥とし、化学品の専門商社から製造・研究開発へと業容を拡大、機能素材、加工材料、電子・エネルギー、自動車関連、生活関連など幅広く事業を展開する。26年3月期を最終年度とする中期経営計画の営業利益目標は超過達成の見通しであり、注力領域として、フード、半導体、ライフサイエンスを掲げている。フードとライフサイエンスの分野ではM&Aによる果実が期待されている。半導体分野では、先端半導体向け封止材で圧倒的なシェアを誇り、現像液の回収・再生事業にも展開している。更に半導体メーカーのラピダス社の材料輸送取りまとめ業者に指定されており、本格生産体制へと移行すれば、業績面でのプラス効果が期待できよう。
◎椿本興業 <8052> [東証P]
機械商社の老舗で、動力伝達部品に強みを持ち、設備装置と産業資材にも事業展開している。創業者が兄弟だった椿本チエイン <6371> [東証P]とは文字通り兄弟会社で、同社製品の売上高構成比は3割程度を占めるものの、幅広いメーカーの製品を取り扱っている。商品販売だけではなく、技術力を背景に施工管理まで手掛け、システム構築を含めたエンジニアリング力を有する「技術商社」を標榜している。足もとの業績は好調で、26年3月期は過去最高益を更新する見通し。政策保有株式の縮減も進め、株主還元を強化しており、PBR(株価純資産倍率)も1倍を超えてきた。受注高・受注残高ともに高水準であり、弱含みだった自動車関連や半導体関連の受注が回復すれば、来期以降の業績にも死角はなさそうだ。
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