リズム、増収増益、M&Aや快適品ヒット商品が業績寄与 通期は受注回復遅れや円安影響で予想修正も大幅増益見込む
目次
湯本武夫氏:代表取締役社長の湯本です。本日はご出席いただきありがとうございます。2025年3月期第2四半期決算についてご説明します。本日の目次はスライドのとおりです。
全体概要
2024年度の決算について概要をご説明します。上期実績は、売上高159億円で増収です。営業利益は3億4,000万円で、前期比プラス109パーセントと大幅増益となりました。
次に、通期予想です。売上高は330億円と、ほぼ前年並みを見込んでいます。営業利益は12億円で、前期比プラス64パーセントと大幅増益の見込みです。当期利益は10億円の見通しです。前期比で増収・増益の見通しですが、2024年5月発表の業績予想からは下回り、通期見通しは先日、下方修正しています。ご期待に沿えない見通しとなり、誠に申し訳ありません。
代表的な要因として、精密部品の一部受注回復が、我々が予定した値よりも大きな遅れが出ています。また、生活用品においては、急激な円安の進行により輸入原価の高騰が影響しました。
2024年度上期 連結業績
2024年度上期の業績について、詳細をご説明します。スライドは連結損益計算書です。連結売上高は159億8,300万円で、前期比110パーセント、14億4,500万円の増額となりました。
営業利益は3億4,700万円で、前期比209パーセント、1億8,100万円の増益でした。当期利益は3億3,600万円で、前期比4億2,000万円の増益となりました。
2024年度上期 連結業績
当期利益の前期比較です。営業利益は、売上高の増加に加え、販管費率を前期比で2パーセント近く抑えたことにより、1億8,100万円増となりました。
特別損益は2億4,000万円増加しています。こちらは前期に中国生産拠点のリース資産の減損があったことと、システム関連の減損が主な要因です。前期にエラーと言えるような多額の損失がありました。当期は、アメリカ拠点の閉鎖に伴う損失を計上しています。
結果として、前年同期比で4億2,000万円の利益改善となりました。
2024年度上期 連結業績
貸借対照表です。資産の部は、流動資産286億9,300万円です。金利の上昇を想定し、前倒しで資金調達を行った関係で現預金が増加しています。固定資産は163億7,700万円、資産合計は450億7,100万円で、前期比14億9,700万円の増加となりました。
負債の部は、流動負債67億7,700万円、固定負債80億3,800万円で、負債合計148億1,500万円、前期比23億8,700万円の増加です。
純資産の部は302億5,500万円で、前期比8億9,000万円の減少です。配当金の支払いに加え、為替換算調整により減少となりました。負債・純資産の合計は450億7,100万円、自己資本比率は67.1パーセントとなりました。
2024年度上期 連結業績
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは14億1,900万円で、前期比3億8,900万円の増加です。投資活動によるキャッシュ・フローは7億8,000万円、前期比6億5,100万円の減少です。昨年はM&Aの費用がありました。
財務活動によるキャッシュ・フローは22億7,100万円と、前年比12億5,000万円の増加です。結果、現金及び同等物の中間期末残高は136億1,100万円、前年比24億4,600万円の増加となりました。
2024年度上期 連結業績 セグメント別
セグメント別の損益計算書です。精密部品事業においては、売上高は120億2,700万円で、前期比8億5,900万円の増加です。営業利益は9億300万円で、前期比9,400万円の増益となりました。
生活用品事業は、売上高は37億7,900万円で、前期比6億1,300万円の増加です。営業利益はマイナス3億1,200万円で、前期比9,900万円改善しました。
2024年度上期 連結業績 セグメント別 ①精密部品事業
精密部品事業の業績です。部品の事業は、開発から量産移行するまでに約2年を要します。そのため、過去の取り組みの成果が当期に実るようなかたちで、受注額で評価できるようになります。
そのような中で、当期の重点施策として、自動車関連部品、特にEV・HVの受注量の拡大を目標としました。また、受注が回復するという見込みで、2023年度中に工作機械部品の生産効率化を済ませ、受注回復を待っていました。受注量が拡大すると効率化が進み、生産性が上がることにより収益を拡大するという計画でした。
また、今後に向けた新規案件の受注活動については、毎年同様に努力を続けています。このような活動の結果、売上高は前期比108パーセントの増収、国内で約8億円の増加となりました。
2023年9月にグループに加入したリズム翔栄が業績貢献しました。また、家電関連において若干の回復の兆しがありますが、全体としては受注の回復遅れがあり、挽回機運には至っていません。
海外ではほぼ前期並みを確保しましたが、ベトナムの組立品事業において、メーカー支給部品の品質トラブルが発生し、製品の回収・修理を伴う販売の停滞が現在も続いています。前年も類似の事案で売上の停滞があった関係で、前期比での差は小さくなっていますが、当期の計画対比では大きな差が発生してしまいました。
営業利益は前期比112パーセントと増益です。国内では主要部品の受注回復遅れや、原材料価格の高騰などにより、減益となりました。海外では原価低減効果等により、増益を確保しました。
2024年度上期 連結業績 セグメント別 ②生活用品事業
生活用品事業は、長引くクロックの販売の停滞から事業転換しようと、2021年から新たな製品群として快適品の育成拡大に取り組み、今年で4年目となりました。
当期の重点施策としては、快適品の飛躍的な売上拡大を目指し、2重反転ファンで大好評の「USBファン」をはじめ、一連の新製品の拡大に挑戦しています。また、事業の採算化を目指して、生産拠点の構造転換による採算改善も進めています。
売上高は119パーセントと、大幅な増額となりました。快適品の事業はようやく一歩を踏み出すことができたと考えています。売上高は、前期の2倍を超える急成長となりました。今後に向けた大きな弾みとなり、自信と勇気が芽生えています。
営業利益は前期比約1億円の改善ですが、赤字脱却に至っていません。快適品の販売政策、あるいは中国生産拠点をはじめとする構造改革に若干の進行の遅れがありましたが、前期後半からは、想定・構想のとおり進行しました。今年は中国生産拠点の採算も大幅に改善し、黒字転換も達成し、大幅な収益改善を果たしています。
しかし、円安の進行により製品輸入原価の高騰が続いています。ようやく生み出した収益のほとんどは為替で飲み込まれてしまいました。
2024年度通期 業績予想
2024年度通期の業績予想についてご説明します。連結売上高は330億円で、前期比約4億円の増収見込みです。営業利益は12億円で、前期比約4億7,000万円の増益です。経常利益は16億円です。当期利益は10億円で、前期比5億2,200万円の増益、業績予想に対して2億円の未達成となります。
2024年度通期 業績予想 セグメント別
スライドには、セグメント別の通期業績予想を記載しています。詳細は次ページ以降にてご説明します。
2024年度通期 業績予想 セグメント別 ①精密部品事業
精密部品事業です。売上高は251億円で、前期比でほぼ同額ながら、業績予想比では約23億円の未達の見通しです。リズム翔栄の業績貢献が通年ある一方、ベトナム組立事業の停滞により、大幅に低下する見込みです。
自動車関連部品は、当初の予想を大きく下回る見込みです。営業利益は21億円で、前期比119パーセントながら業績予想比では2億円の減益見込みです。
インドネシアなど海外での原価改善を実施した一方で、自動車部品や工作機械部品等での当初予定を下回る受注見込みや、ベトナム組立事業の停滞長期化に伴う収益の減少が発生してしまいます。また、国内での原材料調達価格の高騰要因の影響が見込まれます。
2024年度通期 業績予想 セグメント別 ②生活用品事業
生活用品事業です。売上高は75億円、前期比107パーセントと増収ながら、業績予想比で若干未達の見通しです。快適品の成長拡大による効果は発揮できる見通しですが、子会社2社の清算の影響が含まれています。
営業利益はマイナス4億円となる見通しです。前期比で約3億円改善しますが、業績予想比では約3億円の未達です。快適品の売上高拡大に伴う中国生産工場の大幅採算改善など、構造改革の成果ははっきりと確認できていますが、円安に伴う原価高騰によって収益が相殺されています。
2024年度通期 業績予想 中期経営計画進捗
本年度は、中期経営計画の最終年度です。
中期計画との比較においてご説明します。3ヶ年を振り返ると、2022年度はおおむね計画どおりの実績を確保しました。コロナショックの渦中、駆け込みや備蓄等の受注も影響しました。
2023年度はリズム翔栄の加入があり、売上高は計画並みを確保できましたが、営業利益は計画と大きく乖離する結果となりました。生活用品の構造改革を大幅に実行した結果、コストが発生しました。また、円安による原価の圧迫で、赤字が拡大しました。
3年目の当期は構造改革の成果が現れ、実務上は明らかに改革が進み増収増益です。しかし、初期計画に対して大きな遅れとなっています。各種受注回復見込みの遅れや、円安に伴う輸入原価の負担増加があります。
本中期経営計画において、当初、為替は1ドル120円で立案しました。ご承知のとおり、その後の3年間は急激な為替の変動に惑わされてきました。海外の精密部品の業績は、円安による嵩上げ評価がありました。一方で、国内の生活用品の業績は、輸入原価の高騰が収益を飲み込んでしまいました。
為替変動やさまざまな環境変化に対処できる力と言いますか、底力の不足を否定できないのが、当社の現状だと考えています。こちらが大きな課題であると認識しています。
次期中期経営計画へむけて ①精密部品事業
現在は、来年度からの中期経営計画の立案中です。さまざまな協議や準備に取り組んでいます。一端をお伝えすると、精密部品事業は、基本取引の延長拡大のみならず、当社の技術、あるいは強みを活かしたオリジナル部品の開発に着手しています。
この開発、あるいはその受注活動を今後、強行していきたいと思っています。その活動により、新規部品による最大化への取り組みにすでに着手しました。
あわせて、生産高の拡大に伴う生産性の向上について、成長拡大投資とセットで具体的政策に取り組んでいます。次期以降にさらに具体化していくため、現在は検討の準備中です。
次期中期経営計画へむけて ②生活用品事業
生活用品における、構造改革の成果はご説明のとおりです。国内販売においては、ヒット商品も生まれました。成長への挑戦は始まったばかりです。これまでの挑戦をさらに加速していきたいと考えています。
海外の販売については、大きく対応が遅れています。今後は、中国およびアジアエリアでの販売拡大に本格的に取り組んでいきます。
また、生産拠点におけるさらなる製造コストの低減による収益力の強化を実現していきます。すでに、この2年間で、いろいろな切り口で挑戦し、改革を進めてきました。実績は上がっていますが、これも途上です。さらなる生産高拡大等により、総コストの低減を図っていきます。
これらの施策を実行することにより、規模の拡大はもとより、為替の変動や環境リスクへの対応力を強化していきたいと考え、準備しています。
次期中期経営計画へむけて ②生活用品事業
スライドの写真は、本年度発売した快適品の新製品です。右上の画像は加湿器です。加湿性能とデザインはもとより、加湿器の最大の要素である衛生的な加湿が可能です。これを確保するため、洗いやすさ、掃除のしやすさ、持ち運びやすさを追求した製品になっており、大変好評をいただいています。
左下は2重反転サーキュレーターです。大ヒットしたハンディファン同様に、当社の特徴である2重反転ファンを搭載し、ただ風を送るだけにとどまらず、例えば洗濯物の部屋干しのようなところにも大きな効果が発揮できると好評です。中央には卓上ファンも載せています。
右下が「MAGSPEAKER DUO」です。マグネット付きでセパレート機能や防滴機能などがあります。お風呂の壁にも簡単にセパレートで取り付けられ、いろいろなスタイルでの活用ができるスピーカーとなっており、デザイン的にも大好評を得ています。
快適品の由来は、快適な生活をお手伝いする製品という意味で、快適にお使いいただける機能を最優先して追求したもの作りです。本会場にも展示しています。ぜひご体感いただき、身近な方々にご紹介していただければ幸いです。
中期経営計画の骨子
財務・資本、サステナビリティ、経営基盤についてご説明します。本中期計画の骨子です。現中期経営計画では、事業戦略、財務戦略、サステナビリティ戦略の3つの戦略を支える経営基盤の強化を実行し、企業価値の向上を戦略の骨子としています。
中期経営計画進捗状況
中期計画の財務指標です。ROEについては当期利益見通しベースで換算すると約3.3パーセントと低位ですが、さらなる利益の創出、資本効率の向上に励んでいきます。
財務・資本政策
財務・資本政策における主な課題は、資本コストを上回る収益性の確保です。また、成長性への適切な市場評価をいただくことも重要と考えています。
2024年度9月末時点での株価およびPBRはスライドのとおりです。業績向上による価値向上を第一に考え、成長投資と株主還元向上の両輪で各種取り組みを進めています。
資本効率の向上に向けては、事業収益力の強化はもとより、資産の最適化、資産配分、投資計画のロードマップ化に取り組んで進めていきます。まだ資本効率については低い状況で推移していますが、収益力の向上をはじめ、さらなる改善に取り組んでいきます。
設備投資・減価償却
設備投資の状況についてです。2024年度の設備投資は、上期までに約7億円を実行しました。中期経営計画3年間での進捗は約93パーセントです。
今後もさらなる生産性向上や省力化設備、新製品の研究開発などを中心として、年間約18億円の積極的な成長投資を考えています。
株主還元
株主還元については、従前からのご説明のとおり、当社では配当性向30パーセント以上、1株当たり配当金を30円以上とし、安定的な配当の継続を基本方針としています。
2024年度についても増配を予定しています。今年度の業績予想は下方修正に至りましたが、配当予想は据え置き、73円の配当を実現できるよう、収益の確保に引き続き努力していきます。
サステナビリティへの取組
サステナビリティへの取り組み状況です。2022年度よりスタートした環境とD&Iの活動は、ともに方針、体制など、グループ全体のフレームワークが整ってきました。具体的な取り組みも定着してきました。次は効果の実現段階に移行していきます。
環境においては、CO2削減に向けて省電力化に努めていきます。また、今期、新たに太陽光発電を導入した工場もあり、太陽光発電拠点はグループの中で3拠点となりました。
D&Iにおいては、多様な人材が能力を発揮できる職場作りに向けて、女性活躍推進研修や健康経営への取り組みなどを進めています。男性育休の取得促進などが評価され、今期は「プラチナくるみん」の認定も取得しました。
経営基盤強化への取組
経営基盤の強化については、ガバナンス、人財、IT、SRといった幅広いテーマに取り組んでいます。
一例として、現在はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示への対応を進めています。気候変動に関連するリスクや機会、戦略について、今年度中に開示を行う予定です。
人財育成についても「企業は人なり」という認識を持っており、重要なテーマだと考えています。教育研修はもちろん、評価制度の改革など、中長期のロードマップを基に計画的に取り組んでいます。その他、記載のとおり各種取り組みを進めていきます。
本日の説明は以上です。今後も成長拡大に向け、誠実に努力を重ねていきます。ご声援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。ご清聴、誠にありがとうございました。
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