―低PBR株多く割安感顕著、円安も寄与でトヨタ系など再評価余地膨らむ―
日経平均株価は27日、高値警戒感が高まるなか前日比160円安となり、今年初の4日続落を記録した。株式市場は春先以降、一本調子の上昇が続いていただけに調整機運が台頭しており、足もとでは割安感が強いバリュー株を見直す動きも強まっている。そんななか、市場の関心が高まっているのが 自動車部品株だ。自動車業界は生産増を進めているほか、円安も追い風に働く。低PBR株が多く、株高期待が強い自部品株にいま熱い視線が注がれている。
●トヨタの3、4月生産台数実績は過去最高と急回復
自動車部品株に対する見直し機運が高まっている。これまでも自動車部品を含む、自動車関連株は割安感が指摘されながらも買いが手控えられてきた。その大きな要因とされてきたのが、半導体不足が自動車生産増のネックとなってきたことだ。ただし、その半導体不足は緩和の方向に向かい、自動車生産は回復傾向を強めている。
例えば、トヨタ自動車 <7203> [東証P]の4月の世界生産台数は前年同月比13.8%増の78万7800台と同月での過去最高となった。3月の世界生産台数も同3.8%増で過去最高を記録しており、足もとで自動車の生産増に拍車がかかっている。この生産増は他社も同様でマツダ <7261> [東証P]の4月は同2.2倍、ホンダ <7267> [東証P]も同44.5%増、日産自動車 <7201> [東証P]も同15.8%増と大幅増となっている。これら大手自動車メーカーが、半導体不足緩和から挽回生産を進めることは、当然、自動車部品各社にとっての追い風に働く。
●円安で業績増額期待、再編思惑強く見直し機運も
更に、電気自動車(EV)増産など電動化に向けた動きも進む。トヨタは2026年までにEVの世界販売を年150万台とする計画を示している。このEVへの本格展開が意識されるなか、24年3月期の同社の設備投資は1兆8600億円と過去最高を計画する。更にトヨタは、27年にも「全固体電池」を搭載したEVを投入すると報じられ、市場で高い関心を集めた。また、日産自も26年時点のグローバルな電動車の販売比率を44%以上とする方針を打ち出しており、23年度の設備投資も拡大させる方針だ。
加えて、自動車業界にとっては為替の円安も追い風だ。トヨタやホンダの今期想定為替レートは1ドル=125円、日産自は同130円に設定しているが、自動車部品大手のデンソー <6902> [東証P]の今期想定為替レートは1ドル=125円、豊田自動織機 <6201> [東証P]は同130円といった具合だ。足もとの為替は1ドル=143円前後にあり、為替の円安が業績の増額修正要因となる。
市場関係者からは「自動車部品株は自動車メーカーに比べても出遅れ感があり、見直し余地が大きい。特に、電動化が進むなか今後、M&Aを含め再編の動きが出てきてもおかしくはない」との見方が出ている。自動車部品株にはPBR1倍割れが常態化している企業も少なくないだけに、増配など株主還元強化に向けた動きも期待されるなか、再評価機運が膨らんでいる。
●豊田織やジーテクト、エクセディなど再評価余地も
アイシン <7259> [東証P]~トヨタ系大手。EV向け駆動装置「eAxle」へ積極投資。前期は生産減とコスト増の影響を受け減益となったが、トヨタの生産拡大は追い風で今期以降、業績は拡大基調に。連結PBR0.6倍台、配当利回り約4.0%と割安感が強い。
豊田自動織機 <6201> [東証P]~トヨタグループ本家。主力のフォークリフトなど産業車両事業で高実績。トヨタの大株主で他のトヨタ系企業の株式も多数保有。その保有資産の価値からも見直し余地が指摘されている。連結PBRは0.8倍台。
小糸製作所 <7276> [東証P]~自動車用照明機器でトップ。自動車生産の拡大とともに照明器の需要拡大が見込める。24年3月期連結営業利益は700億円台(会社予想645億円)へ増額期待も出ている。
ジーテクト <5970> [東証P]~ホンダ系メーカーでプレス部品が主力。株価は連結PBR0.4倍台、配当利回り3.6%台。26年3月期の営業利益180億円(23年3月期実績128億3600万円)を目標とし、株主還元に向けて新たにDOE(株主資本配当率)を指標として導入。PBR1倍以上の実現に向けた取り組みを進める。
東海理化電機製作所 <6995> [東証P]~トヨタ系で自動車用電装部品を手掛ける。スイッチなどの生産増に期待。eスポーツ向け機器にも参入。今期業績には増額修正期待も。連結PBRは0.6倍台。
エクセディ <7278> [東証P]~アイシン系でクラッチ最大手。24年3月期の連結営業利益は前期比48%増の予想。ドローン用製品なども開拓。今期配当は前期比30円増の120円に。連結PBRは約0.5倍、配当利回りは5.1%台と再評価余地。
株探ニュース
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