30日の米国株式市場のダウ平均は511.37ドル高(+1.58%)、S&P500は49.45ポイント高(+1.20%)、ナスダック総合指数は146.47ポイント高(+1.16%)とそれぞれ上昇した。イスラエルによるガザ地上戦作戦が慎重に進められているとの判断から脅威が緩和し、買戻しが優勢となった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が、今週開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送り観測を受けて、終日堅調な相場展開だった。一方、東京市場は日銀の金融政策決定会合の結果を見極めたいとするムードが強く、日経平均は前日比2円安の30694.96円とほぼ横ばいでスタート。目立った動きがなく前場を終えた。
個別では、日銀の長期金利上限柔軟化の報道を受け三菱UFJ<8306>が反発したほか、あおぞら銀行<8304>、りそなHD<8308>、群馬銀行<8334>など銀行株が上昇。そのほか、アンリツ<6754>、明電舎<6508>、日本新薬<4516>、ストライク<6196>、さくらインターネット<3778>などが値上がり率上位に並んだ。東証スタンダードでは、アトラG<6029>、東証グロースではアクアライン<6173>が上昇した。
一方、マクニカHD<3132>、ポーラ・オルビスHD<4927>、パナソニックHD<6752>、山洋電気<6516>、トランコム<9058>などが下落したほか、東証スタンダードではオルトプラス<3672>、田中化学研究所<4080>、エイケン工業<7265>、マキヤ<9890>、植松商会<9914>、東証グロースではアマナ<2402>、アジャイル<6573>などが下落した。
セクターでは、銀行業、保険業、小売業を筆頭に上昇。一方、輸送用機器、電気・ガス業、機械を筆頭に下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は55%、対して値下がり銘柄は42%となっている。
昨晩、日本経済新聞社が本日の金融政策決定会合で1%を超える金利上昇を容認する案が有力と報道し、ドル・円は一時1ドル=148円台まで円高方向に振れた。本日の国内債券市場は長期金利が一時0.955%と高水準を更新し、政策修正へ構える格好となっている。金融政策に大幅な変更はないとみられているが、イールドカーブコントロール再修正に関する議論についてどのような内容になるか関心が高まっている。本日の大引け後に植田総裁の記者会見が行われるため、後場もこの会見を見極めたいとして積極的な売買は控えられそうだ。本日も決算関連で好悪材料入り混じっており、一方向に相場が傾くことは想定しづらい。
ただ、「ハロウィンに株を買え」と投資格言もあるが、昨日は押し目待ち狙いの買いや重要イベント前の先回り的な買いも見られ、日本株の底打ち期待は根強いよう。一方で、寄り付き前に発表された経済指標では、失業率、有効求人倍率など9月の雇用関連指標ではほぼ市場予想通りであったが、9月鉱工業生産(速報値)は予想を大幅に下回る前月比+0.2%上昇だった。市場コンセンサスでは2.5%程度の上昇を見込んでおり、金利上昇により設備投資を控える企業姿勢もかいま見える。また、中国政府版の製造業購買担当者景気指数(PMI)が2か月ぶりに好・不況の分かれ目となる50を下回っており、これを受けてハンセン指数は下落している。植田総裁の発言内容次第ではどちらにも転びやすい局面ではありそうだ。
(二階堂千穂)
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