先週の日経平均は下落した。週間ベースでは9週ぶりの反落に転じた。週初は中国による対米輸入の拡大合意で米中通商問題の懸念が後退、1ドル111円台前半の円安で推移する為替動向などを好感して、日経平均は2月2日以来となる23000円台を回復してスタートした。NYダウもムニューシン米財務長官による米中貿易戦争の「保留」発言を好感して前週末比で300ドル近い上昇で始まった。その後、日経平均は前週まで8週連続で上昇していたことと、23000円台回復の目先達成感から利食い売り圧力が強く、日経平均は22日に4営業日ぶりの反落に転じた。23日にはトランプ米大統領が米朝首脳会談の開催延期を示唆したことを受けて、相場の潮目は大きく変化する。また、米国メディアが自動車輸入関税を現状の2.5%から最大25%への引き上げをトランプ政権が検討していると報じてトヨタ<7203>やホンダ<7267>など自動車株が軒並み安となったことも地合いを悪化させた。ドル安・円高の動きとともに株価指数先物売りも強まって、日経平均は24日にかけて2日連続で各200円を超える下げとなった。日本時間24日夜には6月12日に予定されていた米朝首脳会談の中止が伝えられ、25日は売り物で始まったものの、直近2日間続落の反動もあり日経平均は4日ぶりの小反発で大引けた。25日のNYダウは米朝首脳会談の再設定の可能性が伝えられ下げ幅を縮める場面があったものの、小幅続落で終了している。
■日経平均はもみあい商状で方向性探る
今週の日経平均は買いに対する支援材料が少ない中、神経質なもみ合い商状が想定される。21日までの日経平均の上昇を支えてきた相場の外部環境が急速に変化してきている。米中貿易摩擦は休戦状態に入ったものの、米朝首脳会談の迷走、米国の自動車輸入関税引き上げ問題、為替の円高と、リスク回避の売りが出やすい環境となっている。テクニカル的にも日経平均が23000円に乗せたことで戻り一巡、達成感が出た格好だ。とくに、23000円はファンド筋が持つポジションの分水嶺だったとの指摘もあることから、この水準が戻りの壁としてフシ意識されてくることになりそうだ。指数イベントとして5月31日終値でMSCI指数銘柄の定期入れ替えが実施される。サイバーエージェント<4751>、小林製薬<4967>、SGホールディングス<9143>、東京センチュリー<8439>の4銘柄が新規採用され、八十二銀行<8359>、九州フィナンシャルグループ<7180>、ミクシィ<2121>の3銘柄が除外される。6月8日のメジャーSQの2週間前というタイミングとも絡んで、指数に連動したファンドの動きが警戒されよう。昨年や2年前の5月最終週は一時的に様子見ムードが高まり、出来高が大きく減少する場面があった。5月31日を境に相場展開は変化しやすく、方向性を見極める時期となりそうだ。
■26週線がサポートライン、仮想通貨関連の人気持続
一方、テクニカル的には、日経平均の下限と見られていた25日線の22500円を先週に割り込んだことで調整が長引く可能性もある。しかし、日経平均の週足チャートでは26週移動平均線がサポートラインとなっており、相場の下値抵抗力を見極める展開にもなりそうだ。また、為替の円高傾向さえ落ち着けば、日経平均採用銘柄での予想PERが13倍台にまで調整しており、自律反発に向かう条件も出始めている。個別株物色への傾斜が高まる地合いの中で、アクセル<6730>、アドウェイズ<2489>など仮想通貨関連銘柄の値運びが週末にかけて軽くなっている。物色面では、引き続き仮想通貨関連の個別株の動きも注目されそうだ。
■31日にIPO再開、1日に米5月雇用統計
主な経済関連スケジュールは、国内では29日に4月失業率、有効求人倍率、30日に5月消費動向調査、31日に4月鉱工業生産、6月1日に1-3月期法人企業統計がそれぞれ発表される。海外では、28日は米国がメモリアルデー、英国がスプリング・バンク・ホリデーで休場、30日は米5月ADP雇用統計、米1-3月期GDP改定値、米ベージュブック、31日は米4月個人所得・支出、1日は米5月雇用統計の発表が控える。このほかでは、29日から6月2日までクアン・ベトナム社会主義共和国主席が来日、30日に鈴木茂日証協会長会見、31日にMSCI定期銘柄入れ替え、中西宏明経団連会長就任会見、経団連定時総会、G7財務大臣・中央銀行総裁会議(カナダ)、1日から3日までアジア安全保障会議(シンガポール)が開催される。1日の米5月雇用統計は日本時間夜の発表となり、相場への影響は翌週となる。こうした中、5月31日にはマザーズにネット注文の印刷通販会社のラクスル<4384>がIPOしてくる。前人気が高い銘柄ではないが、約1カ月ぶりのIPOであり、個別物色人気を刺激するきっかけ作りの銘柄となる可能性がある。
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