【QAあり】一家HD、売上高は前年比+8%の増収 下期では飲食事業部で忘年会の取り込み、ブライダル事業で新規来館数増加等に注力
業績の季節変動について
髙橋広宜氏:取締役管理部長の髙橋です。私から、業績の数字についてご説明します。
当社が営んでいる飲食とブライダル両事業ともに、第3四半期に売上・利益が偏重する傾向があります。
飲食事業は、12月に忘年会シーズンで一番売上が増加し、ブライダル事業に関しても11月が年間で最も施行件数が増えるため、当社は第3四半期が最も売上・利益が偏重する傾向にあります。
2025年3月期業績動向(グループ連結計:通期業績予想進捗)
今期の業績動向のハイライトです。グループ連結計の通期業績予想に対しての進捗は、売上高が通期業績予想106億2,400万円に対し、進捗率としては42.8パーセントの45億4,600万円で推移しています。最終損失としてはマイナス1億5,800万円で着地しています。
第1四半期までは、ほぼ業績予想に対して想定どおりに進捗していましたが、第2四半期に入ってから今期の記録的な猛暑の長期化により、特に飲食事業の各居酒屋業態の客数に影響を受けて、売上が伸び悩んでいる状況です。
2025年3月期業績動向(グループ連結計:前年同期比)
グループ連結計の前年同期比です。前期は、ブライダル施設である「The Place of Tokyo」の全館の大規模なリニューアル工事を行うため、2023年6月6日から9月8日まで約3ヶ月間にわたり休業していました。今期は期首から全館通常営業しています。
飲食事業では昨年出店した店舗および今期新規出店した店舗の売上に対する寄与もあり、売上高としては前年同期比で8パーセントの増収となりました。
一方で、飲食事業・ブライダル事業ともに、前年同期比で販管費率が上昇しています。その結果、営業損失はマイナス2億1,700万円で着地し、前年同期比で減益となっています。
2025年3月期業績動向(飲食事業:前年同期比)
飲食事業の前年同期比です。売上高は前期第2四半期の36億8,600万円に対し、前年同期比4.5パーセント増の38億5,100万円で増収となっています。飲食事業は、今期上半期に新規5店舗を出店し、既存店の売上高は100.2パーセントで推移しています。
しかし第2四半期に入り、記録的な猛暑の長期化で客数に影響を受けて伸び悩んでいました。特に「屋台屋 博多劇場」の居酒屋業態は、例年は夏場も売上の山がある業態にもかかわらず、今年の異常な暑さで、なかなかお客さまがいらっしゃらない状況でした。
以前は「屋台屋 博多劇場」では、夏場にはお客さまは外席でもお酒を飲んでいましたが、今年のような暑さでは、なかなか外で飲む気分にもならないようです。ビール業界でも、36度を超えてくるとビールは売れなくなってくるというデータもあります。この夏は非常に厳しい戦いでした。
しかし、ここからまた一番の山場である12月の忘年会シーズンを迎えるため、飲食事業は今まさに、12月の忘年会をどれだけ取り込んでいけるかに注力しています。
12月の忘年会は、例年を超える勢いで順調に取り込みができています。後ほど武長から詳しくご説明しますが、現在、第2四半期の負けをいかに12月の忘年会で取り返していくかに注力しています。
飲食業界は、原材料費の高騰が依然として続いている状況です。原価率は上昇傾向にありますが、今後も引き続きその動向を注視しながら、メニュー価格の調整をしていく必要があると考えています。
ただ全体的に値上げをするのではなくて、当社の強みでもあるアプリの会員企画や、ミックスでのメニュー構成を工夫しフェア商品を併せて販売するなど、お客さまの満足度を落とさないことを一番に考えながら、適正原価率の維持に注力していきたいところです。
売上高が増加したことに伴い、人件費、広告宣伝費、支払手数料、地代家賃の各種販管費が前年同期比で増加しています。加えて、第2四半期の売上の落ち込みに対して、人件費率が一時的に上昇していることで利益を押し下げている状況です。
その結果、飲食事業の営業損失はマイナス5,300万円で着地しました。
2025年3月期業績動向(ブライダル事業:前年同期比)
ブライダル事業の前年同期比です。売上高は、前期第2四半期の5億2,400万円に対して、前年同期比32.4パーセント増の6億9,500万円で増収となっています。
前期はブライダル会場大型リニューアルのため約3ヶ月間休業していましたが、今期は期首から通常営業しています。
前期に関しては、当社だけではなくブライダルマーケット全体で、アフターコロナの状況下もありブライダル事業における最初の入口である新規来館数がコロナ禍前の状況まで回復に至りませんでした。
当社はブライダル会場のリニューアル期間中だったこともあり、前期に新規の取り込みに非常に苦戦したところが、今期上半期の婚礼施行数に影響を与えました。
一方で、結婚式を挙げられる方の招待客の人数は、コロナ禍には20名、30名の少人数で行っていた状況でしたが、すでに回復して、1組あたりの婚礼の組人数・組単価は前年同期比で上昇しています。
コロナ禍以降、今後も少子高齢化の影響やナシ婚層の増加が見込まれる中で、やはりブライダル事業においては、最初の入口である新規来館数が重要です。結婚式を挙げたいと思っているお客さまに、当社の会場にどれだけ来ていただけるかといったところが一番の肝になってきます。そこに対して、今期はSNSを活用したブランディングや販促に注力しています。
会場に来ていただいたお客さまの婚礼の成約率は、業界の平均で見ても、当社は非常に高い水準です。最初の来館の間口を十分に広げてお客さまに来ていただければ成約が取れる自信はあります。そこに一番力を入れていきたいと思っています。
来年以降は、リニューアル前の会場の売上のトップラインをさらに超えていけるように伸ばしていきたいと考えています。
ブライダル事業の原価に関しては、婚礼組人数が増加しており付帯原価等が安定してきており、原価率は前年同期比でダウンしています。
販管費についてですが、今後、来期以降のトップラインを伸ばしていくためにも、ブライダル施設としては、特にプランナーをはじめとした人的リソースの増強などで人員を増強しています。
また外部販促の強化に注力しており、人件費・広告宣伝費が前年同期比で上昇しています。加えて前期はリニューアルで休業していた分、今期は通常営業しているため、ランニングコスト、各種販管費が前年同期比で増加しており、利益を押し下げています。
その結果、ブライダル事業の第2四半期の営業損失はマイナス1億7,300万円で、前年同期比では減益で着地しています。
2025年3月期業績動向(貸借対照表)
今期は上半期に11億円の借入を行い、十分なキャッシュポジションを維持しています。
2025年3月期第2四半期業績動向(キャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローはマイナス1億9,000万円、投資キャッシュ・フローはマイナス2億8,300万円、財務キャッシュ・フローはプラス5億600万円となり、期末の現金および現金同等物の期末残高は15億300万円です。
新規出店の状況について
武長太郎氏(以下、武長):やっと涼しくなってきましたが、今年の猛暑にはかなり苦しみました。「屋台屋 博多劇場」は本来、夏に強い業態です。外席が合計800席ぐらいあり、そこで博多の屋台さながらに料理を楽しみながら、ビールを飲めるところに強みがありますが、今年はこの猛暑でほとんど外席が稼働しませんでした。大変苦しみましたが、この第3四半期には売上を挽回すべく、いろいろな施策を打っています。
今、宴会需要は「屋台屋 博多劇場」や「こだわりもん一家」も含めて高まってきています。ブライダル事業でも、コロナ禍以降には結婚式以外にも平日に行われる企業のパーティやいろいろな式典なども増えてきました。そこを着実に取り込んで、第3四半期に巻き返すために取り組んでいきます。
ご心配をかける決算内容になっていますが、しっかりこの第3四半期に巻き返していきます。
直近の出店状況です。コロナ禍の中での出店と退店で、なかなか店舗数が増えてきませんでしたが、前期から4店舗純増しました。下半期には8店舗出店する予定で、出店攻勢もここからコロナ禍前の基準に戻していきます。
飲食既存店売上高 前年同期比推移
既存店の売上高推移です。非常に好調なのが「寿司トおでん にのや」という業態です。この業態も下半期に店舗数を増やしており、全体としては前年同期比100.2パーセントとなっています。
先ほどお話しした主力業態である「屋台屋 博多劇場」の直近の売上が芳しくありませんが、こちらも対策を打って、下半期に上げていきます。
バーベキュー場・ビアガーデン運営について
今期は2か所の都心型バーベキュー場をオープンさせました。こちらも今年は猛暑の影響で、売上は想定を下回りました。
今期の反省を活かして、夏だけではなく例えば9月、10月、11月に秋バーベキューなどの施策を打って、来期は今期以上に売上を伸ばしていきたいと考えています。
ブライダル施策について
先ほど髙橋からもご説明したとおり、ブライダル施設の会場は、1階のレストランも含めて昨年リニューアルしました。
リニューアル後、初速は思ったような来館数がありませんでしたが、新たにSNSを利用した広告などの取り組みが、ここにきて功を奏してきました。
ブライダル事業については、今期の来館が来期の売上になります。今取り組んでいる施策の効果はすぐには表れないものの、ようやく手応えを感じてきました。
子会社(一家レジャーサービス)設立について
ブライダル事業と飲食事業に加え、新しく4月に一家レジャーサービスという子会社を設立しました。これからはレジャー事業を第3の柱として、本格的に伸ばしていこうと考えています。
当社グループの今後のビジョン
3年前にホールディングス体制となり、"おもてなし"に関わるさまざまな事業を展開し、日本一の"おもてなし"の総合商社のような会社を目指します。一家レジャーサービスも、その一環で立ち上げました。
茨城県植物園等整備・管理運営について
一家レジャーサービスの事業についてご説明します。まず大きなプロジェクトとして、茨城県にある植物園の大幅リニューアル事業に係る公募型プロポーザルに企業グループを組成し応募し、優先交渉権者に選定されました。さらに、企業グループで共同し特別目的会社を設立しました。
こちらは70ヘクタール以上の敷地面積がある施設です。そこに泊まって、遊んで、そして温浴施設もあるという、緑の中で過ごせる場所を作ります。
特別目的会社を共同して設立したうちの1社である株式会社ザファームはグランピング施設を運営する会社です。全国的にもキャンプ場の口コミサイトで7年連続殿堂入りするような施設を運営しています。
我々はサービスオペレーションが得意で、ザファーム社はグランピングに関する豊富な知識や知見があります。
木や植物が立派に育つには、40年以上もの時間がかかることもあります。茨城県のこの植物園には、すでにすばらしい自然があり、そこに泊まれて、食事ができて、楽しく家族と過ごせるような場所を一緒に作り上げることで、一気にこの価値が高まるのではないかと考えました。
オープンは2025年の秋頃を予定しています。
茨城県植物園等整備・管理運営について
基本コンセプトは「緑に遊び、緑に包まれて眠る、日本初の泊まれる体験型植物園」です。
茨城県植物園等整備・管理運営について
スライドに示すとおり、敷地内にあらゆる施設を作ります。このような案件を、今後レジャーサービスでどんどん手掛けていきたいと考えています。
今は全国的にも県や国が運営しているもので、民間企業と連携して再開発するような案件がたくさんあります。そのようなことを手掛けていく第1号案件になればと思っています。
茨城県植物園等整備・管理運営について
スライドは茨城県のホームページに掲載されている内容ですが、ご紹介します。
茨城県植物園等整備・管理運営について
「Botanicalを楽しむ」をコンセプトにした温浴施設についてご紹介します。
グランピングやキャンプはパパや子どもには人気があるものの、トイレやお風呂の問題があり、ママや女性が嫌がることもあります。
キャンプ用の道具を持っていない人でも楽しめるように、料理用の材料やタオル、アメニティも含めて、すべてここで調達できるため、手ぶらで楽しんでいただける施設になっています。
「Botanicalに泊まる」「Botanicalを食べる」そして「Botanicalを遊ぶ」というテーマで、一つひとつ施設やアトラクションを作ります。資料に詳細を掲載していますので、ぜひご覧ください。
下半期の新規出店について
下半期の取り組みです。下半期ですでに8店舗の新規出店が決まっています。「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」も2年ぶりに新規出店でき、武蔵浦和の店舗も非常に好調です。来月も越谷レイクタウンに出店します。
今後も「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」業態の店舗数をどんどん増やしていきたいと考えています。
また新卒入社10年目で独立した従業員が、株式会社Egoを設立し、「肉のウヱキ」を展開しています。12月には4号店を出すということで、こちらも非常に楽しみです。
(株)一家レジャーサービスの新規出店について
バーベキュー業態についてです。江戸川区のレクリエーション公園等のリニューアルに伴い、今回お声がけいただいたことでもともとバーベキュー場があった場所で、来年1月10日にバーベキュー施設「THE RIVERSIDE BBQ NISHIKASAI」をオープンします。
『大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん』FC展開
「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」について、FC展開を来年からスタートさせるべく動いています。
1都3県は直営で進めていますが、全国に展開できるビジネスモデルとして確立できたという手応えがありました。その上で全国展開を見据えて「最低でも50店舗は出せるだろう」と見込んでいます。
すべて直営で進めてもいいのですが、「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」はFCにも向いている業態だと考えており、そのほうがスピーディーに展開できると考え、今回の決定となりました。
まだFCについて募集している段階ですが、来年度中にはFC1号店を出店したいと考えています。
屋台屋博多劇場アプリ リニューアル
「屋台屋 博多劇場」のアプリは、現在179万人の会員さまがいらっしゃいます。この会員化の取り組みは以前より続けてきましたが、今回より多くのお客さまに喜んでいただけるようにアプリをリニューアルしました。
飲食事業 繁忙期施策
飲食事業では、最大の繁忙期である12月に確実に宴会需要を取り込めるように準備を進めています。今のところよいかたちで予約が入っているため、楽しみな12月を迎えることができそうです。
ブライダル事業 下半期施策
ブライダル事業も、SNSを活用したことで来館数が伸びてきています。婚礼以外の1階のレストラン、企業さまの宴会・パーティの取り込みも非常に好調です。
ブライダルの新規来館の取り組みについて、今後もさらに注力していきます。
来期新卒採用について
10月31日に内定式を行い、来年度から新卒社員約70名が入社します。コロナ禍以降も、新卒採用にはとても力を入れています。人材育成に力を入れ、事業展開を図っていきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
質疑応答:「寿司トおでん にのや」の好調の要因について
質問者:既存店の売上の業績推移について、「屋台屋 博多劇場」は業績が低調ということでしたが、一方で「寿司トおでん にのや」は好調です。「寿司トおでん にのや」が好調な要因は、どのようなところにあるとお考えですか?
武長:当社には和食に自信のある「こだわりもん一家」という創業からのブランドがありますが、席数も多く、30名くらいの宴会需要に応える業態でした。銀座や上野にも店舗があったのですが、コロナ禍で宴会が激減し、さらに大人数で飲むということが少なくなりました。
それを踏まえて、お客さまが1人、2人、もしくは3名の少人数で楽しむニーズが増加し、鍋をつついたり、大皿の料理を取り分けたりするのではなく、少人数かつ小ポーションで一人前ずつ提供できる業態がよいのではないかと考えました。
「寿司トおでん にのや」はおでんと寿司を柱として展開しています。このような食事のスタイルがコロナ禍以降に支持されたというのが好調な理由ではないかと思います。
およそ30席程度のお店となっており、コロナ禍にも新宿で出店しましたが、この4年間は年単位、月単位で売上が上がっており、お客さまをお断りしなくてはならない状況でした。そこで今回、同店からすぐそばに「寿司ト焼きもん にのや はなれ」という店舗を作りました。そちらも、これから売上が上がっていくのではないかと見込んでいます。
質疑応答:「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」のFC展開について
質問者:下半期施策における「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」のFC展開についてうかがいます。「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」がFCに向いているというのは、具体的にどのような理由からですか?
武長:「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」のFC展開については、塩締めしたラム肉を安定的に供給できる体制が整ったということが大きな理由です。
また焼肉店にもいえますが、調理はお客さまにしていただくこと、さらに同店の場合は飲み物もお客さまに卓上サーバーから注いでいただくということで、オペレーションを非常に簡素化しています。これらがFCに向いていると考えた理由です。
まだジンギスカンなどラム肉を食べることは、北海道以外の方にとってまだまだ珍しいといえます。「『ラムちゃん』に行こう」「ジンギスカンを食べよう」という明確なニーズに応える店として、1都3県以外にも、47都道府県でも出店したいとの考えから、フランチャイズ化を決定しました。
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