製造請負・製造派遣の顧客は電子部品、民生用電気製品、産業用機械製品など弱電系メーカーを中心に多岐に渡っています。創業直後は製造請負・派遣領域を中心に事業拡大を進め、当領域の売上高が90%以上を占めていたが、リーマンショックを機に事業ポートフォリオ戦略によって市場環境に左右されにくい「安定経営」を目指すために事業領域を拡大してきた。
業績
2月12日に2025年3月期第3四半期決算を発表している。累計の売上高は前年同期比38.2%増加、営業利益は同じく11倍と大幅増収増益で着地。半導体関連低迷の長期化により、マニュファクチャリングサポート事業における製造請負・製造派遣は微減収となったが、建設系技術者の人材需要に支えられてコンストラクションサポート事業が継続的に成長、昨年度にM&Aを実施した照明事業が堅調に推移してEMS事業の売上が大幅に増加して、全体売上高を押し上げた。また、マニュファクチャリングサポート事業において配置転換による採算管理の徹底により粗利率が回復し、EMS事業においてもM&Aの増収に伴い粗利率が向上して大幅増益となり、営業利益の増減で粗利率変化が21億円もプラスに寄与してる。
合わせて業績予想の修正を発表し、売上高は半導体市場の低迷に伴う在庫調整の長期化により当初計画より下方修正した一方で、利益は派遣単価交渉の進展や採用関連費用の見直しなど収益改善に努めたことで計画比31.4%増加と大幅に引き上げた。ちなみに、第4四半期は、生産調整などの顧客要因や1月・2月と少ない稼働日数で売上・利益ともに鈍化する季節性がある。なお、2025年3月通期は売上高で前期比24.1%増の443.0億円、営業利益で同180.8%増の9.2億円が予想されている。
今後の見通し
ウイルテックは、創業来「人財が成長基盤」として人財に積極投資を行い、着実な業績向上を実現してきました。2024年3月時点で正社員比率は81.8%となっており、新卒採用後もしっかりとした教育制度が整っているほか、顧客ニーズの深堀りで信頼を獲得しており、顧客の契約継続年数は年々増加傾向にある。今後は、主力のマニュファクチャリングサポート事業で底堅い成長を想定しつつ、スキルを高めることで付加価値を得ることができる「エンジニア派遣領域」、サプライチェーンの再構築が進むなか製造拠点の国内回帰による需要拡大が見込まれる「EMS事業」の成長によって収益力を向上させていく。EMS事業では2025年5月の稼働を目指して福島県須賀川市に新工場を建設しています。業績の底堅い成長が続く中、利益率の改善とともに事業ポートフォリオ戦略によって企業価値の成長が続くか注目しておきたい。
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