エヌ・シー・エヌ<7057>は、持続可能な開発目標(SDGs)で定められた2030年を年限とする17の国際目標の中からそれぞれテーマを示し、事業を通じてゴール達成に取り組んでいく計画を示している。日本に安心・安全な木構造を普及させ、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくることを目的とし「安心して住める木構造を世に広める」という企業姿勢は創業時から変わっていない。
(1) 木造建築の耐震化率の向上をテーマに、SDGsが定める「11. 住み続けられるまちづくりを」に基づき都市と人間の居住地を包摂的に、安全、強靭かつ持続可能にすると同時に、「12. つくる責任 つかう責任」に基づき持続可能な消費と生産のパターンを確保することをゴールとしている。具体的な取り組みとしては、木造耐震設計事業の推進、耐震住宅100%運動を掲げる。運動の一環として、同社が設立した一般社団法人が、各方面から寄附を募り、こども食堂に使用される老朽化した建物の耐震化や、各自治体との協力による文化財の耐震化等のプロジェクトを企画している。特に、文化財の耐震化については、2017年に「清水次郎長生家」の耐震改修工事を行った実績もあって、自治体の引き合いはかなり高いようだ。
(2) 木造化率の上昇をテーマとし、「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」に基づき強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な参照化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る。また「15. 陸の豊かさも守ろう」に基づき、陸上生態系の保護・回復及び持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止及び逆転、並びに生物多様性損失の阻止を図る。そして「12. つくる責任 つかう責任」に基づき持続可能な消費と生産のパターンを確保することをゴールとしている。具体的な取り組みとしては、木構造デザインの設立、CLTの活用を掲げる。
(3) 省エネ住宅の普及をテーマとし、「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に基づき、すべての人々に手頃で信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する。そして「11. 住み続けられるまちづくりを」をゴールに省エネ実態調査を掲げ、取り組む。
(4) 首都圏集中から地方の活性化への転換をテーマとし、「11. 住み続けられるまちづくりを」をゴールとする。その具体的な取り組みとして、新たな暮らし方の調査研究を手掛けるYADOKARIとの資本業務提携に加え、セカンドホームサービスを展開するSanuとの協業を推進している。Sanuとの連携では、同社の拠点向けにSE構法を用いた木造建築を供給しており、事業連携が具体化している。こうした事業連携を通じて、森林資源の活用や地域との協力体制を構築し、木造建築の供給にとどまらず、新しいライフスタイルにつながる様々な提案を行う。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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