1. これまでになかった少子高齢化社会に
2010年国勢調査においては、人口1億2,805万人、生産年齢人口割合63.8%、高齢化率23.0%であったが、平成25年度 総務省「人口推計」によると、人口減少局面を迎えており、2060年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されている。これまでになかった少子高齢化社会になることが予測される中、既に一部の職種では人手不足が顕著に表れている。この減少幅を考えると、効率のいい組織作りを今からやっておかないと、この先、企業として行き詰まってしまうのは必至とみられている。また、学生の就職活動は売り手市場といわれるように、既に人手不足になっている状況を考えると、営業スタッフの獲得は今後ますます難しくなる。
2.欧米ではインサイドセールスの割合は増え続ける
一人の営業担当が全プロセスを行い続けることにより、既存も新規顧客情報も、全てその営業担当のPCの中にしか残らない。もし突然辞められたら、営業担当はその情報を持ったまま、他社の面接に行ってしまうことになりかねない。そういう事態を招かないためにも、一人の営業担当が属人的に仕事をするのではなく、会社組織として、既存の顧客にも新規の顧客にも対応できるような体制作りをしておく必要があると考えられる。インサイドセールスの仕組みがあれば、営業の受け入れ態勢も変わり、顧客リストや商談内容といった情報の流出防止にもなる。雇用の流動化に対応するためにも、インサイドセールスは企業にとって非常に重要な要素になってくることになろう。
また、欧米では広大な国土、プロフェッショナル気質、雇用の流動化を背景に、既にインサイドセールスの割合は増え続けており、2017年の調査において米国では、主に対面販売をする担当者であるアウトサイドセールス人員が52.8%、インサイドセールス人員が47.2%とイーブンに近づいている。欧州ではアウトサイドセールス人員が62.9%、インサイドセールス人員が37.1%という調査結果がある。日本は就業人口の減少、営業の働き方改革、雇用の流動化のなかで、労働生産性の向上や営業効率化ニーズの上昇が見込まれる。
調査会社IDC Japanが発表した「国内働き方改革ICT市場予測」では、2017年の市場規模(支出額ベース)は2兆2,769億円、2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR)は7.6%で成長し、2022年の規模は3兆2,804億円まで拡大すると予測している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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