―「生成AI」「半導体」「インバウンド」の各関連株に熱視線が集中―
今春にかけての相場は、米国を中心とする景気後退懸念と金融システム不安に揺れた。これら要因は、年央から年後半にかけても相場を揺さぶり続けそうだ。その一方で、東京市場は「低PBR是正」や「賃上げ」などが評価され、日経平均株価は5月に入り2万9000円台に乗せ、年初来高値を更新する力強い値動きとなってきた。今後の注目テーマは「Chat(チャット)GPT」で一躍脚光を浴びた「生成AI」、国際的な戦略物資となった「半導体」、経済再開で復活する「インバウンド」だ。ゴールデンウィーク(GW)明け相場に活躍する各テーマの妙味株をそれぞれ3銘柄ずつ紹介する。第3回は「インバウンド」を取り上げる。
(3)【インバウンド】
訪日客数の回復急ピッチ、中国の団体旅行解禁に期待
日本へのインバウンドが急回復している。直近の3月訪日外客数は181万7500人と前月(147万5300人)から増加し、外国人観光客の受け入れを再開した昨年6月の水際対策緩和後で最高となった。国・地域別では韓国を筆頭に台湾や香港、タイ、加えて米国が多い。今後の更なる訪日客増加に向けては中国人客の動向がカギとなり、中国による日本向け団体旅行の解禁に期待が高まる。株式市場では既に中国人観光客の回復を先取りする動きが広がっており、インバウンド関連株の人気が高まっている。
●寿スピリッツ <2222> [東証P]~3期ぶり最高益で増配も
土産・ギフト用のスイーツを手掛ける大手菓子メーカー。生産販売の拠点となる事業子会社を全国各地に持ち、北海道銘菓「ルタオ」など多数のブランドを展開している。業績はコロナ禍が直撃した21年3月期を底にV字回復を遂げ、前23年3月期は3期ぶりに営業最高益を奪還する勢い。足もと業績は好調で、3月には配当予想の増額修正を発表した。株価は今年に入って2020年1月高値を上回り、上場来高値圏を舞う展開が続いている。
●コメ兵ホールディングス <2780> [東証S]~株価反転の機うかがう
中古ブランド品の買い取り・販売大手。環境意識の高まりによるリユース市場拡大の好環境下、日本の高品質な中古品を求める訪日客需要も取り込み急成長している。会社側では新規出店や法人向けオークションの強化などを進め、25年3月期に売上高1000億円(23年3月期予想比18%増)を目指す構え。株価は好業績を背景に上昇トレンドを加速させ、昨年10月に約7年ぶり高値圏に浮上。その後いったん調整したが、足もと売り物をこなしながら反転の機をうかがっている。
●インバウンドテック <7031> [東証G]~訪日客増で成長加速へ
24時間365日対応の多言語コンタクトセンターを運営。商業施設やホテル、医療機関などの従業員が外国人に応対する場面で、同社のオペレーターが電話やビデオチャットを通じて通訳を行うサービスを手掛ける。法人向けの営業支援サービスも展開。直近業績はインバウンド需要が本格回復していないなか、案件獲得が拡大し絶好調。今後の訪日客急増で一段の成長加速が期待される。株価は、目先200日移動平均線を足場に上値を試す局面にある。
★5月3日~7日に「ゴールデンウイーク特集」などを"28本"配信します。ご期待ください。
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