IHIはこのたび,航空機の空気抵抗を削減するための空力制御システムである,ハイブリッド層流制御システム(以下,HLFC)(*1)の実現に向けて,ガス軸受モータを搭載した減圧装置となる最新鋭の真空ポンプを開発しました。HLFCとしての作動を想定した10分の1気圧という希薄空気における条件下で実証試験に世界で初めて成功しました。試験は,秋田大学協力のもと,秋田大学電動化システム共同研究センターにて行われました。

図1. 航空機に搭載されたHLFCの大気吸い込みシステムのイメージ

図2. 希薄空気で作動中のガス軸受真空ポンプ(場所:秋田大学電動化システム共同研究センター)
HLFCは,航空機の空気抵抗を大幅に削減する有望な技術として1930年代から注目されてきましたが,飛行高度(約1万メートル上空)の希薄空気を吸い込む小型軽量で信頼性の高い大流量真空ポンプの実現が大きな課題となっていました。このたびIHIが独自に開発した真空ポンプが果たした技術革新と特徴は以下のとおりです。
【主な特徴と技術革新】
1. ガス軸受モータ技術: ガス軸受を使用することで軸受の摩擦と摩耗を最小限に抑え,高空の過酷な条件下でも信頼性の高い動作とメンテナンスの軽減を実現します。
2. コンパクトで軽量な設計: 最新の超高速回転機技術を採用し,航空機システムの重量増への影響を最小限に抑え,HLFC用途として空気抵抗の低減に寄与します。
3. 制御性の向上: 希薄空気で空気浮上するガス軸受により,低真空環境で効率的に動作するよう設計され,飛行中の気圧変化に影響を受けることなく性能を維持します。
IHIは,航空機の運用効率を改善する技術の開発に取り組んでいます。この技術は,航空機の空気抵抗を削減するためのHLFC技術において,長年の課題を克服したもので,航空機の燃料効率を改善しCO2排出削減に貢献します。お客さまの進化するニーズに応えるソリューションを提供し,新たな推進システムの開発をリードしていきます。
(*1)HLFC(Hybrid Laminar Flow Control)
航空機の空気抵抗を減らすことを目的としたもので,動力を使用し,翼の表面に開いた小さな穴から空気を吸い込み,前縁部のみの吸い込みにより横流れの不安定を効率的に抑制します。翼の後方では, 自然層流と同様に望ましい圧力勾配をもつ翼設計とすることで,滑らかな層流を維持し,翼の前縁と後方で異なる制御方法を組み合わせる制御です。この制御された吸引により,翼の空気抵抗が削減されます。これにより,航空機の燃費効率が向上し,CO2排出量が削減されます。
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