『馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術』と題して、私が普段のトレードで使っている分析ツール「トレードステーション」について、その活用方法を、最新のニュース情報も交えながらお話しする連載です。
☆「5G」関連銘柄の中でも循環物色
■5G関連の循環物色
過去の本連載について振り返りますと、5G関連銘柄については2018年11月『第5世代移動通信システム「5G」が動き出す!』と題して取り上げました。
当時、特に注目していたのが、5G関連の中核銘柄であり計測事業が好調なアンリツ<6754>です。昨年秋から今年4月25日の決算までは、堅調な推移をしていましたが、直近の決算後は売られる展開となっています。決算では、今期連結業績予想も発表しましたが、最終利益見通しが前年同期比16.6%減の75億円となり、ネガティブと捉えられたようです。その後は、1,600円付近で反発の値動きとなっております。
もう一つ、アンリツと共にセミナーなどで紹介している銘柄があります。アルチザネットワークス<6778>です。今期は最終利益が赤字となる予想ですが、来期には黒字転換する見通しです。
このような銘柄は、どのタイミングで黒字転換するのかを四半期ベースで細分化して注目しておく必要があります。6月5日に発表した決算では、今期3Q累計営業損益は3.8億円の赤字ですが、直近3Q(2-4月期)だけを見ると黒字に転じています。今後の決算動向も見ていく必要はありますが、このタイミングが黒字転換の境目となる可能性が高そうです。
同社は、高速通信向けなどの通信計測器メーカーで、5G対応の基地局向けのテストシステムなどを行っております。また、今月中旬にも閣議決定される予定の日本政府の新たなIT戦略では、5G普及に必要な基地局として全国の約20万基の信号機をNTTドコモ<9437>など国内通信4社に開放するという内容もあり、5Gの基地局に同社の計測機器が利用されるとの思惑から注目されています。
■直近値動きの良い5G関連銘柄
5G関連は外需株の側面もありますが、国内での旺盛な5G需要を鑑みても内需株に位置していますので、米中貿易摩擦などにより市況が悪化するなかでも、物色されている傾向があります。最近では、海外市場の動向や為替相場に左右されにくいテクノロジー系の中小型株や、5G関連には資金流入が見られます。
先ほど取り上げた、アンリツやアルチザネットワークスのような通信計測機器メーカー以外の5G関連銘柄も見ていきましょう。
例えば、多摩川ホールディングス<6838>。5月20日に決算を発表しましたが、今期経常は黒字浮上する見通しです。また、前期最終利益は1.28億円と黒字転換し、来期は前期比2.5倍の3.19億円に黒字幅を拡大する見通しとなったことで、株価もこれを好感した値動きになっています。
同社子会社である多摩川電子は、高周波無線・光伝送のエキスパート企業であり、5G関連事業に取り組んでいます。5GはNTTドコモなどが2020年の商用化を目指しており、従来の100倍の伝送速度実現に向けて、SHF帯、準ミリ波~ミリ波帯の周波数利用が新たに予定されています。多摩川電子は以前から準ミリ波・ミリ波用高周波製品について開発を進めており、4月にはミリ波製品の受託開発・製造開始を発表しています。
アルファシステムズ<4719>は年明けから上昇基調が続いています。6月12日の年初来高値2,930円を付けており、今後の上昇トレンドにも期待ができそうです。NTT<9432>グループとの取引があり、2,000人を超えるシステムエンジニアを抱えていることからも、大規模なシステム開発では安定感のある企業になります。5月10日の決算発表では、前期経常利益は前年比8.2%増の31.4億円、今期は同4.1%増の32.7億円を見込んでおり、8期連続増収となる見通しです。
双信電機<6938>は、情報通信機器分野では親会社の日本ガイシ<5333>と共同開発した積層誘電体フィルタが主力です。基地局整備が進むなかで、同社のフィルタに対する需要が見込まれるのではないかとの期待があるように感じます。4月26日の決算発表では、前期経常利益は前年比52.4%減の2.42億円となりましたが、今期は同3.3%増の2.50億円に伸びる見通しです。
今後、5G関連需要が本格的に立ち上がってくれば、それを取り込む企業の需要の拡大が見込めます。日本において5Gが本格化するのは、おそらく東京五輪開催後のあたりかと思います。5G関連需要がまだ本格化していない状況で、今後成長性の高い企業には引き続き注目です。
(その他の代表的な『5G関連』の銘柄リストは、『マネックス証券トレードステーションのHP コラム・レポートのページ』からダウンロードできます。)
次回も、このような形で、話題のニュースから読み解いたテーマとトレードステーションのツールについてお話しします。
※「馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術」は、米国TradeStation Groupが開発したトレーディングツール「トレードステーション」の日本語版(マネックス証券が提供)を馬渕磨理子の見解で注目し、コメントしたものです。開発会社や日本語版提供会社との見解とは異なる場合があります。
(フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子)
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