【QAあり】インスペック、海外向け売上比率50%に向け、タイ・ベトナム地域で販売展開開始 次世代最先端検査システム開発も進行
目次
菅原雅史氏(以下、菅原):インスペック株式会社代表取締役社長の菅原雅史です。本日はよろしくお願いします。本日は、スライドの目次に沿って、ご説明を進めます。
会社概要(2024年10月31日現在)
菅原:会社概要です。当社は、1984年に秋田県仙北市角館町で創業しました。角館町は東京駅から新幹線でちょうど3時間の距離の街です。桜並木と武家屋敷で非常に有名な観光地であり、国内外からたくさんの観光客が訪れます。
当社は、半導体パッケージ基板および精密なフレキシブル基板の検査装置、精密なフレキシブル基板の露光装置を、主な商品として事業を行っています。2006年に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
それでは、会社概要について簡単にまとめた動画をご覧ください。
(動画が流れる)
坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながら、お話をうかがいたいと思います。会社概要と沿革についてご紹介いただきましたが、どのような創業のきっかけがあったのか教えてください。
菅原:私はもともと、小さい頃から機械電気いじりが大好きな少年でした。東京から地元に帰って、そのような仕事をしたいと思いながらいろいろ就職先を探しましたが、秋田県には当時、そのような業種がほとんどありませんでした。
その中で、電子部品の誘致企業が「この仕事に取り組んでみないか?」と声をかけてくれました。そこで私は、いわゆる下請けの仕事をいただきました。創業自体は、その時「なにか将来につながるかもしれない」と思い、その仕事を始めたことが始まりです。1984年のことです。
創業当時から、「なんとかメーカーになりたい」と思いながら、始めた下請けの仕事を、11年間続けました。
坂本:そこから、先ほどの事業のご説明につながるのですね。
菅原:おっしゃるとおりです。11年目に、リードフレームの検査装置を開発して以来、半導体パッケージ基板の検査装置メーカーとして、今日まで事業を行っています。
インスペックの仕事とは?
菅原:当社が検査する製品は、スライド左側に示したとおり、主に半導体のパッケージ基板と、精密なフレキシブル基板です。
これらは検査され、半導体メーカーに納入された後、CPUやGPUのチップが実装され、最終的には、スマートフォンやパソコンなどの一般の方々が使う製品に実装されていきます。
坂本:スライドに出ているPCBについて、視聴者にはおそらくなじみのない言葉かと思いますので、簡単に教えていただけたらと思います。
菅原:PCB(Printed Circuit Board:プリント基板)は、配線板のパターンを平面上に焼き付けて作ったものです。一般に冷蔵庫やテレビなど、いろいろなものに使われていますが、一番精密なものの1つに、スマートフォンがあります。
坂本:なるほど、そちらを検査する装置を作っているのですね。
菅原:おっしゃるとおりです。
市場の成長性
菅原:半導体の市場は最近、非常に活況になっています。一昨年、生成AI「ChatGPT」が発表されました。
「ChatGPT」は、計算の負荷が非常にかかるため、それを処理するためのデータセンターに今、莫大な投資が行われています。その投資対象が、AIを処理する半導体です。そのチップを載せるのが、私どもが検査した半導体パッケージ基板です。
このように当社の事業は「ChatGPT」の登場につながっており、その引き合いが非常に増えています。したがって、今後、数年間にわたって相当な市場の拡大が続くだろうと言われています。
SXシリーズ(フラットベッド型AOI)のターゲット市場
菅原:私どもがまずターゲットしているのが、半導体市場のパッケージ基板です。こちらは当社の製品で言いますと、「SXシリーズ」という製品です。当社のIR資料の中では、フラットベッド型という分類で発表している、当社の主力商品です。
こちらは今、国内外からいろいろな引き合いが増えています。その中でも、こちらを全自動化した装置があり、販売価格で数億円規模の大きな商談もかなり増えてきています。
RAシリーズ(Roll to Roll 型AOI)のターゲット市場
菅原:私どものもう1つのターゲットが、FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブル基板)です。こちらはプリント基板の一種で、薄いフィルム状のものに配線を作るものです。
フレキシブル基板は、スマートフォンにたくさん使われていますし、デジカメなどの小さなエレクトロニクス商品にもたくさん使われています。最近では自動車の中にも、電子機器が非常に増えており、そのようなところにも使われています。
当社は、このフレキシブル基板を連続的に、非常に高速に検査できる装置も提供しており、この製品は当社の製品群の中で最も競争力のある製品です。ちなみに、昨年、ものづくり日本大賞の「経済産業大臣賞」をいただいています。
坂本:検査では、どのような検査を行うのか、簡単に教えていただけたらと思います。
菅原:検査には、大きく2種類あります。1つは、AOI(Automated Optical Inspection:パターン検査)です。配線のパターンが設計どおりできているか、隣の線とショートしていないか、線が途切れていないかなどを精密に検査します。
もう1つは、AVI(Automatic Visual Inspection:最終外観検査)です。プリント基板として完成して、基板メーカーが半導体メーカーに納める直前の最終的な出荷検査です。Vはビジュアルを意味し、人間の目視に代わる外観検査のことです。
AVIでは、完成したものに異物がないかや、半導体のチップと接続する部分はほとんど金メッキされるのですが、そのメッキ部分に欠損がないかなど、非常に精密な検査を行います。
坂本:それは、カメラのようなもので見ているのですか?
菅原:全部カメラです。
坂本:最初の、断線していないかどうかを確認するのもカメラなのですね。一度電気を通すのではなく、カメラで検査するのですね?
菅原:おっしゃるとおりです。画像処理の技術を使って、全自動で検査します。
当社の特長・強み
菅原:当社は検査装置事業をメインに、露光装置事業も行っています。それに必要な主な要素技術が、5つあります。画像処理技術、光学センシング技術、メカトロニクス技術、精密機械技術、露光装置で使うレーザー技術です。
当社はこれらの主要技術をほとんど社内に保有しており、社内で開発を行う体制を取っています。
そのため、お客さまの新しい要望や、ちょっとしたトラブルが発生しても、すべて社内でスピーディに対応できます。製品の性能もさることながら、サポートの対応の良さで、お客さまからは高い評価をいただいています。
主力製品について
菅原:スライドには、半導体パッケージ基板の検査を行う、フラットベッド型の検査装置を載せています。現在、AIを処理する半導体について、そのようなチップを載せるための次世代のパッケージ基板を検査しています。
量産するタイミングとしては、2026年頃になる予定です。そのような最先端のものの検査として、主要なメーカーからサンプルがたくさん当社に送られてきており、すでにテストを進めている段階に入っています。
最先端のものは、従来の技術では検査が難しくなってきており、技術革新していかなければなりません。したがって、市場は今、非常に大きな転換期に入っています。
当社は昨年から、そのハイスペックなものをターゲットに、カスタムのレンズや、非常に高性能なカメラを組み合わせて、いち早く検査のテストができる環境を整えているところです。お客さまからもそのようなリクエストをいろいろといただいています。
坂本:こちらの検査もやはり、カメラで見ていくようなかたちになるのですね。
菅原:おっしゃるとおりです。カメラで見るのですが、目に見える光では、識別できる限界に近いところに来ています。
今後は、目に見えない波長の光源を使った領域での技術革新を、どんどん行っていかなくてはいけないと言われています。非常に難しい段階に入ってきています。
坂本:おそらく同業他社もあるかと思いますが、御社の検査装置の強みがあれば、教えてください。
菅原:実は、この半導体パッケージ基板について、ハイスペックなものを検査するメーカーは、世界で3社しかありません。
坂本:寡占状態なのですね。
菅原:はい。アメリカの会社と韓国の会社と、日本では当社です。ある意味、かなりニッチな、非常にハードルの高い分野になっています。
その中で、当社の強みとしては、この半導体パッケージ基板のお客さま自体、日本メーカーが強いこともあり、日本のメーカーであることや、スピーディにサポートができる点が挙げられます。
加えて、いち早く常に最先端のものに取り組んでいるため、お客さまの製品開発のテンポと、足並みを揃えて連携できる体制があります。そのような意味では、最先端のニーズをいち早くキャッチし、対応できているところが大きな強みだと考えています。
主力製品について
菅原:フレキシブル基板の、ロールtoロール型の検査装置についてご説明します。フレキシブル基板の大手のメーカーでは、従来は基板をある大きさにカットして作るのが普通でした。
しかしながら、スマートフォンで大量に使うようになってからは、ロールのまま、つまり幅約25センチ、長さ約100メートルのロール状になったまま、配線板を作る方法が取られるようになりました。このような状況下において、検査もそのまま実施してほしい、というニーズが2015年頃から出始めました。
当社では2016年に、非常に難しい方法でしたが、ロールのまま連続して検査するという、最も生産性の高い検査を実現しました。こちらは、業界のデファクトスタンダードに近いかたちで、採用いただいています。
坂本:こちらも非常に早い速度で検査ができるのですか?
菅原:おっしゃるとおりです。
坂本:検査の進め方ですが、御社が装置を製造し、製造会社に納入して、検査してもらうかたちですか? それとも、1度預かって、御社が検査するのでしょうか?
菅原:装置を購入いただき、製造会社で検査していただきます。
坂本:先ほどご説明があった検査装置は、カメラで見るチップが微細化すると、取り替えや新しい機械が必要かもしれないとのお話でした。こちらの装置の寿命はどのくらいですか?
菅原:装置自体は、20年くらい使っているお客さまもいます。しかしながら、検査するお客さまの製品がどんどん進化しており、例えば4年前や5年前に納めた装置が、お客さまの新製品が出た際に、そのまま検査するのが難しい場合があります。
機械装置としてはしっかりしていますが、カメラやレンズ、コンピューターを入れ替えることも最近は非常に多くなっています。
坂本:つまり、「売って終わり」ではなく、保守を含めていろいろなビジネスにつながるのですね。
菅原:おっしゃるとおりです。
品目別売上高
菅原:主力の2製品は、約3年前から半導体が伸びるとともに、少しずつ伸びてきています。
同じく約3年前から、スマートフォンは低調な状態が続いています。現在はスマートフォン向けのロールtoロール型検査装置の比率がかなり下がり、半導体パッケージが大きくなっています。
4年から5年前は逆で、スマートフォンが勢いよく伸びており、ロールtoロール型検査装置が事業を支えていました。
その構造は、スライドのグラフによく表れていると思います。
売上高、営業利益、研究開発費の推移
菅原:売上高と営業利益、研究開発費の推移です。このスライドでご説明したいのは、研究開発費の伸びです。
次世代向けの半導体パッケージ基板の検査装置は、技術革新も含めて非常に新しい技術を開発しなければなりません。
それをすることによって、拡大する市場でより多くの検査装置を使っていただけることが明確に見えているため、先行投資として研究開発費をかなり投下しています。昨年から力を入れ始めており、研究開発費が伸びてきているという背景があります。
2025年4月期 業績ハイライト
菅原:今期の業績ハイライトです。第1四半期は、受注は伸びるものの売上まで至らないものがかなりあったため、売上高としては非常に小さい数字しか出ていませんでした。
しかしながら、受注は非常に順調に推移しており、発表した通期の業績予想は十分達成できると考えています。
パーパス
菅原:当社は40年前に創業してから、一貫して当時定めた経営理念を軸に経営してきました。
しかしながら、時代は変わり、社員の世代も変わってきており、物事が変化するスピードが非常に速くなってきています。時代に合わせて、軸を見直さなければいけないだろうと考え、経営理念を踏襲した上で、一昨年前に新たにパーパスを定めました。
パーパスは、「確かな技術とあくなき挑戦で、創造社会を切り拓く」です。「創造社会を切り拓く」とは、会社のもともとの理念と共通しており、社員が幸せになる会社、より豊かで充実した人生を送れるような社会に貢献していく、といったことを目的としています。
当社がもともと持っている確かな技術と、あくなき挑戦のスピリットを失わず、新たなものを生み出していく気持ちを込めて、このパーパスを定めました。
先ほど創業して11年間は下請けを行っていたとお伝えしましたが、実は当時はロボットメーカーを目指しており、いろいろなロボットも開発していました。その製品の写真を、スライドの中央下段に掲載しています。いずれも製品開発としては成功していますが、どれもビジネスとしては成功できませんでした。
坂本:どのようなロボットだったのですか?
菅原:左端の写真は、現在どこでも使われている水平多関節型と呼ばれる機械です。
坂本:よく見かけますね。
菅原:たくさんあると思いますが、こちらはコンパクトなタイプです。現在たくさんの工場で使われていますが、当社がこちらを作ったのは40年近く前のため、市場がなかったと言いますか、かっこ良く言うと早すぎたのだと思います。
坂本:もしかしたら、御社が某有名ロボットメーカーのようになったかもしれないのですね。
菅原:ある大手メーカーからOEMでというお話もいただきましたが、まだ用途が限られている中で、開発にお金をかけていて、「社長の道楽を止めさせろ」と金融機関から言われた時期もありました。
振り返ると、当時蓄積した技術が、非常に現在に活きています。特に、メカトロニクス技術は、当時がベースとなって進化しているため、非常に高い技術をもっていると思います。
Vision 2030
菅原:パーパスを元に、一昨年「Vision 2030」を定めました。2030年に売上高100億円、営業利益20億円を達成しようと決め、鋭意取り組んでいます。
半導体パッケージ基板は、かつてはニッチな市場でしたが、現在はハイスペックな半導体市場が広がり、だんだんニッチではなくなってきています。このような大きな広がりの波をしっかり捉えて、1つ大きな柱を立てていきたいと考えています。
また、取り組んでいる露光装置をもう1つの柱とします。さらに、いろいろと温めている新製品があるためこれを事業化し、3つの柱で「Vision 2030」を実現しようと取り組んでいます。
坂本:チャレンジングと言いますか、2030年に向けて急に伸びていく計画となっています。おそらく達成のために、大きな2つの事業と新規事業がある程度育ってこその数字かと思います。
菅原:おっしゃるとおりです。
坂本:新規事業はどのようなものを考えているのか、お話しいただければイメージが湧くと思います。話せる範囲で教えてください。
菅原:ずっとエレクトロニクス事業を続けていますが、約7年前に医療系の小さい会社を買収しました。なかなかうまくいかずに低迷していますが、医療系はポテンシャルも大きいと思います。
坂本:世界でも使えますね。
菅原:一気に世界市場になるため、そのような方面を含めて、取り組んでいきたいと考えています。技術の下地がしっかりあるため、それを活かしながら進めていけば、十分チャンスがあると思っています。
半導体市場の見通し
菅原:半導体パッケージ基板市場は「ニッチ市場ではない」と言ってよいくらい、大きな市場になりつつあります。遅れを取らず、むしろ先手を打って、しっかり取り組んでいくことが基本だと考えています。
成長戦略実現に向けた取り組み
菅原:成長戦略実現に向けた取り組みです。スライドの右側の写真は、インテルの最先端のガラス基板です。通常のプリント基板は、フィルムベースや樹脂のベースでしたが、こちらはガラスです。
ベースがガラスになっており、今までよりも1桁精密な配線を作っていくため、こちらを検査するには目に見える光では無理だろうと考え、レーザーなどのいろいろな技術を応用しています。こちらも、しっかり進めていきます。
成長戦略実現に向けた取り組み
菅原:露光装置がスタートしたのは、2018年、2019年からです。もともと電気自動車が猛烈な勢いで伸びていくだろうと考え、電気自動車向けの少しラフなパターンの露光装置開発を進めてきました。
しかしながら、電気自動車は現在スローダウンしているため、そちらの技術をベースに、エレクトロニクス分野で対応できる、精密なパターンを露光できる装置も並行して開発しています。そのようなものを合わせて、検査装置に次ぐ柱にしていくのが基本的な考え方です。
成長戦略実現に向けた取り組み
菅原:販売や事業展開をしているエリアについてご説明します。生産は基本的に、ほぼ100パーセントを秋田県にある本社で行っています。
中国でお客さまが少しずつ増えてきているため、一部現地で作って販売できる体制構築を目標に、現在少し取り組んでいます。
中国はまだ販売地域としての比率が大きくありませんが、少しずつ取り組んできました。加えて最近は、「チャイナプラスワン」ということで、タイ、ベトナム、マレーシアあたりに新しい工場が立地するなどして投資が進んでいる動きに合わせて、我々も販売展開していく活動をすでに始めています。
もともと中国、タイ、ベトナムの日系企業現地工場には、装置がかなり入ってはいますが、日系企業以外のメーカーもどんどん力をつけていますので、今後はそういったところを含めて積極的に取り組むことで、将来的には海外向けの売上比率を50パーセントまでもっていきたいと考えています。
今のところ、海外の比率は10パーセントそこそこという段階ですので、もっと伸ばしていくことで、全体として高い成長を実現できていくと考えています。
SDGsの取り組み
菅原:SDGsへの取り組みについてです。17のGOALSのうち、8つのGOALSについては、SDGs委員会を設け、具体的な年間計画を立てて活動しています。スライド右上の写真は、活動の様子です。
本年度から始めたのは、特にジェンダー平等についての活動です。社員84名のうち、女性は現在13名です。本年度、社外取締役に就任した女性が講師を務めるセミナー「女性マネジメント塾」を、定期的に開いて活動しています。女性にどんどんマネジャーになってもらおうという取り組みです。
また、地元で一番の観光名所である武家屋敷では社員が、秋になるとたくさん散ってしまう枯れ葉を、家族連れで掃除する活動にもしっかり取り組んでいます。
さらに、「秋田ノーザンハピネッツ」というプロバスケットチームのスポンサーも務めています。
質疑応答:株主還元について
坂本:個人投資家からよく聞かれると思いますが、株主還元の方針・考え方について教えてください。
菅原:配当については、まだ本当に少ないですが、1株当たり3円配当でスタートさせました。基本的にはしっかり継続していきたいですし、業績の成長とともに少しずつ増やしていきたいと考えています。いったん始めたことは、とことん継続していきます。
坂本:業績が上向けば、増配も想定していますか?
菅原:おっしゃるとおりです。
質疑応答:機関投資家向け説明会開催の実績について
荒井沙織氏(以下、荒井):「2023年12月8日に『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関するお知らせ』が発表されました。
その中で、株主や投資家とのコミュニケーションの強化についての具体的な取り組みとして、非財務情報を含めた情報開示を積極的に行う、個人投資家向けにセミナーなどを積極的に参画する、1on1(個別面談)を含めた機関投資家向け説明会を定期的に開催する、との記載がありました。
社内体制も含めて、このあたりの実績のご報告をお願いします」というご質問です。
菅原:発表して、まだそれほど時間が経っていませんが、今回の複数社セミナーには、まさにその一環として参加しています。今後も参加を継続していきたいと思っています。
1on1ミーティングは、すべてのリクエストへの対応を継続しています。四半期ごとに毎回、ミーティングの機会をもってくださる機関投資家もいます。
坂本:本社工場を見に行きたいという投資家もいますか?
菅原:まれにいらっしゃいます。
坂本:確かに見てみたいと思いますね。
菅原:装置もクリーンルームの中で作っていますし、ご覧になったみなさまは「おっ」と驚かれます。
坂本:おそらく他社も見ている方でしょうね。実際の用途は違うにしろ、セクターは同じだと思います。
菅原:顧客のほか、大学や機械学会の団体もかなりお越しになります。
坂本:寡占でシェアが高い会社にはやはり、それなりの技術があるのでしょうね。
荒井:このあたりへの反応を今後、期待したいですね。
菅原:反応が出てくると信じています。
質疑応答:主力製品の価格について
坂本:もう少しビジネスについてうかがいたいと思います。主力2事業で提供している製品について、1台当たりの価格を教えてください。
菅原:スライド左側は、フラットベッド型の一番標準的な装置です。価格はスペックによってかなり違いますが、5,000万円、6,000万円から7,000万円、8,000万円というところです。
スライド真ん中は、ロールtoロール型FPC検査装置です。こちらもかなり価格帯が広く、4,000万円、5,000万円から、装置によっては1億円超えという価格です。
スライド右側の、ロールtoロール型シームレス両面同時直描露光装置も、同じくらいの価格です。
坂本:それが積みあがって売上になるのですね。
質疑応答:受注から出荷までのリードタイムについて
坂本:受注残がたまっているというお話もありました。セグメントで違うと思いますが、受注から出荷までのリードタイムはどれくらいですか?
菅原:標準的なリードタイムは4ヶ月前後です。大型のものになると、全自動化された装置などは長さが10メートルくらいになることもあります。そのような製品は、1年近くかかることもあります。
坂本:輸送もかなり大がかりになりますね。
菅原:分解して、トラックを何台も使うことがあります。
坂本:非常によくイメージが湧きました。
質疑応答:売上における季節偏重について
坂本:売上における季節偏重はありますか? おそらく注文には波があると思いますが、季節的な問題による、売上の偏重の有無について教えてください。
菅原:過去3年、4年くらいの実績では、新年度に発注し年度内に導入するというお客さまの年度予算の関係から、第3四半期の後半から第4四半期に売上が立つ案件が大変多く、年間売上の7割くらいを占める年もありました。
坂本:4ヶ月から半年くらいのリードタイムになりますね。
菅原:最近は納期の長い大型案件が増えていますので、年度越しになることも増えるなど、少し変わってきていますが、過去の実績によれば期末に集中しています。
質疑応答:工場の生産キャパシティについて
坂本:工場の生産キャパシティは、現状の受注をこなせるくらいでしょうか? それとも、もう少し余裕がありますか?
菅原:数年前、本社工場の増築を行いましたので少し余裕がありますが、稼働率が低いわけではありません。
質疑応答:売上高の海外比率について
坂本:売上高のうち海外の比率を教えてください。
菅原:今期はおそらく1割くらいです。前期は今期より割合が大きかったと思います。
坂本:日系企業向けですか?
菅原:おっしゃるとおりです。現地企業からの受注実績もありますが、まだ多くはありません。伸びる余地が大きいことから、やはり今後はここを伸ばしていく必要があります。
質疑応答:粗利率の改善による営業利益率の向上効果について
荒井:「今期は粗利率の改善により、営業利益率が向上予定ですが、具体的な施策を教えてください。また、その効果はすでに表れているのでしょうか?」というご質問です。
菅原:粗利率の改善にはずっと取り組んでおり、効果が徐々に表れてきています。前期比でいうと今期は、まだ大きくはないものの改善していく見込みです。製品の高度化に伴って、粗利率は上がっていく方向になると考えています。
質疑応答:研究開発費の主な使途について
坂本:足元で増えている研究開発費の主な使途を教えてください。どのような開発にお金を割いているのでしょうか?
菅原:次世代のハイエンドな検査装置の開発に、かなりの金額を投下しています。
具体的には、まず、「鮮明に映す」ための研究開発です。例えば、光学系、簡単にいうとレンズとレンズに関わる部分です。
また、高倍率になることから、ピントも正確に合わせる必要があります。イメージしにくいと思いますが、ピントが合う範囲が1000分の1ミリというレベルです。
坂本:人間の手では、とても合わせられないですね。
菅原:まったく合いません。1000分の1ミリをずっと映しながら、でこぼこに合わせてカメラが作動します。
坂本:そのように作動するのですね。
菅原:本当にできるのかという精密さですが、できるようにする必要があります。レンズ1つで高級車1台が買えるかもしれないといったレベルですので、かなり大変な先行投資になります。
坂本:手がけているビジネスが大変であり、技術があってこそというところが、非常によくわかりました。
菅原氏からのご挨拶
菅原:我々の市場は、ニッチから大きな市場に変わりつつあります。これをしっかり捉え、変化の波の先頭で、成長に取り組んでいます。引き続き、ご支援をお願いします。本日はありがとうございました。
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