前週末22日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は179.03ドル安の30996.98ドル、ナスダックは12.15ポイント高の13543.06ポイントで取引を終了した。IBMやインテルの四半期決算が嫌気されたほか、追加経済対策への期待が後退し、寄り付き後、下落した。ワクチン普及の遅れなども売り材料となり終日軟調推移となった。一方、ナスダック総合指数は連日で史上最高値を更新し終了した。
今日の東京株式市場は買いが先行した。今週から発表が本格化する20年4-12月期決算への期待感が株価支援要因となったことに加え、外為市場で1ドル=103円80銭前後と先週末22日15時頃に比べ20-30銭ほど円安・ドル高方向に振れたことも安心感となった。一方、先週末の米国市場で米経済対策の早期成立が疑問視されたことなどが株価の重しとなり、寄り後、日経平均は一時下げに転じる場面があった。
個別では、韓国で先端技術開発への投資支援制度に認定されたと発表したGMB<7214>が一時ストップ高となり、東証2部から1部に復帰すると発表した東芝<6502>、中期的な利益成長や高い収益性評価し国内証券が新規に買い推奨したウェルビー<6556>が10%を超す大幅高となったほか、20年12月期業績見込みを上方修正したカナレ電気<5819>、各国政府が台湾に半導体増産を要請しているとの報道を受け台湾向けに強みを持つ野村マイクロ<6254>、21年3月期業績予想を上方修正した日本鋳造<5609>が上げた。
一方、20年12月の月次売上高が前年同月比41.5%増となったが11月の同57.8%増から鈍化したことが嫌気されたレントラックス<6045>、21年3月期業績予想を下方修正したアジュバン<4929>、1月度の既存店売上高が前年同月度比0.8%減と15カ月ぶりにマイナスとなった西松屋チェ<7545>、21年3月期業績予想を上方修正したが材料出尽くし感が先行したカワチ薬品<2664>が下げた。
セクターでは、医薬品、電気・ガス業、サービス業、非鉄金属、不動産業などが値上がり率上位。一方、海運業、その他製品、金属製品、保険業、建設業などが値下がり率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の63%、対して値下がり銘柄は32%となっている。
日本でも新型コロナワクチン接種に向けての動きがようやく活発になってきた。それと同時に、東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)の開催可否に関するニュースも増えてきた。今回は今後の株式相場を占う上でも重要なイベントとなる東京五輪を考えてみる。
東京五輪の聖火リレーは3月25日に福島県をスタートする計画で、それまでに開催か、延期か、中止かを決めるようなスケジュールが何となく取り沙汰されているが、五輪開催が近づいているという高揚感は感じられない。一方、五輪に向けての「カウントダウン時計」はもうひとつ動いている。東京五輪ではない。冬季オリンピック・パラリンピック北京大会(北京五輪)だ。開会式は2022年2月4日。来週には開催まで1年を切る。習近平国家主席は先週、五輪会場となる施設をいくつも視察したようだ。
北京五輪を何としても成功させるという強い意欲が伝えられている。
「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして開催したい」。菅首相が口にする東京五輪への思いだ。もし、東京五輪が中止、あるいは延期となればどうなるか。「新型コロナウイルスに打ち勝った証しとしての五輪」は東京にはできなかったが、北京は見事にやってのけた、ということになるのだろう。こうしたことを考えると、菅首相の五輪に対する強いこだわりや、東京五輪が2年延期ではなく1年延期となった理由も何となくわかるような気がする。
現在のところ、北京五輪に関するニュースはあまり多くは伝えられていないが、来週「北京五輪まで1年」となった段階では大きく報じられるかもしれない。その時、日本の世論は変化するのか。「何としても東京五輪を成功させたい」との雰囲気に一気に傾くのか、それとも「仕方がない」との諦めの空気が市中に蔓延するのか。世論の変化と株式市場は直接にはリンクしないように考えられがちだが、今回はそうではないかもしれない。その理由も含め、この件の続きは紙面の都合で次の機会に考えてみたい。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。日経平均が前場は下げた場面では押し目買いも見られたが、一方、目先高値警戒感もなお意識されている。また、今日発表予定の日本電産<6594>の20年4-12月期決算内容と、それを受けた株式市場の反応が今後の株価動向を占う試金石になるとして、これを見極めたいとする向きもある。
(小山 眞一)
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