半導体事業では、半導体製造工程(前工程)のウエハ表面欠陥検査装置で使われている単結晶とレーザを開発・製造している。同社の深紫外レーザ用波長変換単結晶は世界シェア95%、深紫外レーザは世界シェア30%を超えており、最先端半導体ウエハ検査装置に採用されている。世界有数の半導体メーカー(Intel、TSMC、Samsung)にて稼働中。2023年12月に半導体市場の世界的な団体であるSEMIに加入し、SEMIの「SEMI FREAKS ひと目で分かる半導体業界MAP 2024年版」にウエハ検査装置用レーザで唯一掲載された。
ヘルスケア事業では、がん診断用PET検査装置向けのシンチレータ単結晶を製造。シンチレータ単結晶とは、放射線に反応して光を発する結晶であり、PET検査装置には必要不可欠な材料となる。PET装置に用いる同社製品の世界シェアは20%程度で、同社のシンチレータ単結晶は独自の結晶育成技術による高品質単結晶・長年の生産技術向上による高歩留まり・広範囲な特許による参入障壁と3つの競合優位性がある。
新領域事業では、SiC単結晶、量子もつれ光源など10を超える研究開発テーマの社会実装に取り組んでいる。自社の強みや技術的優位性があり、高いシェア獲得ができる研究開発テーマを選定。直近はイスラエルのRaicol社を子会社化。Raicol社はフラックス法と呼ばれる単結晶成長技術を得意としており、宇宙・防衛・美容・量子・エネルギーなどの事業分野で競争力を発揮している。
2025年2月期上半期の売上高は前年同期比2.3%増の3,398百万円、営業損益は396百万円の赤字(前年同期は112百万円の赤字)で着地した。半導体事業、ヘルスケア事業ともに通期予想に対して概ね堅調な進捗。ヘルスケア事業においては、がん診断PET装置向けの新規顧客を獲得したほか、将来需要が期待される脳PET装置向けも継続的に引き合いがあるようだ。ただ、新領域事業はイスラエル紛争の長期化を受けて、足元及び業績見通しは不透明感を増しているようで計画未達となった。通期の売上高は前期比29.5%増の8,553百万円、営業損益は202百万円の黒字(前期は983百万円の赤字)を見込んでいる。
同社は、2027年2月期に売上高約11,000百万円、営業利益率11%、EBITDAマージン22%を見込んでいる。半導体事業V字回復による売上高と営業利益への貢献、量子分野等の研究開発加速、SiCの量産開発加速等を中心に取り組んでいくようだ。深紫外レーザの主要顧客となる半導体製造装置市場は、2024年から回復基調で2025年は前年比17.9%と高い成長率を見込んでいるという。PET検査装置の市場は毎年5%を超える安定した伸びが予想されているほか、新領域事業のSiC、GaN、酸化ガリウム(Ga2O3)に代表される次世代パワー半導体市場は急成長している。市場環境の拡大に加えて新領域事業の成長が本格化してくると、業績の転換点を迎える可能性があり、同社の今後の動向には注目しておきたい。
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