ヒーハイスト<6433>の主力事業は、高度な部品加工技術であり、主に3つの領域(直動機器、精密部品加工、ユニット製品)に分けられている。主要顧客としてTHK<6481>や本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の研究所を抱えており、同社の技術力が高いことを裏付けている。ただし、大部分がOEM供給、研究開発用やレース用車種向けの特殊部品であることから、業績が急変(急増や急減)することは少ない。今後は、現在持っている高い加工技術を生かして新分野へ展開することで成長を目指していく。
1. 2022年3月期(実績):主力の直動機器が牽引し営業利益は大幅増
2022年3月期決算は、売上高が2,742百万円(前期比21.9%増)、営業利益228百万円(同159.8%増)、経常利益258百万円(同177.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益217百万円(同419.4%増)となった。直動機器は、主要顧客であるTHK向けが増加したことやルアー用が回復したことなどから大幅増収となった。精密部品加工は、ほぼ横ばいであった。ホンダは既にF-1からの撤退を発表しているが、この影響が出てくるのはこれから。ユニット製品は国内向けのリピート需要はあったものの大型案件がなくなり減収となったが、金額が少ないことから全体への影響は小さい。全体が増収となったことから生産効率がアップし、売上総利益率が改善したことに加え、販管費の上昇を最小限に抑えたことから営業利益は大幅増となった。
2. 2023年3月期(予想):精密部品加工の減少、償却穂費の増加等で営業減益予想
2022年3月期通期の業績は、売上高2,707百万円(前期比1.3%減)、営業利益105百万円(同53.7%減)、経常利益104百万円(同59.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益75百万円(同65.7%減)が予想されている。直動機器はTHK向けを中心に受注残を抱えていることもあり堅調に推移すると予想。一方で、精密部品加工はホンダのF-1撤退の影響が見込まれるため減収予想。ユニット製品は前期から回復を予想している。減収に加えて、減価償却費が増加すること、材料費や電力料金の上昇が予想されること、人件費や開発費用の増加を見込んでいることなどから、営業利益は大幅減益が予想されている。そのため年間配当は前期の4円から減配し、年間2円の予定だが、今後の業績次第では増配の可能性もありそうだ。
3. 中長期の展望:2つの重点施策を推進
同社では特に中期経営計画等は発表していないが、今後の中期的戦略(重点施策)として、「スマート生産」「直動機器の製品力強化」を掲げている。特に「スマート生産」については、前倒しで推進する計画であり、直動機器の増産のために「無人工場棟」を埼玉工場の敷地内に建設することを発表した。竣工は2023年3月の予定だが、これにより直動機器の生産性がさらに向上することが期待できそうだ。
■Key Points
・高度な精密部品加工が主力事業、大手向けOEMや特定顧客向け売上高が多い
・2022年3月期業績は大幅増益だが、2023年3月期は減益を予想
・中長期の戦略として2つの重点施策を推進。特に「スマート生産」に注力中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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