TPR、2Qの経常利益は前期比+24.3%の増益 アジアの業績好調に加え、グローバルでの原価低減努力や為替影響等が寄与
2025年3月期 第2四半期 決算のポイント
矢野和美氏:TPR株式会社代表取締役社長兼COOの矢野です。本日は、2025年3月期第2四半期の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。第2四半期の決算について、資料に従ってご説明します。
第2四半期の決算のポイントです。上期業績は、海外ではアジアの業績好調と為替影響により増収増益、国内では客先の生産減少のために減益となりました。通期業績予想については、下期の見通しは国内自動車生産を中心に不透明ではあるものの、期初予想を据え置きます。
株主還元については、中間配当は期初予想どおり50円とします。自己株式取得は実施中です。
2025年3月期 第2四半期業績
第2四半期業績です。国内市場では客先の生産台数減少の影響を受けたものの、海外市場の好調と円安の影響により、営業利益・経常利益は増益となっています。
売上高は949億円で前年同期比28億円増、営業利益は48億円で前年同期比5億円増、経常利益は69億円で前年同期比13億円増となりました。中間利益は33億円です。全体として、増収増益の結果となっています。
2025年3月期 第2四半期決算説明会 セグメント比較
第2四半期の各セグメント売上・営業利益の状況について、ご説明します。セグメントとしては、日本、アジア、北米、およびファルテックグループがあります。スライドのグラフは、上段が売上、下段が営業利益となっており、過去5期分にわたって示しています。
日本セグメントは、お客さまの減産と操業度の低下により、売上高は239億円で22億円の減収、営業利益は3億円で9億円の減益となっています。
アジアセグメントは、中国国内が好調であったことや、原価低減の効果が見られたことから、売上高は223億円で40億円の増収、営業利益は38億円で9億円の増益となっています。
北米セグメントは、現地の日系企業が好調であったことにより、売上高は83億円で7億円の増収となりました。営業利益についても、これまでは赤字でしたが、2億円の増益となり黒字転換しています。
ファルテックグループは、アメリカを中心とした海外事業が増収となりました。イギリスでの生産性改善がうまく進んだことにより、売上高は387億円で4億円の増収、営業利益は4億円で3億円の増益となっています。
2025年3月期 第2四半期決算説明会 経常利益 増減の要因
経常利益の増減要因についてご説明します。グローバルでの原価低減努力と為替影響が寄与しています。海外での業績好調により持分利益が増えていることや、ファルテックグループの自動車外装事業の欧米拠点が業績改善したことにより、経常利益は先期の56億円から今期は69億円と、13億円の増益となりました。
増分については、スライドのとおりです。原価低減で7億円、市況変動・価格反映で2億円、為替影響で3億円、持分利益の増加で6億円となっています。一方、減益要素としては、操業度の低下で3億円、賃上げの影響で5億円、販管費その他の影響で3億円がありました。
そちらにファルテックグループの増益が6億円加わり、最終的に69億円という結果です。
2025年3月期 通期業績予想
2025年3月期の通期業績予想についてご説明します。下期の見通しは国内自動車生産を中心に不透明ではあるものの、通期予想としては売上高1,922億円、営業利益126億円、経常利益163億円、当期利益84億円という期初予想を据え置きます。
2025年3月期 通期業績予想 株主還元
株主還元についてご説明します。年間配当は期初予想どおり100円です。中間配当50円、期末配当50円を予定しています。また、自己株式取得も計画どおり実施中です。スライドには、配当金の推移をグラフで示しています。
配当方針としては、5月15日に公表した「26中期経営計画」に基づき、配当性向の目標値を40パーセント以上に設定しています。株主還元における自己株式取得として、上限を70万株、15億円に設定し、2024年10月1日から2025年3月31日にかけて実施中です。こちらの原資は、政策保有株式の売却によって得ています。
トピックス|パワートレイン
トピックスをお伝えします。当社の両輪経営の一方であるパワートレイン分野では、次世代エンジンの実現に向けた技術革新を推進しています。
1点目は、電動化に適合する新エンジンへの技術開発です。現在、お客さまの中では新規のエンジン開発が大きな取り組みとなっています。このような取り組みに当社は対応し、開発プロジェクトを行うことで、一部の開発を受注しています。
ハイブリッド、プラグインハイブリッド、多燃料に対応した技術開発も進めています。蓄積されたエンジン研究データを活用して、シミュレーション解析技術の積み上げも行っています。スライド左下には、シミュレーションの実例を記載しています。
2点目は、水素エンジン技術の研究開発です。岐阜工場で水素対応エンジンベンチを稼働させ、実機評価をすることにより、シミュレーション解析のための基礎データを収集しています。既存エンジンを水素エンジンに置き換える、水素コンバージョン事業も行っています。
既存エンジンを水素燃焼に対応したものへ改造する事業で、i Labo社と技術提携を行い、さまざまな取り組みを進めています。スライド右下には、岐阜工場での水素対応エンジンベンチと、i Labo社の水素エンジンR&Dセンターの写真を掲載しています。
トピックス|パワートレイン
パワートレイン分野のグローバル生産戦略としては、インドでの市場拡大に対応した投資を予定しています。スライド右下のグラフにあるとおり、インドの自動車(エンジン搭載車)市場は今後も台数が伸びていくと予測しています。
このような主要顧客のインドでの増産に備えて、インド拠点の生産体制の増強を検討しているところです。スライド中央の写真は、当社インド拠点で、上側がシリンダライナの生産拠点、下側がピストンリングの生産拠点です。
トピックス|フロンティア
両輪経営のもう1つの柱であるフロンティア分野について、ご説明します。2024年10月に開催された「Japan Mobility Show Bizweek 2024」に出展し、スタートアップ2社との共創事例、中国EV関連商品、自動車外装の新商品の3点を発表しました。
トピックス|フロンティア
モビリティショーで発表したスタートアップ2社との共創事例をご案内します。パートナー企業との協業強化策として、クロスリアリティ技術のDUAL MOVE社と車載コンテンツのBashow社との協業を行っています。
スライド左側のイメージ図のとおり、DUAL MOVE社との協業では、運転手と助手席にいる人など複数人が裸眼で同時に、車窓で同じ画像が見られるような、クロスリアリティ技術を開発中です。
部品製造分野に加えて、社内インフォテイメントなどの新領域への進出を考えており、DUAL MOVE社に積極的に出資して協業を強化しています。DUAL MOVE社については「CES 2025」に出展予定です。
Bashow社との協業では、車などで移動中に、場所周辺のトピックを複数のAIを用いて案内するアプリや、各種コンテンツ表現のタイミング判断を担う基盤システムなどを開発しています。Bashow社開発システムの車載コンテンツ市場での価値創出や、DUAL MOVE社とのシナジー効果を期待して出資を行っています。スライド右側に、Bashow社の開発技術のイメージを掲載しています。
トピックス|フロンティア
中国EV関連商品の進展についてご説明します。スライド左側は、EV駆動関係の商品です。モーターシャフトは熱を持つため、冷却が必要なモーターシャフトを生産しています。冷却時に必ず必要となるシールがシールリングです。
その他、モーターに使われる外周の突起付きの軸受けブッシュも量産しています。アルミのモーターハウジングに使われる鋳造品で、TPRのシリンダライナの製造技術を応用しています。アルミダイキャスト製品についても、生産準備を行っています。
スライド右側は、電池関係の商品です。大径筒型電池缶は生産準備中です。すでに生産している製品として、バッテリーシステム用の冷却水の漏れを検出した時に、緊急で排出する冷却水漏れ排出バルブを量産しています。
トピックス|フロンティア
自動車外装部品では、3点出品しました。1つ目は、アルミの質感を持つ金属調の塗装です。アルミではなく樹脂を使い、表面の塗装によってアルミとまったく変わらない質感が得られるもので、軽量化に非常に寄与する商品です。
2つ目は、塗装を行わず、3次元のグラデーションを表現する技術です。3つ目は、塗装面に浮かび上がる新加飾の技術です。塗装面にLEDが点灯した時に後ろ側から光が透過し、スライド右側の写真のように、さまざまなデザインを表現することができるパネルを作っています。このような商品は、CO2削減に貢献するような商品であると考えています。
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