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NSW Research Memo(3):同社の特長を最大限に生かし、4つの事業領域とDX関連事業でさらなる発展を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2022/12/05 15:13
■事業概要

1. NSW<9739>の特長
同社はエンタープライズソリューション、サービスソリューション、エンベデッドソリューション、デバイスソリューションの4つの事業を展開し、その技術シナジーを生かしたDX関連事業の拡大を目指している。ソフトウェアとハードウェア双方の技術・ノウハウを兼ね備えている点が大きな強みである。

エンタープライズソリューション事業で培った各産業分野の業種・業務ノウハウの蓄積とシステム構築力、サービスソリューション事業のサービス・コーディネート力及びクラウド環境などのインフラ・プラットフォームの提供基盤、エンベデッドソリューション事業及びデバイスソリューション事業における組込みソフトやLSI※設計などの製品開発力並びに画像処理技術、それらのシナジーを生かしたIoTやAIをはじめとしたデジタル技術を軸に顧客が求めるDX実現を支援できるバックボーンがあることが同社の大きな強みであり、これらを生かして今後の成長路線につなげていく方針である。

※Large-Scale Integrationの略で大規模集積回路のこと。多数のトランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品を1つの半導体チップに組み込んだ集積回路。


2. 事業内容
同社では、各事業の強化・拡大を図るとともに、今後の事業展開を見据え、2023年3月期より事業推進体制を再編した。事業領域を従来の3区分から4区分に変更したほか、従来のITソリューションは「エンタープライズソリューション」に名称変更、プロダクトソリューションは「エンベデッドソリューション」と「デバイスソリューション」に分割した。なお、「サービスソリューション」は区分・名称ともに変更していない。

2023年3月期第2四半期累計のセグメント別売上高・営業利益を見ると、エンタープライズソリューションが売上高の30.4%、営業利益の34.9%を、サービスソリューションが売上高の28.1%、営業利益の6.1%を、エンベデッドソリューションが売上高の22.0%、営業利益の30.7%を、デバイスソリューションが売上高の19.5%、営業利益の28.3%を占める。エンベデッドソリューション及びデバイスソリューションの利益率が相対的に高いのは、技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。また、エンタープライズソリューションでは、収益力向上や不採算案件抑制の取り組みなどが奏功し、利益率が大きく改善している。一方、サービスソリューションの利益率が相対的に低いのは、2020年3月期より独立したセグメントであり、事業拡大に向けた体制強化、新サービス展開のための先行投資などが影響しているようだ。

エンタープライズソリューションは、業務系ソリューションを提供している。製造業、流通業、金融・保険業、官公庁向けなどで長年にわたり培った業務ノウハウを活用し、コンサルティングからシステム設計、開発、保守・運用に至るまで、顧客に最適なソリューションを提供する。

サービスソリューションは、ITサービス及びIoT&AIサービスを提供している。ITサービスでは、システム性能を最大限に引き出すサーバやネットワーク設計、セキュアな環境構築から、都市型・郊外型データセンターによる信頼性の高い運用・監視まで、顧客のシステムを多彩なサービスで支える。また、IoT&AIサービスでは、デバイスからクラウドまでトータルコーディネートできる強みを生かし、IoTプラットフォーム「Toami」をベースに、データの蓄積から分析・活用まで、顧客の新たなビジネス価値の創出をサポートする。

エンベデッドソリューションは、組込みシステム開発及びエッジデバイスソリューションを提供する。組込みシステム開発では、オートモーティブや産業分野など、様々な製品開発で培ったアプリからミドルウエア、ドライバ開発の組込み技術で、製品の多様化や効率化、高品質設計に対応し、スマート化に向けた各種ソリューションを提供する。また、エッジデバイスソリューションでは、自社で組込みアプリからLSIまで対応できる豊富な設計・開発力と、各種センサー・デバイスベンダーとのアライアンスにより、コストを抑えたスモールスタートで顧客に最適なIoT環境を提案する。

デバイスソリューションは、LSI・FPGA(製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路)開発を行う。高位設計、論理設計・検証、論理合成、レイアウト設計、製造からテストまで、要件に応じてソリューションを提供する。画像処理や通信制御などの各分野で低消費電力設計や、先端プロセスに対応している。

上記4セグメントのノウハウを融合することで、新たな収益の柱への期待が大きい事業分野がIoTやAIをはじめとしたデジタル技術を軸とするDX関連事業である。現状は既存の各セグメントの収益に含まれる形で事業を行っており、サービスソリューション事業におけるIoT&AIサービスでは、デバイスからクラウドまでトータルコーディネートできる強みを生かし、IoTプラットフォーム「Toami」を中心に、データの蓄積から分析・活用まで、顧客の新たなビジネス価値の創出をサポートしている。

同社の「Toami」は、「製品のIoT化」を中心に、累計100社以上の導入実績があるほか、アライアンスパートナーも30社以上に拡大し、世界30ヶ国以上で展開している。IoTで収集したデータをより有効に活用するための分析サービスなど、関連サービスの引き合いも堅調である。パナソニック ホールディングス<6752>、(株)ニプロン、エクシオグループ<1951>、東北エネルギーサービス(株)、渡辺電機工業(株)、ルネサスエレクトロニクス<6723>、NECネッツエスアイ<1973>リオン<6823>、日本無線(株)などで「Toami」が活用されている。

直近の事例としては、2022年8月にJUKI<6440>のミシン点検システムに採用された。「Toami」を活用しスマートフォンで読み込んだミシンの銘版ラベルから型番を自動認識して入力作業を簡略化するほか、あらかじめクラウドに登録されている型番に合致する点検作業手順を表示するなど、点検保守サポート業務の効率化を実現した。また、点検結果のデータをクラウドに蓄積することにより、ミシンに必要な保守部品の手配や交換状況の把握が容易になった。さらに、QRコードでの型番認識、分析機能の追加により利用者の利便性がさらに改善し、ユーザである裁縫工場の顧客のミシントラブルによる生産ライン停止の低減に貢献している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ

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