~超硬小径エンドミルで業界No.1、新開発センターで市場開拓を加速~
・今1Qの出足は鈍かった。中国関連のスマホやPCの電子部品が低調であった。国内の自動車関連の復調は金型までには及ばなかった。売上下位製品の在庫充実も一時的にコスト増となった。2Q以降の需要回復を見込んで、会社の利益計画に変更はない。
・今期の会社計画は減益を見込んでいる。自動車関連の需要回復が金型に結びつくには少し時間を要しよう。スマホ需要に対する生産シフトもみられる。昨年11月の受注分から主力製品の値上げを実施したが、値上げは順調に浸透している。
・当社の高付加価値経営は、製品開発サイクルを「営業⇒開発⇒生産」と一体で回していく。営業を通して顧客からフィードバックされるニーズを製品開発に活かし、他にない製品やそれを作り込む装置を開発する。安定したバラツキのない生産を通して、高性能な製品を作り、営業がその製品価値を正しく顧客に伝えていく。
・もともと価格で勝負する領域には入らない方針である。情報と性能で勝負していく。開発センターで実際のニーズを捉え、新しい性能を追求する。例えば2枚刃を4枚刃にすることで、精度は向上し、寿命も長持ちする。顧客の加工時の生産性が上がれば、4枚刃の価格が高くても、トータルのコストは下がる。当社にとっても、高付加価値化が進む。
・開発面では、コーティングにおける「無限プレミアムPlus」の応用範囲を拡大している。①より固いものを削る、②より長持ちする、③より高い精度を出すことが基本であり、削り刃を増やして、コーティングで摩耗を減らすという方向にある。最先端の精密加工に焦点を当てている。
・日本機械工具工業会より、2022年度の「環境特別賞」を受賞した。GHG(温暖化ガス)排出量削減の実績が評価された。仙台工場を中心とした小集団活動「オレンジFC活動」の継続が成果を上げており、生産性の向上とコスト低減に結びついている。
・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。需要が好転すれば、業績向上に弾みがついてこよう。創業70周年の記念配当で、増配幅が拡大している点にも注目したい。
目次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 今期は市場の回復待ち、後半から好転へ
5.企業評価 競争力を強化し、高収益へ復帰
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2023年8月9日) |
1004円 |
時価総額 | 251億円 (25百万株) |
PBR | 1.48倍 |
ROE | 7.2% |
PER | 20.5倍 |
配当利回り | 2.7% |
総資産 | 18412百万円 |
純資産 | 17089百万円 |
自己資本比率 | 91.7% |
BPS | 676.2円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2015.3 | 7402 | 1481 | 1534 | 973 | 39.0 | 10.0 |
2016.3 | 8382 | 1914 | 1954 | 1342 | 53.7 | 12.5 |
2017.3 | 8825 | 2013 | 2026 | 1420 | 56.8 | 20.0 |
2018.3 | 9767 | 2685 | 2733 | 1903 | 76.1 | 22.5 |
2019.3 | 10476 | 2879 | 2894 | 1970 | 78.8 | 22.5 |
2020.3 | 9531 | 2219 | 2231 | 1545 | 61.8 | 22.5 |
2021.3 | 8100 | 1512 | 1712 | 1214 | 48.6 | 17.5 |
2022.3 | 9524 | 2111 | 2156 | 1522 | 60.9 | 22.5 |
2023.3 | 9656 | 2108 | 2131 | 1475 | 59.2 | 22.5 |
2024.3(予) | 9870 | 1820 | 1830 | 1220 | 48.9 | 27.5 |
2025.3(予) | 11000 | 2300 | 2300 | 1550 | 62.3 | 27.5 |
(2023.8ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2022.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)、2024.3期は創業70周年記念配(2.5円)を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/niltusinnkougu202308.pdf
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